入選:日が暮れる
写真:高橋広太郎(福岡県)
撮影場所:福岡県北九州市小倉南区 平尾台
【撮影者より】
夏の終わりが近づくころの夕陽を,平尾台の特徴的な岩と共に撮影しました.
【審査委員長講評】
この作品は,福岡県のカルスト台地,平尾台の石灰岩柱を日没時に撮影したものです.山口県の秋吉台には墓石状の石灰岩柱が多いのですが,平尾台には円頂型のものが多いようです.作者はその中から馬蹄形のものを選んで撮影しました.日没の光で石灰岩の質感をうまく表現しました.
【地質的背景】
平尾台は秋吉台と同時期(石炭紀〜ペルム紀)の海山上に形成したサンゴ礁が付加したもので,九州最大のカルスト地形です.秋吉台と異なるのは,白亜紀頃の花崗岩や塩基性貫入岩による熱変成により結晶質石灰岩に変化しており,化石などはほとんど報告がなく,よく見ると貫入岩が規則正しく並んでみられます.写真は夕日と丸い侵食地形が美しく,接写部分ではザラメ糖のようなカルサイトの結晶がみられ,平尾台の石灰岩の特徴をしっかりと記録しており,ジオフォトとして高く評価されます.平尾台には4-5カ所一般の人が立ち入るこのできる洞窟もあり,その横には,日本で3番目に大きな石灰岩鉱山(三菱マテリアルなど)があります.詳細は,以下を参照してください.
https://www.gsj.jp/data/bull-gsj/19-07_02.pdf(九州大学 清川昌一)