第6回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

入選:宝永山火口
写真:平井健司(静岡県)
撮影場所:富士山表口5合目より宝永山遊歩道


 

【撮影者より】
江戸期宝永の年に富士山大爆発によってできた大火口で,異空間の世界を作っています.溶岩に含まれる赤鉄鉱による赤岩の地層が見えます.世界文化遺産に登録された富士山はその秀麗な姿を賞賛され,四季折々に人々の目を楽しませています.しかしまぎれもなく「火山」であり,地下には膨大なエネルギーを有しています.人は保全に務めると共に自然への畏怖の念を忘れてはならないと思います.

【審査委員長講評】
宝永火口は,山頂火口よりも大きな冨士山最大の火口で,この作品は冨士宮口六合目を経て宝永火口の西縁の入口から宝永火口の全体を撮影したと思われます.左の火口壁には古い時代の溶岩流とそれを垂直に貫く岩脈群が,さらにその奧には富士山頂が,右手前には古い地層が持ち上げられた宝永山の赤岩があります.全体的に落ち着いた色調の格調高い作品に仕上がっています. 


【地質的背景】
1707年12月16日(グレゴリウス暦)に始まった宝永噴火で形成されたのが,宝永火口です.宝永火口は3つあり,標高の高い北東側から,標高が低い南西側へと言う順番で宝永第一〜第三火口と呼ばれています.しかし,噴火は第二と第三火口ではじまりました.その後,これらの火口の東縁で宝永山の隆起があり,最後は第一火口が噴火して終わりました.この写真では手前に第二火口,奥に第一火口,右手に宝永山が見えています.(神奈川県温泉地学研究所:萬年一剛)
 

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