入選(中高生部門):広がる世界
写真:谷川七海(長崎県)
撮影場所:長崎県五島市富江町土取
【撮影者より】
五島列島福江島富江の海岸で撮影した写真です.富江半島は福江島の南部に位置しており,流動性の高い玄武岩質溶岩でできた平坦な台地が広がります.この海岸では,流れた当時のしわ模様を残す黒々とした溶岩が見られます.透明度の高い海の向こうには,平坦な富江とは対照的で起伏のある福江のシンボル,鬼岳火山群が見えます.度重なる火山活動で,溶岩台地の上にいくつものスコリア丘ができています.福江島の火山を表す一枚が撮れました.
【審査委員長講評】
これも五島列島ジオパークでの作品です.福江島にはいくつかの単成火山群からなり,海を隔て鬼岳のスコリア丘とそこから広がる溶岩原,その右端には別のスコリア丘が見えます.手前は別の単成火山からの溶岩原で,この付近には日本で有数の溶岩トンネルがあります.力の入った作品ばかりを審査していると,のんびりしたこのような雰囲気の作品を見るとホッとします.
【地質的背景】
県立五島南高校の写真部は,本フォトコンの常連校であり,毎年多くの作品を応募いただいています.五島列島は,1月に日本ジオパークに認定され,ジオフォトの魅力を地域ぐるみで推進していることが感じられます.これら入選作品の撮影場所が,観光スポットにもなっているという話も聞くことができました.今回は,五島海岸の南側のなだらかな富江という場所から,五島の象徴である鬼岳火山(18000年前)を眺めるものです.青い海とパホイホイ溶岩が残る富江海岸は,荒々しい断崖海岸とはひと味違う優しい雰囲気が感じられます.(清川昌一:九州大学)