ジオパーク賞:大海に注ぐ湧水
写真:大場建夫(秋田県)
撮影場所:山形県 飽海郡遊佐町 釜磯海岸
【撮影者より】
鳥海山・飛島ジオパークの中にある釜磯海岸の湧水群の夕べ.鳥海山からの伏流水が日本海の浜辺で湧水となって周囲の砂浜を流し日本海に流れ込むシーンは地球の自然がなせる感動を見せてくれます.
【審査委員長講評】
パターンが美しい作品です.最初は何を撮影したのかわかりにくいのですが,奥の方を見ると1mほどの湧水の流れを撮影したものであることが判ってきます.じっくり見るとだんだんわかってくるのがこの作品の魅力です.作者はこの作品のほかにも,視点を変えた2作品を応募されました.組写真での応募でも良かったかもしれません.
【地質的背景】
釜磯は,およそ20年間溶岩流の内部を伏流した地下水が,地表や海底に湧き出す場所です.磁鉄鉱と砂粒を用いて美しい模様を描き続けるこの湧水を涵養するのは,約10万年前に鳥海火山から噴出した吹浦(ふくら)溶岩です.ポットホールや穿孔貝の巣穴が約2mの高さから見つかることから,流下後,地震による隆起を経験したことがうかがえます.(大野希一:鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会)