入選:千畳敷
写真:山代大木(岩手県)(中学・高校生部門より)
撮影場所:岩手県釜石市箱崎半島
【撮影者より】
釜石湾と大槌湾を仕切るのように太平洋に突き出た御箱崎半島にある千畳敷にて撮影しました.波の侵食作用によって削られた花崗岩が,敷き詰められた畳のように見えることからこの名前がついたそうです.いかにも陸中海岸らしい風景だと思い,撮影しました.
【審査委員長講評】
この作品は中・高校生部門での応募ですが,中高校生にしてはまとまり過ぎているので,もう少し冒険があってもよいかもしれません.今回のコンテストでは,この作品に限らず,撮影者のコメントがしっかり書かれている作品が多いのは心強いことです.地質や地形の撮影を通して地質学への理解を深めてもらうことも,日本地質学会がこのフォトコンテストを主催する大きな意義です.
【地質的背景】
北上山地には前期白亜紀の花崗岩類が広く分布します.御箱崎半島の北半〜先端部は宮古岩体南端部の花崗岩質岩類が占めており,海岸では白色の岩肌を見せています.釜石周辺では,NE-SW〜ENE-WSW方向の節理がよく発達し,この方向がリアスの湾入方向(岬の方向)を支配しています.御箱崎も北東に細く突き出した岬で,NE-SW方向の大小の湾入を基本構造とし,それに他の方向の節理や断層に沿う侵蝕で様々な形態の微地形を造っています.(永広昌之:東北大学総合学術博物館)