第8回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

入選:太古からの流れ
写真:木下 滋(和歌山県)
撮影場所:和歌山県西牟婁郡すさみ町小附,城川(日置川支流)


 

【撮影者より】
和歌山県すさみ町に「まだら岩」と呼ばれている地層があります。砂岩と泥岩が交互に重なった地層が、地価の熱水によって熱変性を受け硬化したものだそうです。太古からの水の流れが岩を削り取った模様もたいへん興味深く、自然の凄さを実感できます。

【審査委員長講評】
評者は,このような渓谷があるのを初めて知りました.この作品にはスケールになるようなものが写っていないので,どのくらいの大きさかわかりません.しかし,虎皮のようなパターンが強烈なので,大きさをわからせないのも作品を魅力的にする方法かもしれません.


【地質的背景】
まだら岩は,紀伊半島南部を流れる日置川の支流城川にあります.日置川流域には始新世に堆積した四万十付加体の牟婁付加シークエンス(牟婁層群)が広く分布します.牟婁付加シークエンスは砂岩層,砂岩泥岩互層,泥岩層および礫岩層からなる海底扇状地を形成した堆積体です.城川は中期中新世の火成作用によって形成された,南北にのびる琴の滝変質帯を横切るように流れています.まだら岩はこの熱水変質をうけて,白色化・硬化した牟婁付加シークエンスの砂岩泥岩互層(タービダイト)です.硬化したタービダイトが城川の瀬で磨かれて,砂岩の白,泥岩の黒に,酸化鉄の黄褐色が付加されたまだら岩が城川の清流に映えています.(中屋志津男:南紀熊野ジオパーク学術専門委員)
 

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