第6回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

スマホ賞:灼熱の谷(スマホ・携帯)
写真:三浦雅哉(神奈川県)(中学・高校生部門より)
撮影場所:箱根町大涌谷 箱根ロープウェイ


 

【撮影者より】
2014年秋に箱根ロープウェイから撮影しました.大涌谷は箱根火山の中央火口丘冠ヶ岳の地滑りによる崩落地で,箱根火山最大の噴煙地帯です.常に火山ガスを含む蒸気が吹き出しています.

【審査委員長講評】
スマートフォンについているカメラの進歩も著しく,1000万画素以上で露出補正,パノラマ,接写もできるものも多く,10年前の高級デジカメ以上の性能を備えています.ロープウェイから撮影されており.地上から撮影した大涌谷とは違った全体像がとらえられています.見上げるような冠ヶ岳の配置もよかった. 


【地質的背景】
箱根ロープウェイの早雲山─大涌谷駅間は大涌谷という沢を通過します.ゴンドラから谷底まで100m以上あり,迫力は満点です.ゴンドラの南側の窓から3000年前の最後のマグマ噴火で形成された冠ヶ岳と,谷底を1枚に収めています.大涌谷では1910年に,大規模な土砂崩れがあり,下流に大きい被害が出たため,長年にわたり砂防工事が行われ現在も進行中です.また,カルデラからくみ上げられた水と,大涌谷の噴気を混ぜることにより箱根温泉全体の約1割にあたる量の温泉がここで作られています.利用されている噴気には自然噴気だけでなく深さ数百メートルの井戸から得られる噴気もあります.この写真では,井戸から採取した噴気と水を混ぜる造成塔と呼ばれる施設が谷底にいくつか見えます.
※追記:箱根山では,2015年4月26日から大涌谷付近を震源とする火山性地震が増加し,火山活動が活発化しています.気象庁は,5月6日に火口周辺警報を発表し,噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引上げました.本稿執筆時,火山活動の高まりにより,一部の井戸で噴気が制御でいないほど増大しています同様の現象は2001年にもありました.また,今回の活動に関しては,各機関等HPに詳細情報が更新されています. (2015年5月19日現在)
[参考URL]
・気象庁 
http://www.jma.go.jp/jma/index.html
・神奈川県 http://www.pref.kanagawa.jp/
・神奈川県温泉地学研究所 http://www.onken.odawara.kanagawa.jp/

※「スマホ賞」:ジオフォトがより身近でより親しみやすいものとなるよう,またチャンスを逃さない新たな視点の作品投稿につながるよう,携帯,スマートフォンでの撮影作品を対象に表彰します.
 

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