入選:刻々と
写真:新垣隆吾(沖縄県)
撮影場所:沖縄県 南城市の海岸
【撮影者より】
沖縄の岩礁で見られるノッチ.朝の静けさと刻々と変化する光が美しかったです.動かない岩礁ですが,刻々と形を変化させていると考えると,地球という惑星に感動しました.
【審査委員長講評】
【地質解説】
新垣さんは2年前の当コンテストで『地底の世界』(ルーマニア)で最優秀賞を授賞された方です.今回は地元沖縄の海岸で撮影された作品を応募されました.朝日に照らされた形の良い石灰岩のノッチ,海面に映るノッチや雲の影など,画面構成や露出のコントロールが絶妙で気持ちの良い作品になっています.
岩石海岸では,波の侵食作用により海面付近にノッチと呼ばれる窪みが形成されます.沖縄本島南部ではノッチが現在の海水面よりも高い位置でみられ,その後退点(ノッチの最も窪んでいる部分)高度は海抜4 mに達します.これは,沖縄本島南部が隆起傾向にあることを意味します.侵食されているのは,第四紀更新世にサンゴ礁とその沖合で形成された堆積物(那覇層)で,撮影地付近の堆積物は70万年以上前の沖合堆積物です.(井龍康文:東北大学)