第15回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

大学生・大学院生賞:草千里

写真:古田大樹(東京都)
撮影場所:熊本県阿蘇郡阿蘇市草千里ヶ浜
 

【撮影者より
阿蘇・草千里ヶ浜に訪れた際に撮影しました.カルデラの中とは思えないほどの雄大な地形で,人がとても小さく見えます.どれだけの規模の火山活動があったのでしょうか.そこで,地面に目を向けると,特徴的な地形や地層があることに気づきます.火山活動は,プレートやマントル,さらに地球全体の気候にも関わります.そのような全球規模の現象の手がかりを,手に取れる石や地層から得られるのは,地学の大きな魅力の一つです.

【審査委員長講評】
草千里は直径1kmの軽石丘で,草原の中に雨水を湛えた池の構図が一般的ですが,本作品は山焼きが終わったばかりの黒々とした草千里が意表を突きます.そのため観光客の姿がはっきりわかり,草千里の広がりがわかります.意外性のある作品です.

【地質解説】
写真は阿蘇観光の中心地のひとつ,草千里ヶ浜火口の中心部を大胆に切り取っており,火口の全景は収まっていません.奥の山は烏帽子岳で,山頂部は草千里ヶ浜火口が噴出した軽石でできています.この軽石は高温のうちに厚く積み重なったため,強く溶結していますが,その様子は草千里ヶ浜に転石があり観察できます.人がいる平らな丘は,草千里ヶ浜火口ができた後で噴出した溶岩からなり,駒立山と呼ばれます.駒立山の左側が切り立っているのは,駒立山の形成後に左手で噴火が発生して火口が形成されたためです.つまり,草千里ヶ浜は少なくとも2回の噴火をしており,駒立山は後の噴火の火口壁となっているのです.(萬年一剛:神奈川県温泉地学研究所)

 

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