入選:キラウエア火山の溶岩湖
写真:田中信彦(東京都)
撮影場所:アメリカ キラウエア火山山頂 ジャガーミュージアム前
【撮影者より】
キラウエア火山山頂の火口では,2018年4月末〜5月初に溶岩水位が上昇し,ジャガーミュージアム前の展望台から溶岩湖表面が観察できました.空気で冷却された黒い表面は何枚かに割れ,その割れ目は溶岩の赤い線に囲まれていました.火口壁では時々溶岩のしぶきが上がっていました.その辺りの表面はうねり,引きちぎられて飛ばされていました.
【審査委員長講評】
最初はエチオピアのエルターレ火山の溶岩湖を撮影した作品と勘違いしましたが,キラウエア火山ハレマウマウ火口の直径150m程の溶岩湖の溶岩水位が運良く上昇した時を捉えて撮影した作品でした.このように撮影できたのは最近数十年間ではわずか数か月だけ.その後,南東山麓からの割れ目噴火によってキラウエア山頂部は陥没し,この溶岩湖も消滅しました.
【地質的背景】
撮影地であるジャガーミュージアムは,アメリカの地質学者,トーマス・A・ジャガーに由来します.ジャガーは自費でキラウエア火山の研究をはじめ,様々な人々の支援を受けて,キラウエア火山の山頂火口を見渡せるこの場所に火山観測所を建設しました.ジャガーが意図したように,噴火の様子を見事に写真に収められましたが,現在は火山活動の活発化に伴い閉鎖されたようです.(萬年一剛:神奈川県温泉地学研究所)