優秀賞:枕状溶岩とアオウミガメの産卵
写真:後藤文義(神奈川県)
撮影場所:父島小港海岸
【撮影者より】
2013/5/10日の早朝,宿近くの小港海岸出かけたところ,砂上にウミガメの上陸跡が確認できました.その跡をたどると,なんと,枕状溶岩壁の前でアオウミガメが,目に涙をいっぱいためて産卵中でした.その後,彼女は2時間位で仕事を終え,ゆっくりと,何回も休息を交えながら無事海に入って行きました.
【審査委員長講評】
小笠原諸島父島,小港海岸の枕状溶岩は日本を代表する枕状溶岩の産地です.多数の写真が撮影されているので類型的になりがちですが,作者はウミガメが枕状溶岩の前で産卵するのに偶然出くわしました.このような写真では露頭はないがしろにされがちですが,この作品ではウミガメも露頭もきちんと撮影されていることから優秀賞としました.
【地質的背景】
父島の枕状溶岩は古第三紀始新世(約5000万年前)の海底噴火によって堆積したものです.海底に噴出した溶岩は海水に触れると急冷して固結しますが,内部はまだ融けているので前進します.この繰り返しで枕状溶岩ができます.父島の枕状溶岩は,ボニナイトと呼ばれるマグネシウムに富んだ安山岩です.(審査委員長 白尾元理)