大学生・大学院生賞:離島の断崖
写真:福永拓真(神奈川県)
撮影場所:長崎県 壱岐市辰の島
【撮影者より】
長崎県壱岐市の辰ノ島にて撮影した断崖.こちらは新第三紀の勝本層が波によって侵食されて形成された海食崖です.広角レンズで撮影することによってよりダイナミックなスケールが伝わるようにしました.
【審査委員長講評】
壱岐島は博多から高速船で1時間余り,そこから辰ノ島へは遊覧船で気軽に行ける場所のようです.この作品は島の高台から南東方向に海食崖,さらに遠方の地形を撮影したものです.青い空,白い雲,遠方の砂浜には人影も見えて行きたくなるような場所ですが,ジオフォトとしては手前の海食崖にもう一歩インパクトが欲しかった.
【地質解説】
玄界灘に浮かぶ長崎県北部の離島,壱岐島は島の大部分が400万年前頃から60万年頃までに断続的に噴出した溶岩流に覆われています.しかし,北端の辰ノ島や周辺では壱岐島でもっとも古い,中期始新世の勝本層が露出しています.勝本層は厚さが全体で450 m以上あるとされる砂泥互層で,波浪や潮流の影響を受けるような比較的浅い環境で堆積しています.古第三系のユーラシア大陸東部の海岸線の浅い海の状態を垣間見ることができます.(萬年一剛:神奈川県温泉地学研究所)