入選:太平洋のヘソ
写真:滝 玲名(愛知県)
撮影場所:イースター島、チリ
【撮影者より】
イースター島は、不思議な歴史を持つ「モアイ像」で有名な、太平洋に浮かぶ孤島です。 火山島であるこの島は、火山の噴火によって75万年前に形成されたとされ、玄武石で鉄分の多い地質です。島内には多数の休火山、噴火口や火口湖があり、その中でもここ「ラノ・カウ」の火口湖はイースター島内で最大のもの。直径は約1600m、火口壁の高さは約200m、そして湖の水深は深いところで約11mとかなり大規模です。イースター島の最南端に位置しており、火口湖の淵には歴史的にも重要な先住民の儀式村があったことから、かつてこの火口湖が文化的にも非常に神聖かつ重要な場所であったことも伺えます。 また、ここの淡水は、海に囲まれたイースター島に住む約6000人の島民にとって貴重な水源の一つでもあります。
自分が本当に感動した場所が選ばれて、嬉しいです。実際に目の前にすると、この火口湖の大きさには圧倒されます。普通のカメラレンズでは全体像が収まらなかったので、iPhoneのパノラマモードで撮影しました。
【審査委員長講評】
イースター島南西端にある火口湖を撮影した作品です.火口湖の縁に立って火口湖全体を撮影するのは難しく,以前は魚眼レンズや超広角レンズを使うしかありませんでした.この作品はスマホのパノラマ機能が使って撮影したものです.カメラを一端に向けてシャッターを切り,半周回ってからシャッターを再度切るととこのような作品が撮れます.
【地質的背景】
イースター島は南米チリの海岸から約3500 km,最も近い有人島であるピトケアン島からも約2000 km離れた絶海の孤島です.太平洋プレートとナスカプレートの発散境界付近から東に続く海山列(Sala y Gómez Ridge)上にあり,ホットスポット型の火山島です.ラノ・カウ火山はイースター島南西部を占める玄武岩の楯状火山ですが,活動末期には流紋岩の軽石が噴出しています.この大きな噴火口は陥没カルデラと考えられているようです.(神奈川県温泉地学研究所 萬年一剛)