愛媛県八幡浜大島のシュードタキライト:Psudotachylite in Yawatahama-Oshima, Ehime Prefecture

 

写真・解説:宮下由香里 Yukari Miyashita
写真1

 


写真2

 

写真3

写真4



解説:

四国西部に位置する八幡浜大島には,南から真穴層,大島変成岩,三波川南縁帯片岩および三波川変成岩がスラストで接して分布している.これらは転倒背斜や断層により,複雑な地質構造を呈する.
大島変成岩は主として火成岩起源の変成岩から構成され,少量の堆積岩起源の変成岩を挟む.これらは下部地殻(地震学的にも地質学的にも)からの上昇過程において,運動方向の異なる4回のマイロナイト化作用を受けている.
シュードタキライトを含む断層帯は,大島変成岩中に3帯認められる.面構造の切断関係の解析から,シュードタキライトはマイロナイト化作用III(角閃岩相〜緑色片岩相)後,同IV(緑色片岩相)の前に形成されたことが明らかとなった.なお,八幡浜大島西岸に分布する変成岩類(シュードタキライトを含む)は,2004年に国の天然記念物に指定されました.

写真1.剪断面に高角な割れ目に注入するシュードタキライト.主剪断面よりも,二次剪断面沿いの注入脈が目立つ.
写真2.シュードタキライト脈の周縁にはより濃い黒色の急冷相が見られる.
写真3.幅5cmに達するシュードタキライト脈.複数条のシュードタキライト脈がステップし,プルアパート状に開いた部分と考えられる.
写真4.シュードタキライト形成後にマイロナイト化作用を受けた部分.互層状の片状岩に見える.このマイロナイト化作用IVは,三波川南縁帯との境界付近にのみ見られる.

参考文献
小松正幸,宮下由香里,米虫 聡,1997,四国西部,八幡浜大島のシュードタ キライト.地質雑,Vol.103, No.8, XXV-XXVI
小松正幸,宮下由香里,米虫 聡,1998,八幡浜大島シュードタキライト見学案内書,pp.37.