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┴┬┴┬ 【geo-Flash】 日本地質学会メールマガジン ┬┴┬┴┬┴┬┴
┬┴┬┴┬┴┬ No.037 2008/08/05 ┴┬┴┬ <*)++<<  ┬┴┬┴┬┴┬
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【1】秋田大会各種申込み8/8締切! 巡検もまだ余裕あります
【2】続報 岩手・宮城内陸地震 山形大学・千葉県地質環境センター
【3】海外便り
【4】夏休みだー 博物館へGo!! 8月の博物館イベント情報
【5】紹介:「地質学者が見た風景:坂 幸恭著」/「プレートテクトニクスの拒絶と受容:泊 次郎著」
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【6】公募:京都教育大学新潟大学/東北大学東北アジア研究センター
富山市科学博物館/統合国際深海掘削計画中央管理組織
【7】地質マンガ「地質学の彼氏を持つと」

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【1】秋田大会各種申込み:8/8 18時締切
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■秋田大会の参加登録の締切が迫っています。忘れずにご登録をお願いいたします。
また、講演申込をされた方も忘れずに別途事前参加登録(Knt申込フォームから)
を行って下さい!

■ 見学旅行空き状況(8/5 13:00現在の残数)*見学旅行の申込みページに表示されます.
A班<男鹿半島火山岩相>3(定員20)
B班<男鹿−能代>9(定員20)
C班<地学教育>11(定員20)
D班<出羽丘陵>6(定員14)
E班<鳥海火山>6(定員20)
F班<地熱>19(定員20)
G班<非金属鉱床>8(定員10)
H班<黒鉱鉱床>0(定員14)受付終了
I班<北部北上帯>7(定員20)
J班<根田茂帯>11(定員20)
K班<アダカイト>7(定員20)

■懇親会定員約200名のところ、すでに170名以上のお申し込みを頂いております。当
日参加はお受けできない可能性がありますので,参加希望の方はお早めにお申し込み
ください。
懇親会費:(一般)5000円・(名誉・院割・準会員ほか)2000円

詳しくは,
http://www.geosociety.jp/science/content0014.html
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【2】2008年岩手・宮城内陸地震  荒砥沢ダム上流地すべり調査報告
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荒戸沢上流部の地すべりについて現地での地質調査と空中写真および地形図の
解析によって,地すべりが古い地すべりの再活動であったことを明らかにした.
また,地すべりの発生が強震動にあることは間違いないが,その前提として,
古い地すべり末端付近で開析が進んで比較的深い谷が形成されていたことによ
る可能性を示した.
川辺孝幸(山形大学地域教育学部)
風岡 修・香川 淳・楠田 隆・酒井 豊・古野邦雄・吉田 剛(千葉県環境地質センター)

詳しくは、、、
http://kei.kj.yamagata-u.ac.jp/kawabe/www/2008iwtmyg/aratozawa/

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【3】海外便り(2) マディソン郡のはっしー
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ウィスコンシン州はミシガン湖の西部に位置しており、北海道とほぼ同緯度です。
冬は札幌に比べると雪は少ないですが、気温はかなり低くなります。昨冬はマ イ
ナス24℃を経験しました。素手が外気に耐えられないことは初めてでした。長い冬
は厳しいですが、そのおかげで春の訪れに対する感動は倍増します。夏は 札幌
同様短く、夏の空が異常にきれいなところも似ています。今はその短い夏を満喫し
ているところです。
橋本善孝(高知大学・日本学術振興会海外特別研究員)
詳しくは、、
http://www.geosociety.jp/faq/content0108.html

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【4】夏休みだー 博物館へGo!!
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いよいよ、夏休みも本番。博物館では、今月もたくさんのイベントを用意してみなさま
のお越しをお待ちしています。
貴重な夏休みの思い出を、博物館でつくりませんか。

8月の博物館イベント情報は
http://www.geosociety.jp/name/content0023.html
でチェック!!

