日本地質学会125周年を迎えるにあたって


日本地質学会125周年を迎えるにあたって


一般社団法人日本地質学会理事会
125周年記念事業検討委員会
 

日本地質学会は1893(明治26)年に創設され,明治30年の会員数は128名であった.それ以来,日本地質学会は営々と学問の歴史を築き,現在の会員数は約3800名,2018年には125周年を迎える.
 
明治維新後,日本における地質学は国土の開発のために必須の学問としてその歴史が始まった.農業,工・鉱業は日本列島の地質の解明とともに発展し,鉄道や道路の敷設,トンネル掘削地の決定などは地質学の裏付けが不可欠であった.その後も地質学は大いに日本の近代化に寄与し,発展に貢献してきた.近年になり,経営的観点から炭鉱をはじめとする日本の鉱山の大部分が閉山となったが,2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震とそれに続く原子力発電所事故により,地質学に対しては,社会の持続的発展に向け,国土が適切に利用されるための情報の供与,評価が求められるようになった.
 
地質学は地層や岩石,化石,鉱物などを探求する学問として発展して来たが,現在では地球の生成から現在に至るまでの地球史の統合的理解が進み,未来予測までもが学問の対象となっている.このような進歩により,巨大津波についての予測の提供ができるようになり,レア・メタルやメタンハイドレート,深海底熱水鉱床の発見など,未来につながる新しい発見も相次いでいる.さらに,頻発する巨大自然災害や火山噴火,地球環境問題の複雑化への対応において,地質学的観点が重視されるようになり,地質学が果たすべき役割は一定の認知を得ている.一方で,ジオパークの推進,地学教育の充実ならびに自然災害や環境問題に対する市民の理解を高めることは,日本の地質学における今後の継続的課題である.
 
日本地質学会の創立125周年は,地質学の来し方,行く末を見つめ直す機会であり,地質学のさらなる地位向上と地質学会の社会的発信力を強化していく絶好の機会でもある.私たちはこのような状況を踏まえ,創立125周年にむけて,一連の記念事業の実施を計画している.記念事業を成功させるためには,多くの会員諸氏の参画・協力が不可欠であるので,本記念事業への参画・協力を広くお願いしたい.
 

2015年5月23日
 
 

(追記)5月23日より,125周年記念事業実行委員会が発足しました.
メンバー:渡部芳夫,久田健一郎,平田大二,矢島道子,天野一男,永広昌之,緒方信一,佐々木和彦,佃 栄吉,宮下純夫(順不同)