優秀賞:コジラの背
写真:中吉剛彦(東京都)
撮影場所:千葉県 南房総市・屏風岩【撮影者より】
千葉県は南房総市にある屏風岩を夕刻,長秒で撮ったものです.沈みゆく夕陽にまるでゴジラが追いかけるように海に潜っていくようにも見えました.
【審査委員長講評】
房総半島の南端,南房総市の屏風岩は撮影スポットして有名です.30秒の露出によって波はベール状となり,岩の質感がくっきりと浮き出されました.地層がなぜ直立しているのか知りたくなります.遠景に伊豆大島(右),利島(中),新島(左)のシルエットも高評価に繫がりました.
【地質的背景】
ゴジラの背を作っている地層は,南房総に広く分布する千倉層群下部の白間津層です.白間津層は,約3 Maの海溝陸側斜面で形成された地層と解釈されており,シルト岩と凝灰質砂岩,凝灰岩,火山礫凝灰岩などとの互層で特徴づけられます.凝灰岩と火山礫凝灰岩の中には,シル,ダイク,ラコリスなどの砕屑性貫入岩(インジェクタイト)の特徴が認められます.また,シロウリガイ化石や炭酸塩コンクリーションの産出も一部で認められます.(伊藤 慎:千葉大学)