第9回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

入選:昔 何もなかった頃
写真:矢野根滋明(石川県)
撮影場所:石川県加賀市片野海岸


 

【撮影者より】
軽石凝灰岩が波に侵食された海岸です.侵食により岩は砂浜の海岸線上にあり,真近に観察することができます.海と夕日を交えて,ノスタルジック風に撮影しました.

【審査委員長講評】
加賀市の片野海岸のある軽石凝灰岩の露頭を夕日とともに撮影した作品です.インターネットで調べると,作品左側に写っている露頭は,かなりりっぱな軽石凝灰岩の露頭のようですが,この作品ではそのことが伝わってきません.美しい作品ですが,もうすこしジオの要素をとりいれて欲しかったと思います.

【地質的背景】
加賀市片野の長者屋敷跡海岸から見た,沈みゆく太陽と雲,海,大地が織りなす幻想的な光景です.ここの磯や崖は尼御前岬層の純白の軽石凝灰岩からなり,火山豆石や気泡が引き延ばされた木片状軽石を多く含んでいます.画面中央に東尋坊や越前松島の中期中新世火山岩(12-13Ma)の丘陵が遠望され,本層はそれより少し古いとされています.画面左手の海岸段丘上には黒色の安山岩(9Ma)の岩塊が多数散在し,長者屋敷伝説のもとになっています.(元日本地質学会会長 石渡 明)

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