入選:尖塔エギュー・ドゥ・ミディ
写真:高木 嶺(東京都)
撮影場所:フランスシャモニー州,エギュー・ドゥ・ミディ(Aiguille du Midi)
【撮影者より】
この写真はフランスシャモニーの観光地,エギュー・ドゥ・ミディです.氷河が削った2つのU字谷の間が鋭く尖っている様子を超広角レンズで撮影しました.このような自然が織り成す造形美は,行くことが困難な場所も多くありますが,ここは観光地化されており,人がたくさんいるのもまた面白いと思い,尖塔だけではなく人も構図に入れて撮影しました.
【審査委員長講評】
エギュー・ドゥ・ミディは,フレンチアルプスの最高所(3,842m)にある展望台で,ロープーウェイで簡単に行くことができます.目の前にあるモンブランやグランドジョラスにカメラを向けて終わってしまいがちですが,ここでは冷静に岩峰を画面中央に配置して観光施設や観光客をしっかりと写しています.岩峰を構成する岩石もよくわかります.
【地質的背景】
Aiguille du Midiはモンブラン山系の1つでフランス・イタリア国境に位置する標高3,842mの険しく切り立った山です.「Aiguille」は針のように尖った山という意味で,「針峰」と訳されます.その地質はバリスカン造山帯の変成基盤岩類で特徴付けられ,アルプス造山運動により著しく変形した片麻岩・ミグマタイトとカルクアルカリ系の花こう岩から構成されます(放射年代は古生代後期).針峰の地形は氷河の侵食作用によって形成されたものです(東北大学アジア研究センター 辻森 樹)