優秀賞:干潮の橋杭岩
写真:鈴木文代(和歌山県)
撮影場所:和歌山県串本町橋杭岩
【撮影者より】
昨年,南紀熊野ジオパークに認定されました「橋杭岩」です.干潮時には,岩の傍まで行くことが出来ます.少し残った海水に,橋杭岩が映り込んだり,砂紋を見ることが出来ます.2014年12月22日大潮の干潮時にそばまで行って撮影しました.
【審査委員長講評】
橋杭岩は,𠮷野熊野国立公園の中にあり,風景写真として数多くの写真が撮影されていますが,この写真では手前のリップルマーク(漣痕)が存在感を示しています.斜光によってリップルマークが強調されるとともに,青空をバックに陰影に富んだ橋杭岩が印象的です.
【地質的背景】
橋杭岩は,中新世熊野層群の泥岩に貫入した石英班岩が,差別侵食により,切り立った岩列をなすようになったもので,国指定天然記念物の名勝です.潮間帯の元で波食棚をなす平坦な泥岩の上には,橋杭岩からもたらされた無数の石英班岩の巨礫が散らばっており,これらが南海トラフ巨大地震による津波石であるという指摘もなされています.作品で見られる波食棚上の砂紋は,潮汐のたびに形を変えて様々な模様を見せてくれます.(産業技術総合研究所:宍倉正展)