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【5】紹介「地質学者が見た風景:坂 幸恭著」/「プレートテクトニクスの拒絶と受容:泊 次郎著」
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■地質学者が見た風景 (会員割引有り)
坂 幸恭 著 築地書館,2008年5月20日発行,横型B5判,255ページ,ISBN 978-4-8067-1368-5
定価5,600円+税,日本図書館協会選定図書 

右は,本(B5判横型)の表紙,「海洋に堆積した順序2」と題された三重県南伊勢町海岸の海洋プレート層序を示す露頭の画の一部で,本文中に画の全体が掲載され,詳しく解説されています.そのほか,本文中の画の2例を図2,3に掲げました.画の説明はそれぞれに記されています.

 
 図2.仏像構造線
 図3 マッターホルン

著者が写真を基にした水彩画を作成された動機は,著者のすばらしい絵心に加えて,「露頭・風景等の写真では特定の対象が全体のなかに埋没して判かりづらくなる一方,スケッチは観察者の意図を十分に反映するがたいへんな時間を要する.写真を眺めてスケッチを起こせば,両者の特性を活かせるのではないかと考えた」ことだそうです.フィールドでの観察・撮影時に記された簡略スケッチの4例と掲載された画を眺めていると,確かにそのとおりと納得できます.

全体的に,このような意図のもとに描かれた画は,写真とは違う面で,作者の意図・見方,感じ方ないし心情を読者に伝達しているので親しみを持つことができ,また筆の運び方を楽しむこともできて,見飽きることがありません.もっとも,知っている風景や露頭については,部分的には「自分ならば少し違う描き方をするかもしれないな」というところが,何箇所かには見られますが.

画の題材は,著者の訪問先に限られています.とはいえ,海外ではアフリカ大陸(とくに東アフリカ・リフトバレー),アイスランド(ギャオほか),トルコ(アナトリア断層ほか),イギリス,大陸欧州,中国,東南アジア,米国に及んでいます(約180点).また,国内では秋吉台,野島断層,中央構造線,仏像構造線,北海道の火山ほか多数箇所の地形・地質が採り上げられています(約40点).なかでも,道路工事中の切り割りに現れた仏像構造線のすばらしい露頭(図2)はその後コンクリートによって覆われて,その画が貴重な記録となっています.

本は上記のような画を主体としていますが,冒頭には,海外の画の作成地点の索引地図などのほか,16ページにわたって「解説」が掲載されています.一般地質学の解説ですが,とくに多くの画が描かれている地域(アフリカ大陸,アイスランド,トルコ)をはじめとして,国内外の作成地域の構造地質学的な特徴や地球の内成・表成過程全般が説明されており,画の地質学的理解を助けています.

本書は,著者自身の水彩画による記録史です.と同時に,必ずしも網羅的ではありませんが,国内外を問わず地形・地質紀行誌として大いに楽しめる画集です.それだけでなく,地質屋(フィールドジオロジスト)が露頭や自然景観を見て何を感じ,何を考えるか,またどのような見方をすれば地質学に迫ることができるのか,などが全体を通じて示唆されており,小中高・大学を通じてよい教材として活用でき,一般の人びとに対するよい普及書でもあると思います.

出版元の築地書館のご好意により,日本地質学会会員は会員番号・住所・氏名・電話番号を明記の上,9月末日までに下記宛に申し込めば,定価の2割引,築地書館送料負担で購入できます.それぞれの会員番号は毎月送付される雑誌の封筒宛先面に記載されています.申し込み先は,築地書館(〒104-0045東京都中央区築地7-4-4-201)受注担当 川上 e-mail:eigyo@tsukiji-shokan.co.jp 電話03-3542-3731 FAX 03-3541-5799

(水野篤行)

■「プレートテクトニクスの拒絶と受容 戦後日本の地球科学史」
泊 次郎 著.東京大学出版会 A5, 258ページ ISBN978-4-13-060307-2 \3,800+税
2008年6月2日発行

  出張帰りの新幹線の車内で「週刊文春」を見ていたら,作家の池澤夏樹氏による「地学論争」と題する「私の読書日記」が目にとまった(2008年7月17日号136ページ).地団研,地向斜造山説,歴史法則主義,プロレタリア科学,スターリン主義,ルイセンコ生物学などという,およそ一般向けの週刊誌ではまずお目にかからない,しかし私の脳裏に複雑な反応を引き起こす言葉が散りばめられたこの丸1ページの読書日記は,帰宅後すぐにネット書店でこの本を探して「カートに入れる」ボタンをクリックさせるのに十分なインパクトがあった.

