入選:東京砂漠
写真:鈴木正人(静岡県)
撮影場所:東京都神津島村天上山.「裏砂漠」とよばれるポイント
【撮影者より】
初夏に初めて家族で出かけた神津島は島の海岸沿いの景色にも圧倒されましたが,島全体を作っている「天上山」の頂上の景色には驚かされました.神津島はビーチへは行ったことはあったのものの,島野象徴であるこの山に登るのは初めてでした.いっしょに登った子どもたちもこの「裏砂漠」についた時,TVで見る月面のような風景に「日本にもこんなそれも東京にこんな風景があるんだ.なんだここは」とびっくりして言葉がでませんでした.これまでに見たことがない景色に感動するとともに,大地の鼓動を感じるようでした.
【審査委員長講評】
神津島は,伊豆諸島の中ほどにある火山島で,島のほぼ中央にあるのが天上山(標高572m)です.山頂部の植生のない平坦地は裏砂漠と呼ばれています.お母さんと一緒に歩いていたお子さんが,見たこともない風景に出会って嬉しくて走り出したのでしょう.楽しそうな様子が伝わってきます.
【地質的背景】
神津島はいくつもの流紋岩質の溶岩ドームからなる火山島です.流紋岩質の溶岩は白っぽく粘性が高いために,玄武岩質の伊豆大島や三宅島とは全く雰囲気が異なります.神津島最新の噴火は838年からはじまった噴火で,この時できたのが天上山の溶岩ドーム.この噴火からまだ千数百年しかたっていないので溶岩ドームの地形がよく保存され,天上山やその南東海岸ではそのときの溶岩や火砕流堆積物を観察できます.(審査委員長 白尾元理)