第5回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

優秀賞:地層風景
写真:増見芳隆(東京都)
撮影場所:アメリカ ユタ州国道163号線メキシカンハット近郊サン・ホアン川


 

【撮影者より】
国道163のモニュメントバレーからアーチーズ国立公園を結ぶあたりにこの地層が見えます.サン・ホアン川に削られた侵食と風化を繰り返してきた,この地層の歴史と変化は,私にはすばらしい自然のアートを発見した想いで撮影しました.

【審査委員長講評】
アメリカ西部は乾燥気候のために植生に乏しく,地層や地形の撮影には適した場所です.コロラド高原を何百㎞もドライブしていると,このような風景に出会ってドキッとすることがあります.作者は,平行な地層が変形していく場所を選んで撮影しました.地層の灰色と赤褐色,河辺の緑,空の青と雲の白,色彩豊富な地質写真となっています.

【地質的背景】
米国ユタ州南東端Mexican Hat付近で見られるRaplee monocline.コロラド高原のほぼ中央部に位置します.写真は,南北に約15 km程連なる山地の最も標高の高い部分の西側斜面を捉えています.斜面を構成する地層は後期石炭紀のHermosa層群で,石灰岩・砂岩・頁岩からなります.San Juan川の両岸に広がる赤褐色の水平層はペルム紀のHalgaito頁岩層.この構造は,中生代末から新生代初期にかけて起こったララミー変動に伴う圧縮応力による変形であり,単斜構造の下には逆断層が存在すると考えられています.(早稲田大学 小笠原義秀)


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