第10回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

ジオ鉄賞:川底を抜けて
写真:桑田憲吾(東京都)
撮影場所:滋賀県 湖南市JR草津線甲西ー三雲間 大砂川隧道付近
 


 

【撮影者より】
沖積平野の上に細長く伸びる地形とその下を潜る短いトンネル,そしてそこには「大砂川」の文字.天井川は堤防の建設という人間の力と,土砂の供給と堆積という自然の力が合わさって出来上がった特異な河川であり,滋賀県を走る草津線には全国的にも珍しい天井川の下を潜るトンネルが存在します.このトンネルは草津線開業の1889年に建設されたもので,天井川は100年以上も前から形成されていたことが分かります.

【講評・地質解説】
写真はJR草津線三雲-甲西間で柘植方面へ列車を見送っている風景です.平らに見える土手は典型的な天井川の大沙(おおすな)川で,列車が河底をくぐる瞬間を捉えています.河川勾配も読み取れる優れたアングルです.大砂川トンネル(14.5m)は1889(明治22)年建設当時のまま今に至る煉瓦造りの貴重な河底隧道で,トンネル完成後に電化したため(草津線の全線電化は1980(昭和55)年),トンネル部分の路盤を低く盤下げして架線を通した様子も作品に写し込まれています.鉄道の旅を通して大地の成り立ちと変化に思いを馳せる「ジオ鉄賞」に相応しい作品でした.(深田研ジオ鉄普及委員会 藤田勝代)

(注)河川名は「大沙川」,トンネル名は「大砂川トンネル」.いずれも読みは「おおすながわ」

※「ジオ鉄賞」:第6回より深田研ジオ鉄普及委員会より本コンテストに後援を頂き,「ジオ鉄」賞を設けています.鉄道と地球の姿を組み合わせた優れた「ジオ鉄」作品を表彰します.

 

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