第8回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

入選:大ヤスリ岩の見下ろす山並み
写真:三浦雅哉(神奈川県)
撮影場所:山梨県北杜市瑞牆山


 

【撮影者より】
奥秩父山脈の最西端に位置する瑞牆山。大ヤスリ岩の見下ろす先には低い山並みが南アルプスまで延々と続きます。この大ヤスリ岩を含む奇岩・巨岩群は、山体の風化から取り残されて露出したものです。全山が黒雲母花崗岩で形成される瑞牆山は、風化の影響を受けやすく山体の南西部を中心に崩壊が進みました。結果、大ヤスリ岩など奇岩・巨岩群の林立するこのような山体が出来上がりました。
眼下にそびえ立つ岩々と遙かに広がる南アの山並み、構図におさめる際どちらも切り捨て難く、思わず何枚も撮ってしまいました。それらの中で選び抜いた一枚です。

【審査委員長講評】
瑞牆山(みずがきやま,標高2230m)は日本百名山の1つで,山頂部の花崗岩の巨石群(トア)で特徴づけられます.作者は山頂からトアを見下ろしていますが,秋晴れで空気が澄んでいたため,中景の紅葉や遠景の山々がくっきりと見えています.


【地質的背景】
花崗岩はマグマが地下深部でゆっくり冷え固まってできた深成岩の一種であり、大陸地殻を特徴づける岩石です。写真の瑞牆山の花崗岩は、伊豆衝突帯の北端、伊豆-小笠原弧と本州弧との衝突が開始した中期中新世のマグマ活動で形成したものであり、島弧の衝突帯における大陸地殻形成過程を理解する上で重要な位置にあるため、国内外の研究者から注目を集めています。(愛媛大学 齊藤 哲)

 

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