海外便り 台湾より:変成岩の大渓谷巡検

海外便り 台湾より 川端訓代(国立中央大学)

台湾の地質図(http://140.115.123.30/earth/shade/twgeomaps.htm).西側のポイント1がTaroko,2がTienhsian,3が最後の海岸露頭.詳しい地質図はこちら

台湾は小さい島ですが,フィリピン海プレートとユーラシアプレートの衝突によって形成されたと考えられる3000mの高峰が連なる中央山脈を初め,躍動的な地質地形を観察する事ができます.台湾東部花蓮には変成岩の渓谷が存在し,こちらは観光地ともなっており,地質を観察する事が容易となっています.昨年,国立中央大学の陳維民先生が学生用に行われた台湾北東部花蓮巡検に参加しました.
巡検の様子を写真を中心にお届けします.

 

太魯閣(taroko)国家公園

Tananao metamorphic complexはPalezoicからMesozoicのSchist. 主にGreenschist, Psammic schist, Black schist, Marble, Gneissからなります.

■Changchun Shrine付近.


Changchun Shrineは台湾の中央横断道路建設時に亡くなった方の為に建てられた神社(廟?)だそうです.この神社のそばに断層が走っており,断層の中心部で岩石が崩落している.断層は写真を写している方(手前)へ伸びています.


国家公園内なのでもちろんハンマーの使用はできません.でも川岸に下りて近づく事は可能でした(公式に大丈夫かどうかは分かりません).

 




ananao Schist. 褶曲の構造を観察.スケールが大きい褶曲からmmスケールの褶曲まで観察可能.

■Tienhsian 付近. Changchun Srineより更に西に進んだポイント




Metamorphosed m四ange. Melange内には主にタフ,砂岩様のブロックが観察される.ブロックは非対称変形をしている.
同Tananao metamorphic complexですが,国家公園ではなく,ハンマーのふるえる川にての観察.(立ち入るには許可証が必要でした).川が西から東に流れており,それをさかのぼって観察して行きました.




Metabasalt.枕状の構造が観察できます.







スケールが大きいので転石まで大きい.転石かどうか注意しなければ露頭と間違えてしまいそうでした.ここは国家公園内ではないので,岩石の持ち帰りは自由な様で,切り取られた転石をいくつも見ました.写真の手前と奥の不自然に平な岩石がそれ.切り取り方もスケールが大きい.おかげで変成岩の美しい縞状の構造を観察する事ができました.




こでもTaroko国家公園と同じく褶曲が発達しており,数十mスケールからmmスケールまで観察が可能です.




最後に,東の海岸沿いに露出するMioceneのagglomerate.中には柱状節理が取り込まれている露頭も.この層順の形成場所,形成過程等は様々な議論があるそうです.

 

おまけ


巡検の始まり:台湾にて初めての巡検で出発を楽しみにしていたけれど,2台で出発する予定の1台の停車していたバスに原付がつっこむという衝撃的な始まりでした.台湾では事故に会うと,その日にはその厄(?)を落とす為かこの写真の用に豚肉が入った麺を食べるそうです.

Taroko渓谷にて


あちこちで見かける落石注意の看板.地震時などやはり時々落ちてくる様です.


やはりこのような渓谷に道を作るのは並大抵の仕事ではなかった様です.

川沿いでは温泉がある事も.露頭に行くために温泉を通過して行くのですが,ずかずか乗り越えて行くのが少し心苦しく感じたりしました(日本人だから?).といいつつ写真は撮っていたり.