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┴┬┴┬ 【geo-Flash】 日本地質学会メールマガジン ┬┴┬┴┬┴┬┴
┬┴┬┴┬┴┬ No.218 2013/5/21 ┬┴┬┴ <*)++<< ┴┬┴┬┴
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★★目次 ★★
【1】「原子炉施設の敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド(案)」に対する日本地質学会のコメント
【2】紹介:地球深部探査船「ちきゅう」プラモデル
【3】第4回惑星地球フォトコンテスト:入選作品展示会のお知らせ
【4】仙台大会関連情報
【5】地質図幅をネットで読める「地質図Navi」が正式公開
【6】支部情報
【7】その他のお知らせ
【8】公募情報・各賞情報
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【1】「原子炉施設の敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド(案)」に対する日本地質学会のコメント
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現在,原子力規制委員会の中では「発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる規制基準」の策定が行われております.その中で,添付の「敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド(案)」が策定され,これに対する意見募集が行われました.これに対して,日本地質学会から以下のとおり意見を提出しましたので紹介します.
日本地質学会より提出した意見書,意見募集の本文など,詳しくは
http://www.geosociety.jp/engineer/content0024.html
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【2】紹介:地球深部探査船「ちきゅう」プラモデル
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図1. 「ちきゅう」プラモデルの完成品(今回組み立てたもの). |
株式会社バンダイ 外箱387x309x81 mm, 完成品 300x186x55 mm(台座を含めると高さ250 mm)参考価格5,985円
「ちきゅう」のプラモデルが発売された。日本が建造・所有し、統合国際深海掘削計画(IODP)の枠組みの中で運用している世界最大の科学目的の海底掘削船(ただし運用時間の半分程度は経済活動に従事)の精巧な模型である。2007年の運用開始以来、主に南海トラフの付加体・震源断層掘削を行ってきたが、2012年のJFAST(IODP Exp. 343)航海においては、従来の米国の掘削船ジョイデス・レゾリューション(水深5000 m程度での掘削が限界)では不可能だった東北沖の海溝軸近くの水深7000 mの海底を800 m以上掘削することに成功し、2011年東北地方太平洋沖地震の震源断層と思われる破砕帯を貫くコア試料回収に成功したことは記憶に新しい。その他、沖縄トラフの熱水噴出帯や八戸沖の海底深部の炭層など地下深部生命圏の解明を主目的とする掘削も行い、今年に入ってからも伊勢湾沖で海底下のメタンハイドレート濃集層から天然ガス回収に成功したことが大きく報道された。この掘削船の特徴は通常の掘削の他にライザー(riser)掘削機能を持つことで、船から海底まで通常のドリルパイプよりも太いパイプを降ろしてその中に「泥水」(潤滑剤などを含む特殊な液体)を循環させ、岩石の切り屑を絶えず洗い流し、掘削孔内部の圧力を保持しながら効率的に掘削を進めることができる。この機能は、人類の夢であるマントルへの掘削には必須である。また、泥水とともに船まで上がってきた切り屑を回収することによって、時間のかかるコア試料の回収を行わなくても掘削している地層や岩石の砕片試料を得ることができるなど、他のメリットもある。ただし掘る穴の直径が大きくなり、泥水を循環させる必要があるので、通常のライザーレス掘削より大きな動力と長い時間を要し費用も嵩む。
さて、実際に作ってみると、このプラモデル作りはかなり難物で、完成させるには相当の忍耐力と注意力、手の器用さが必要である。私はちょうど連休の前半に風邪を引いてしまい、家に蟄居していなくてはならなかったので、その間にこれを作ったが、完成には丸2日を要した。外箱には「対象年齢15才以上」と明記されているが、大人でも「細かな手作業は嫌いだ」という人には向かない。作業を始める前にニッパー、ピンセット、カッター、はさみ、綿棒、つま楊枝、そしてセメダインなどの接着剤を別途用意する必要がある。組み立てる部品数は貼り付けシールを含めると300個を超える。「ちきゅう」の特徴や建造の経緯、主な研究成果などまで含めた、モリナガ・ヨウ氏のイラスト入りの28ページの説明書が附属している。完成品は全長30 cm、実物の1/700のモデルになる(図1)。
