入選:カルスト台地
写真:百崎礼治(福岡県)
撮影場所:福岡県 北九州市小倉南区平尾台国定公園
【撮影者より】
かつてサンゴ礁であったこの場所が地殻変動により隆起,石灰岩の大地となります.その後雨水による侵食で現在のカルスト台地を形成.日頃草で覆われ隠れているカルスト台地も,野焼きの後は,白い岩々が存在を主張しています.
【審査委員長講評】
福岡県の平尾台は山口県の秋吉台,四国カルストと並んで日本を代表するカルスト台地です.この作品は,溶食で残った石灰岩柱を野焼き直後に望遠レンズで切り取ったもの.このような地形が墓石地形とも呼ばれる理由がわかります.天地を切って余分なものを入れないのが良かった.
【地質的背景】
平尾台は秋吉台と同時期(石炭紀〜ペルム紀)の海山上に形成したサンゴ礁が付加したもので,九州最大のカルスト地形です.秋吉台と異なるのは,白亜紀頃の花崗岩や塩基性貫入岩による熱変成により結晶質石灰岩に変化しており,化石などはほとんど報告はありません.平尾台には4-5カ所一般の人が立ち入るこのできる洞窟もあり,その横には,日本で3番目に大きな石灰岩鉱山(三菱マテリアルなど)があります.(清川昌一:九州大学 )
(参考)清原正人,1968,地質調査月報,19巻7号,471-480. https://www.gsj.jp/data/bull-gsj/19-07_02.pdf