スマホ賞:スナヘビの大群
写真:高場智博(長崎県)
撮影場所:長崎県 五島列島福江島の高浜海岸
【地質解説】
【撮影者より】
スナヘビの大群が押し寄せてくるようなそんな一枚です.五島列島福江島の高浜海岸は遠浅の海となっており,潮が引くとリップルマークをみることができます.意外と硬い,砂の塊です.高浜海岸から近いところでは天然記念物「さざなみの化石」があり,2000万年前のリップルマークもみることができます.
【審査委員長講評】
写真とタイトルを見て一瞬,何だろうと思わせるのがこの作品の魅力です.解説を読むとなるほどと納得です.この作品では余分なものを一切いれず,スケールとなるものが入っていないが魅力となっています.現在のスマホでは標準的な1200万画素のカメラで撮影していますが,この程度のスマホのカメラならA4サイズのプリントには十分です.
高浜ビーチは,五島列島,福江島の北西部に位置する遠浅ビーチです.透明な海水と真っ白い砂浜で夏は海水浴で賑わいます.周囲は中新世の五島層群に取り囲まれ,すこし北に行くと三井楽地域の数万年前の玄武岩台地からなり,黒い岩石の地質帯のなかに突然現れる真っ白い砂は,細かな貝殻の破片からなっています.冬の季節風と強い波によって海底からの細かい貝殻破片が狭い高浜ビーチに寄せ集まります.潮が引くと,ウエーブリップルが教科書のように残り,美しい景観を残しています.接写でリップルの状態を取ったのは,ジオパーク教育が浸透してきたことをうかがえます.一般の人は砂蛇にみえるのかと驚きました.NHK朝ドラの「舞いあがれ」でも何度も登場しました.(清川昌一:九州大学)