入選:リーセフィヨルドの説教壇
写真:上砂正一(大阪府)
撮影場所:ノルウェー リーセフィヨルド
【撮影者より/地質学的背景】
フィヨルドは,氷河時代の終わりごろに氷が融けて海面が上がったために,この深い谷の一部が海に沈むことで形成されました.湾口から湾奥まで幅の変化が無く,非常に細長い深い谷を形成しています.海岸線は断崖絶壁となっています.山地,渓谷が沈水してできたリアス式海岸とは大きな違いがあります. リーセフィヨルドは垂直に切り立った,巨大な岩に挟まれた全長42kmのフィヨルドで氷河によって形成された地形と地質を楽しむことができます.このフィヨルドの最大の見所は,プレーケストーレンと呼ばれる一枚岩が海面から垂直に604mの高さで切り立った崖です.真っ平らな崖の頂上の形状は,およそ25m2の正方形で柵も無くここに立つと切り立った崖からスリル満点な眺望を味わえます.あいにく海上からの展望となり,見上げると断崖絶壁の連続でした.この崖の周辺には滝があって,観光船は崖に着けて滝の水を大きなひしゃくで汲んで飲ませてくれました.とてもまろやかで冷たい水でした.岩石は,花崗岩〜花崗片麻岩と思われ,所々に亀裂が入っているのが写真でもわかります.(上砂正一)
【審査委員長講評】
ノルウェー西海岸には多数のフィヨルドがありますが,代表的な観光地がプレーケストーレン(説教壇)です.崖上から撮影された写真が多数紹介されていますが,私は下から見上げた写真を見るのはこれが初めてです.高さは600mもあり,崖上の中央やや右に説教壇が写っています.もしオリジナルに崖上の人が写っていればスケールとなり,作品の価値が一段と高まります.