作業中に気がついたこととしては、部品を枠からニッパーで切り取った後にカッターなどでなるべく丁寧に「バリ」を取ることが美しく仕上げるコツであること、シールの貼り付けが特に難しく技術と経験を要すること、とにかく余計なことを考えず説明書をよく読みながら愚直に順番と細かな指示を守って組み立てるのが最小の時間とストレスで完成させる道であること、などである。この説明書は非常によくできており、図解が豊富かつ正確で、説明文も親切である。このモデルでは、ライザーパイプ(白色)と通常のドリルパイプ(黒色)の太さ・長さの違いがよくわかる。本体右側面の前部と中部を完成後も簡単に取り外すことができ、ムーンプール(ドリルパイプを降ろす船底の孔)周辺や研究ラボの内部が見られるようになっている。意外だったのは、この船には船尾の大きなスクリューがなく、アジマス・スラスタ(azimuth thruster)と呼ばれる本体底面の6つの方向可変のスクリューだけで推進力を得ていることである。水面下の部分は見学に行っても見えない。なお、このモデルは、完成後でも船底の赤い部分を外して「洋上ディスプレイ」にすることが可能である。また、ドリルパイプ(黒色)やヘリコプターは、完成後の教材としての持ち運びを考えると、本体に接着してしまった方がよい。操舵室の上の高いアンテナは折れやすいので、持ち運びの際は特に注意が必要である。
会員各位がこの船のプラモデルを身近に置き、最近得られたこの船による上述の研究成果や将来のマントル掘削などの計画を話してあげることによって、日本が参画している国際的、先端的な巨大科学の1つである地球深部掘削に学生・生徒・子供の興味を向けることができ、地球科学の普及と次世代の地球科学者・技術者育成につなげることができると思う。もちろん、少年時代を思い出して、久しぶりにプラモデル作りに熱中してみるだけでも悪くない。このプラモデルはインターネットからも購入でき、価格は販売者によって異なる。私は4月に東京で開催されたChikyu+10ワークショップの会場において割引価格で購入したが、そこでは英語の説明書も添付され、多数の外国人参加者も購入していた.なお、「しんかい6500」のプラモデルも同じ会社で製造している。
石渡 明(東北大学東北アジア研究センター、IODP委員)
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【3】第4回惑星地球フォトコンテスト:入選作品展示会のお知らせ
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全205点の応募作品の中から,12点が入選しました.各地で入選作品の展示会を予定しています。皆様お誘い合わせの上,迫力ある作品を是非会場でご覧下さい.
・5/25〜6/9:埼玉県立自然の博物館(秩父郡長瀞町)
・7/6〜8/4:兵庫県立人と自然の博物館(兵庫県三田市)
・9/14〜16:地質情報展(仙台大会)(仙台市)
・10月初旬〜11月:あいちサイエンスフェスティバル(愛知蒲郡市)
・12月〜2014年2月:奥出雲多根自然博物館 など
詳しくは,http://www.photo.geosociety.jp/
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【4】仙台大会関連情報
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日本地質学会120年学術大会 (仙台大会)
2013年9月14日(土)〜16日(月・祝)
会場:東北大学川内北キャンパスほか
講演申込,事前参加登録は,まもなく受付開始です(5月末頃予定)。
大会HP近日公開予定です。また,学会ニュース誌5月号(5月末配布)掲載の大会予告記事もあわせてご参照ください。
http://www.geosociety.jp/
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【5】地質図幅をネットで読める「地質図Navi」が正式公開
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産総研が昨年11月から試験公開してきた,地質図幅をネットで読める「地質図Navi」が,5月10日「地質の日」に正式公開されました.
地質図Naviは,PCやタブレットPC等から利用できる地質図表示サイトで,産総研の発行する1000枚以上の地質図幅を表示できるほか,活断層や第四紀火山,地球化学・物理データなど様々な種類の地質情報の表示が可能です.
正式公開での試験公開からの変更点は,
・2007〜2012年発行の地質図幅データの追加
・Retinaディスプレイなどの高解像度デバイスでの高精細表示
・GSJ公式サーバからの配信によるサービスの安定化
・GSJの地質情報配信サービスgbankの運用開始
・表示等の不具合の修正
などです.
野外調査や巡検の下調べなど,地質図幅の電子図書館として利用できます.
地質図Naviはこちらから,
https://gbank.gsj.jp/geonavi/
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【6】支部情報
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■中部支部
中部支部総会(石川県大会)のご案内
日時:2013年6月29日(土)〜30日(日)
会場:白山市交流センター
29日(土曜日)インドアミーティング
石川県関係として、白山火山に関する研究と防災に関する話題を金沢大学の平松良浩先生と酒寄淳史先生に提供していただく予定.
30日(日曜日)白山手取川ジオパークに関連した野外巡検を企画.
