入選:活火山のある暮らし
写真:迫 勇 (鹿児島県)
撮影場所:鹿児島県 垂水市海潟の高台
【撮影者より】
2019年11月12日23時07分,南岳山頂火口噴火により赤く染まる桜島です.しばらく活動がおとなしめでしたが,この頃,噴火が活発化しており,チャンスを伺っていました.突如訪れたその瞬間は全身鳥肌もの.自然の脅威と美しさを同時に感じた瞬間でした.とはいえ,これは日常の光景.この瞬間も麓では車が走っていました.大噴火が心配されてはいますが,火山と共生する桜島の暮らしを今後も撮っていきたいと思います.
【審査委員長講評】
桜島は、2010年〜2015年は南岳昭和火口からの噴火が盛んでしたが、現在は南岳山頂からの噴火が続いています。何日も通っても運が良くなければこのような噴火には出会いません。この撮影地点からは望遠レンズで噴火のみを捉えがちですが、作者は噴火とともにそこに住む人々の暮らしを写し込む着眼点が良かった。
【地質学的背景】
噴火で放出された火山弾が,桜島の8合目付近まで赤く染めています.昼は黒く見える火山弾も実は赤熱するくらい高温なのです.桜島では「噴火警戒レベル3」が続いていて,南岳山頂火口と昭和火口から2km以内の区域への立ち入りができません.現在の規模の噴火が続く限り,大きな噴火災害は起こらないと思いますが,桜島大正噴火(1914年)規模になると,桜島島内だけでなく周辺市町村でも注意が必要になります.(井村隆介:鹿児島市大学)