第6回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

ジオパーク賞:太古の跡の砂滑り
写真:竹之内範明(静岡県)
撮影場所:静岡県下田市田牛サンドスキー場


 

【撮影者より】
南伊豆の海水浴場で穴場的存在である田牛には,サンドスキー場があり,砂滑りが楽しめます.これは海岸の砂が強風によって吹き上げられいつも一定の角度で安定しているためです.しかし,ジオサイトとしての見どころはむしろ背後の崖で,海底火山時代の噴出物が岩脈となって地上に荒々しい姿を見せています.太古の跡の残る崖の下で砂滑りに興じる子ども達の姿に魅かれて撮影しました.

【審査委員長講評】
 爆発的な噴火を物語る太古の海底堆積物の前にあるのは,海岸から強風に運ばれてきた砂でできた斜面.お父さんと子供(?)が,背景の地層には見向きもせずにそり遊びに興じているようすが微笑ましく感じられます.傾斜した地層とそりの滑り跡が対照的で,作品を印象深くしています.


【地質的背景】
背景に見える礫と砂からなる互層は海底火山の噴出物で、白浜層群という鮮新世の地層です。画面中央付近をよく見ると葉脈のように枝分かれした黒い筋が3本ほど見えます。これは岩脈と言って、地下でマグマが上昇してくるときに地層を割って入ってきた跡です。ただ、普通、岩脈というものは地層を縦にスパッと割って入り、厚さもメートルオーダーはあるものです。ここの岩脈はとても薄く、枝分かれも多いため、なんとなくヨロヨロとした印象を受けます。あまり典型的でない、珍しい岩脈ですが、どうしてここではこのような岩脈が出来たのか、詳しい研究はまだされていないようです。(神奈川県温泉地学研究所 萬年一剛)
 

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