入選(中高生) :幸(さち)を育む海と大地と,そして空
写真:奥野由寿 (長崎県)
撮影場所:長崎県五島市岐宿町岐宿 城岳展望所
【撮影者より】
長崎県の五島市岐宿にある城岳展望所から望む溶岩台地は約74万年前に流れ出た玄武岩の熔岩でできており,その後風化作用により土壌が形成され,広大な畑地となりました.周辺の凹凸の熔岩海岸では,魚介類や海藻類がよく取れ,イイダコとりを行う格好の場所です.太古の昔の火山活動が海や里の恵みを育む環境を作ってくれて,現在の私たちの生活を支えてくれています.五島産の米,野菜,肉,魚介類はとっても美味しいです.
【審査委員長講評】
地元の高校生がスマホで撮影した作品です。力強い作品ばかりを見ているとくたびれてしまいますが、その中でこのようなのんびりした作品を見るとほっとします。解説文からも郷土愛が感じられ、ほのぼのとします。遠くに見える島や海に写った雲も良いアクセントになっています。
【地質的背景】
撮影者は高校生ですが、地質についてのコメントも勉強した上で撮影しており、ジオパークを目指す地元の普及活動が感じ取れる作品です。五島列島の福江島は、島中央部は中新世の五島層群からなる地質帯で山地を作っているが、南北地域は第四紀の玄武岩が日本海形成時の正断層沿いに噴出しており、平野が広がっている。撮影場所は五島層群の切り立った展望台から見たもので、左中央に見える2つの小島は砂岩泥岩の地層が垂直に立った五島層群からなり、その古い地形を避けるように溶岩が流れていた様子がよくわかります。(清川昌一:九州大学)