第10回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

優秀賞:枕と星屑と
写真:森田康平(東京都)
撮影場所:東京都 小笠原村父島 小港海岸


【撮影者より】
小笠原父島.一度も陸続きになっていない海洋島です.水中で吹き出したマグマが急速に冷却されこのような不思議な模様に.枕状溶岩が壁一面見える位置と星を写したくあえて月が出ている時を狙いました.砂浜がレフ板替わりになり月光がこの溶岩の壁を優しく照らしてくれました.雲が流れている感じが時間の経過を表しているように思って撮りました.圧倒されるようなパワーがありとても好きな場所です.

【審査委員長講評】
小笠原諸島の父島周辺には枕状溶岩の露頭がたくさんありますが,海に面した急崖が多く,陸上で見やすい場所は限られます.その数少ない場所が小港海岸で,ここでは多くの写真が撮影されています.この作品も上弦過ぎの月光と超広角レンズを使ってうまく撮影しています.低空に白雲があったのが少し残念でした.

【地質的背景】
枕状溶岩とは溶岩の形態の名前で,水で急速に冷やされて溶岩の表面が固まるためにできます.つまり,この溶岩は海底火山の噴出物です.この露頭の枕状溶岩は,岩石学的には,ボニナイトと呼ばれ,安山岩の仲間ですが,長石を含まず,マグネシウムに富む斜方輝石である古銅輝石を含む,珍しい岩石です.ボニナイトは,世界で初めて小笠原で初めて発見され,名前は小笠原の旧称,無人島(ぶにんじま)の石という意味があります.(萬年一剛:神奈川県温泉地学研究所)

 

目次へ戻る