その他の講演内容、参加者,参加費に関する情報は、随時下記で公開.
http://earth.s.kanazawa-u.ac.jp/tomo/GSJ-Ishikawa13/GSJ-Ishikawa13.html
詳しくは,http://www.geosociety.jp/outline/content0019.html
■西日本支部
日本地質学会西日本支部 第164回例会および
シンポジウム「長岡信治:海から山,火山でのフィールドワーク」
日時:2013年6月8日(土)〜9日(日)
会場:雲仙岳災害記念館(がまだすドーム)セミナー室
〒855-0879 長崎県島原市平成町1-1
主催:日本地質学会西日本支部,福岡大学国際火山噴火史情報研究所
共催:長崎県地学会
・宿泊および懇親会申し込み:5月17日(金)17時
・講演申し込みの〆切:5月30日(木)12時
詳しくは,http://www.geosociety.jp/outline/content0025.html
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【7】その他のお知らせ
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■地質研究所ニュース 第31号
http://www.gsh.hro.or.jp/publication/gshnews/news_pdf/vol29_no1.pdf
■日本地球惑星科学連合2013年大会
5月19日(日)〜24日(金)
場所:幕張メッセ国際会議場(千葉市美浜区)
5/20〜24 13:00〜13:40(昼休み):スペシャルレクチャー(大学生・若手研究者対象)
http://www.jpgu.org/meeting/index.htm
■第26回東京国際ミネラルフェア
6月7日(金)〜11日(火)10:00-18:00(最終日は17:00まで)
場所:小田急第一生命ビル2F 特別展示場(新宿区西新宿2-7-1)
http://www.tima.co.jp/
■深田研ジオフォーラム2013
6月22日(土)9:30-16:30(受付開始9:00)
場所:深田地質研究所研修ホール(文京区本駒込2-13-12)
申込締切:6月19日(水)[定員50名:定員に達し次第締切]
http://www.fgi.or.jp/
■森里海シンポジウム「人と自然のきずな〜森里海連環学へのいざない〜」
6月29日(土)
場所:東京都港区赤坂1丁目2番2号 日本財団ビル
参加費無料
http://fserc.kyoto-u.ac.jp/cohho/index/130629sympo/
■第50回 アイソトープ・放射線研究発表会発表論文の募集
日本地質学会ほか 共催
7月3日(水)〜5日(金)
会場:東京大学弥生講堂(東京都文京区弥生1-1-1)
http://www.jrias.or.jp/
■高校生のための先進的科学技術体験合宿プログラム
「サマー・サイエンスキャンプ2013」参加者募集
7月23日〜8月28日の期間中の2泊3日〜4泊5日
会場:大学、公的研究機関、民間企業等(58会場)
締切:6月14日(金)必着
http://rikai.jst.go.jp/sciencecamp/camp/
■第57回粘土科学討論会
日本地質学会 共催
9月4日(水)〜6日(金)
会場:高知市文化プラザかるぽーと
参加・講演の申込期間 :6月3日(月)〜 14日(金)
講演要旨送付締切 :7月12日(金)
http://www.cssj2.org/
■第4回・第5回津波堆積物ワークショップ
(120年学術大会:同時開催行事)
日本地質学会・日本堆積学会 共催
9月14日 午前 第4回ワークショップ
9月18日 午前 第5回ワークショップ
場所:仙台(東北大学)
http://www.geosociety.jp/science/content0057.html
■2013年度日本地球化学会年会
日本地質学会 共催
9月11日(水)〜13日(金)
会場:筑波大学第一エリア1D1E棟
固有セッション申込:6月13日(木)〜 7月17日(水)
共通セッション申込:6月7日(金)〜 23日(日)
事前参加登録締切:8月23日(金)(予定)
http://www.geochem.jp/
■第67回日本人類学会大会・総会
11月1日(金)〜4日(月)
場所:国立科学博物館筑波研究施設ほか
企画募集締切:5/31 演題募集・参加登録締切:8/9
http://www.gakkai.ne.jp/anthropology/67_annual_meeting
その他のイベント情報は,学会行事カレンダーもご参照下さい。
http://www.geosociety.jp/outline/content0098.html#now
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【8】公募情報・各賞情報
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■新潟大学:教育研究院自然科学系教員(准教授・助教)(7/12)
■海洋研究開発機構:地球内部ダイナミクス領域地球内部物質循環研究プログラム(上席研究員)(6/28)
■海洋研究開発機構:海洋・極限環境生物圏領域(ポストドクトラル研究員)(6/28)
詳細およびその他の公募情報は,
http://www.geosociety.jp/outline/content0016.html
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報告記事やニュース誌表紙写真、マンガ原稿募集中です。
geo-Flashは、月2回(第1・3火曜日)配信予定です。原稿は配信前週金曜日
までに事務局(geo-flash@geosociety.jp)へお送りください。