私は著者の泊氏と面識がなく,この本の内容を部分的にでも見聞きしたことはそれまで一度もなく,この本に私の名前が登場するわけでもないので,その限りでは「客観的な読者」であるが,私は地団研の活動に長年参加してきて北陸支部長を務めたこともあり,しかし一方では学生時代からプレートテクトニクスの枠組みを「受容」した研究をしてきたため,この本が研究対象としている地学関係者の末席を汚してきたわけで,その意味で私はこの紹介文を「当事者」の感慨抜きに書くことはできない.泊氏は1944年生まれで私より一回り年上であり,東京大学理学部で地球物理学を学び,その後ずっと朝日新聞に勤務していたが,2002年に東京大学大学院総合文化研究科科学史・科学哲学講座博士課程に入学し,昨2007年博士(学術)の学位を得た.この本はその学位論文に「大幅な改訂を加えたもの」とのことである.

この本の章題を列挙すると,序章 プレートテクトニクスと日本の科学史,第1章 大陸移動説からプレートテクトニクスへ−地球科学の革命,第2章 戦前の日本の地球科学の発展とその特徴,第3章 戦後の日本の民主主義運動と地学団体研究会,第4章 「2つの科学」と地学団体研究会,第5章 日本独自の「地向斜造山論」の形成,第6章 プレートテクトニクスの登場と日本の地球科学,第7章「日本列島=付加体」説の形成とプレートテクトニクスの受容,終章 プレートテクトニクスの受容とそれ以降の日本の地球科学,となる.

作家の池澤氏の感想は「この冷静な科学史の研究書はおもしろかった」であり,確かにこの本の各章末には引用文献や注釈が数ページずつ添付されていて非常に丁寧な労作の研究書である.20人ほどの関係者に直接取材したそうであるが,聞き書きを避け,徹底した文献調査に基づいている.ただし,文献の中には自費出版の主観的な回想録なども含まれる.ところで,この本の構成や論述の進め方は,学術誌に掲載される「科学論文」よりも,むしろジャーナリスティックなドキュメントに近い.科学史研究のケーススタディとして,この研究の結論が何なのか,また新発見や独創的なアイデアは何なのか,いま一つはっきりしない.例えば,本書の序章ではクーンの「科学革命」やパラダイムの概念が紹介され,「うわぁ難しい本だな」という印象を与えるが,研究対象とする日本のケースについて,序章で示されたテーマに沿ってデータを示しながら議論を行い,終章の結論に導くという,通常の科学論文の構成にはなっていない.終章は「そくほう」の「おわび」問題や「都城賞」否決問題など最近の動きを紹介し,「残された課題」として「政治と科学の問題」,特に「地団研の運動が当時の社会の動きとどのように結びついていたか」を十分に明らかにできなかったという反省を述べて終わっている.この本は一般向けの普及書なので,学問的な議論については博士論文を読まなければいけないのかもしれない.

本書では全く触れられていないが,私が1980年にオフィオライト会議参加のためイタリアを訪れた時に見聞したところでは,その頃のイタリアにも地団研によく似た性格の地質学者集団があったようで,同じ第2次世界大戦の敗戦国で,国内資源に乏しく,戦後の一時期に左翼が優勢で,ドイツのように分断国家にはならなかった等の点で日本と社会状況が似ており,本書で触れられているロシアや中国よりは,イタリアの方がこの種の比較研究に適しているかもしれない.ただし,イタリアでプレートテクトニクスの受容が遅れたという話は聞かない.
本書はよく推敲・校閲されていて誤りは少ない.しかし,19ページに「海洋底を構成する岩石(シマと呼ばれた)にはマグネシウムなどの重い金属が多く含まれ」とあるが,マグネシウムはアルミニウムよりも「軽い」金属である.

