入選(中高生):ゴジラの爪
写真:田邊はるか (大阪府)
撮影場所:高知県 室戸岬先端 灌頂ケ浜(室戸ジオパーク)
【撮影者より】
特に見えるのは室戸岬の灯台です.室戸の大地の大部分は氷河期時代の終わりに太平洋の深海で堆積した層でできています.海岸からせり出す崖と広がるシマシマの地層.これらはプレートの動きで大地が隆起して作られました.中央にある横長の大きな岩はカレントリップルで,波の化石とも言われ,タービダイト層の所々に見られます.このような海底の痕跡により,ここがかつて海だったことがわかります.まるでゴジラの爪のようです.
【審査委員長講評】
室戸はユネスコ世界ジオパークにも指定され、展示やジオツアーなども充実しており、日本列島の成り立ちを学ぶのに適した場所です。タイトルを見てびっくりしましたが、解説文を読むとしっかりと地層のでき方を理解された上でつけられたタイトルなので安心しました。
【地質的背景】
室戸岬にみられる縞々の地層は,土砂が深海底に運ばれ堆積したタービダイトと呼ばれる地層です.海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むときに,海底の表層部にあったタービダイトは剥ぎ取られて大陸の縁に付加し,付加体が形作られます.付加体が作られる過程で、もともと水平だった地層は,折れ曲がったり,垂直に立ったりしてしまいます.地震により隆起する室戸岬では,海の中から付加体が顔を出し,新しい大地が誕生している場所になります.地質学的には室戸岬のタービダイトは四万十帯南帯に属し、およそ漸新世―中新世の年代を持つ最も新しい時代の付加体にあたります。背景にある山は隆起量が大きいところで出来る海成段丘で,その段丘面から白い灯台が室戸の人々を100年以上も見守っています.(高橋 唯:室戸ジオパーク推進協議会)