図1 アスファルト地すべり? |
図2 白山山麓の「別当大崩れ」 |
地すべりは,大雨のとき裏山が崩れたり,大規模に田畑や山が崩れたり,とニュースで聞きますよね(図1と2).海底にも,そんな地すべりがあります.ただ,海底なので,大雨や田畑はないですが.
では,海底の地すべりはどうやって起きるのでしょう.浅い場所ならば,風浪が考えられますが,もっと深く水深数百mではどうでしょう.実際に多くの海底地すべりが見つかっています.深いところでは,水深4000mを超えます.
海底地すべりの誘因として,まず,地震動が上げられます.2004年の中越地震では,多くの山や斜面で地すべりが発生したことは記憶に新しいと思います.地震が発生すると,揺れによる加速度で斜面が安定性を失い,海底の斜面だったとしても崩壊します.
地震動の他に,メタンハイドレートの崩壊も海底地すべりの発生誘因として考えられています.例えば,氷河期などで大規模に海水準が低下する(氷河期では海水準が200mも下がったとされています)と,現在メタンハイドレートがある海底の水深が浅くなります.そうすると,水圧が減少するため,メタンハイドレートは安定性を失い融解します.メタンハイドレートが斜面にある場合,海底地すべりが発生するとされています.
このような誘因によって発生した海底地すべりは,私たちの生活にさまざまな影響を及ぼします(図3).まず,海底ケーブルや海底パイプラインが切断される.さらに,資源開発など海底掘削でのプラットフォームに障害が発生する.また,メタンハイドレートが大規模に融解する,津波が発生する(漫画では波高の高い津波が沖合に描いてありますが実際には沿岸で水深が浅くなり減速して波高が高くなります).です.
海底地すべりは,このように大変重要な調査,研究課題ですが,「海底」という目視が難しい環境のため,謎ばかりです.ですから,私たちは今年多くの分野の研究者とともにシンポジウムを行いました.みなさんも興味を感じるところがあったならば,一緒に調べていきましょう.
図3 海底地すべりとその影響 |
シンポジウム「海底地すべり」は2007年9月に第114年学術大会(札幌大会)において以下の講演が行われました。