ともあれ,我々以上の世代にとってはまだ生々しい戦後日本の地球科学史を,豊富な資料を駆使して読みやすい文章で上手に描き出したのは本書の功績である.私のような「当事者」でも,科研費配分の話や日米科学協力の話など,「ああそうだったのか,そんなことがあったのか」と感心するような記述は多く,一方で過去の経緯を何も知らない現在の学生にとっては,格好の地球科学の入門書(または年輩の指導教員と共通の話題を仕入れるためのネタ本)になるだろう.地団研に反対する立場の人たちの論説の誤りや問題点も指摘しており,公平を心がけていることにも好感が持てる.この労作は日本の地球科学界をより成熟した風通しのよいコミュニティにし,地質学会がその中でより大きな役割を果たしていくことに貢献すると思う.会員各位のご一読をお勧めする.

石渡 明(東北大学東北アジア研究センター)



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【6】公募:京都教育大学/新潟大学/東北大学東北アジア研究センター
富山市科学博物館学芸員(岩石)/統合国際深海掘削計画中央管理組織
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■京都教育大学「理科教育」担当教員公募
職名及び人員 講師または准教授 1名
担当分野    理科教育
応募資格    年齢:着任時40歳以下
学歴等:修士または博士の学位を有する者/専門等:理科教育に関する研究業績を
有し,中学校理科第2分野の内容に関する研究をバックグラウンドにする者
応募期限:平成20年 9 月17 日(水)17:00必着
http://www.kyokyo-u.ac.jp/KOUHOU/saiyou/saiyou.htm

■新潟大学教育研究院自然科学系教員(助教)公募

所属:新潟大学教育研究院自然科学系 自然構造科学系列
担当分野:地球科学分野
職種・人員:助教  1名
任期:採用時から5年間. 再任なし.
応募の締切:平成20年9月16日(火)必着
http://www.gs.niigata-u.ac.jp/~scitech/koubo/koubo080710.html

■東北大学東北アジア研究センター教員の公募

公募分野:東北アジア研究センター 基礎研究部門 地球化学研究分野
職名・人員:助教1名(任期3年,再任可,再任は任期2年,2回を限度とする)
専門分野:岩石学, 地質学,火山学,地球化学,鉱物学,鉱床学など.日本を
含む東北アジア地域を研究対象とする野外研究の実績及び今後の計画があること.
当該分野のスタッフ(下記参照)との共同研究が可能な者.
応募締切日:平成20年9月30日(火)必着
http://www.geosociety.jp/outline/content0062.html

■富山市科学博物館学芸員(岩石学)

受験資格:昭和53年4月2日〜昭和62年4月1日に生まれた人
学芸員資格は不問ですが、採用後に取得が必要.
受験案内と申込書は、富山市のホームページの下記のURLを開き、上級試験(学
芸員)からPDFをダウンロードしてください。
http://www7.city.toyama.toyama.jp/pr/v_useful/index.html
申込期間:8/11-8/22(必着)
*昨年「富山市科学文化センター」から「富山市科学博物館」に名称変更しました.
**当館は文部科学大臣による「研究機関」の指定を受けていますので、大学など
と同様に「科学研究費補助金」の申請をすることができます.

■ 統合国際深海掘削計画中央管理組織

統合国際深海掘削計画(IODP)の中央管理組織である、IODPマネジメント・インター
ナショナル社(IODP-MI)のPresident/CEO ポストの公募情報です。
詳細はこちらをご覧ください。
http://www.iodp.org/employment-opportunities/

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【7】地質マンガ「地質学の彼氏を持つと」
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「地質学の彼氏を持つと」
作:山口飛鳥 画:Key
http://www.geosociety.jp/faq/content0106.html

地質マンガは原作を募集しています。文字だけでもラフスケッチでも清書
して仕上げます。投稿はこちらから
http://www.geosociety.jp/publication/content0009.html#toko4

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geo-Flashは、月2回(第1・3火曜日)配信予定です。原稿は配信前週金曜日
までに事務局(geo-flash@geosociety.jp)へお送りください。
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