第13回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

入選:ぽっかり
写真:笠井 忠(奈良県)

撮影場所:和歌山市新和歌浦 蓬莱岩
 

 

【撮影者より】
日本遺産に認定されている「絶景の宝庫 和歌の浦」.泥質片岩からなる蓬莱岩は,結晶片岩類に見られる片理構造や長い年月による岩の風化,波の侵食によってできた海食洞門などがアクセントをつけ,独特の形から奇岩と言われる和歌浦の名所で,縁起の良い名前からパワースポットとも言われています. 近づいて見ると,ぽっかり空いた穴からは,ぽっかり浮いた雲と海が望め,引き込まれるようなパワーを感じました.

【審査委員長講評】
蓬莱岩は海岸に露出した岩場で,観光名所になっています.超広角レンズを使ってダイナミックに蓬莱岩を捉え,そこに空いた穴からタイミング良くぽっかりと浮いた雲を捉えました.フイルム時代には右側の日陰部分は露出アンダーで表現できませんでしたが,最近のデジタルカメラでは階調域が広く,このような作品ができるようになりました.

【地質的背景】
 和歌山市付近には,緑色の特徴的な苦鉄質片岩(緑色片岩)のほか,緑色ではないものの片理の発達した泥質片岩などの三波川変成岩類が分布します.海洋プレートの沈み込みに伴って,岩石が地下深部に到達すると,鉱物や組織などが変化した変成岩ができます.変成岩に含まれる鉱物が生成される温度・圧力の条件を調べて,どのくらい地下深部まで到達したのかを知り,大地の成り立ちを解き明かす研究が続けられています.三波川変成岩類は,白亜紀に変成を被ったものです.(後 誠介:和歌山大学客員教授)

目次へ戻る