地質マンガ

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【解説】

宮崎県日南海岸には鬼の洗濯板と呼ばれる平滑な地形が観察できます.このような平滑な地形は潮間帯において形成され,地学用語で「波食棚」と呼ばれています.
波食棚は岩石海岸の基本的な地形の特徴であり世界各地で観察することができます.また,波食棚は潮間帯を示す特徴であることから,隆起した波食棚に残された穿孔性生物の化石などを組み合わせることで過去の相対的な海面の位置を復元することができます.

*「津波は大丈夫かね」の解説で紹介されている房総半島南端でも観察できます.

さて,マンガにでてくる波食棚(鬼の洗濯板)は砂泥互層によって構成されています.水平に堆積した砂泥互層は褶曲の影響を受け,現在は15〜20度前後の緩い傾斜をもっています.緩い傾斜をもった砂泥互層は,潮間帯において絶えず浸食の影響を受けるため,浸食に強い砂岩と弱い泥質岩によって凹凸が形成されます.この凹凸によって洗濯板のように見えます.

この砂泥互層は有孔中などの化石記録から,後期中新世から鮮新世に堆積した宮崎層群に区分されている.粒子のサイズや層厚の変化に加えて貝類が産出することから,堆積環境の変化(外洋性・内湾性)が論じられ,古くから重要な地質サイトのひとつです.