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┴┬┴┬ 【geo-Flash】 日本地質学会メールマガジン   ┴┬┴┬┴┬┴
┬┴┬┴┬┴┬ No.017 2007/12/04 ┴┬┴┬  <*)++<<  ┴┬┴┬┴┬
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★★目次 ★★
【1】投票はお済ですか?
【2】2008年度日本地質学会各賞候補者募集中
【3】海外だより(ドイツキール大の北村さんより 後編)
【4】日本全国天然記念物めぐり(京都府編)
【5】ホットな地球惑星科学連合の最近について
【6】「ジオパーク」最近の動き
【7】第6回地球システム・地球進化ニューイヤースクールのご案内
【8】討論会「日本海沿岸褶曲・断層帯の形成・成長と地震活動」報告
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【1】2008年度会長・副会長・全国区代議員選挙 投票締め切り間近!
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投票〆切:12月15日(土)必着

例年,出し忘れや締め切りを過ぎてから到着するものがあります.候補者名簿を
よくご覧になって,お早めに投函されますようお願いいたします.開票結果は学
会ホームページ,ニュース誌1月号に掲載いたします。

選挙の詳細は学会HP会員のページをご覧下さい。
(ログインID・パスワードが必要です)
https://www.geosociety.jp/members/
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【2】2008年度日本地質学会各賞候補者募集中
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応募の締切:12月25日(火)必着

日本地質学会功労賞・日本地質学会表彰以外は,会員(正会員・名誉会員)で
あればどなたでも推薦できます.論文賞・研究奨励賞・小藤賞の対象論文リスト
については,学会HPご覧いただくか,または,
学会事務局<main@geosociety.jp>までお問い合わせください.

詳細は,https://www.geosociety.jp/news/n21.html

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【3】海外便り 北村有迅さん@ドイツキール大学 後編
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海外で生活する会員から,研究環境や生活の様子などを紹介していただく<海外
便り>第2回は,キール(ドイツ)の北村さんの後編です.これを読んでいる海外
在住の方!ぜひぜひ!!海外生活の様子を書いてください(内容は自由).原稿
は地質学会事務局へ.
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風土の違い

北村有迅(IFM-GEOMAR, The Leibniz Institute of Marine Sciences at the Uni
versity of Kiel)

ドイツと日本は似ているという人もいるが,大いに異なると感じられる.日本人
にとって馴染みやすい,生活しやすいのは確かである.双方とも先進国と括られ
るが,時としてどうにもドイツが先進国とは思えないこともある.あまつさえ先
進的であろうとしていない様にも見える.これはドイツの個としての発展に対し
て,日本が集団として発展しているからかも知れない.言い換えればドイツが人
間中心的発展なのに対し,日本は社会・経済中心的発展をしているように見える.
では人間的である方がいいかと言えば,裏を返すとわがままで自己主張が強いの
である.だからあらゆる些細なことまでルールを作っているのである.例えば筆
者のアパートの契約書には毎日5分換気をすること,という条項がある.このルー
ルが日本人には心地良いのかも知れないが,いざルールが無い事柄になるともう
お手上げである.チャランポランかつ自己中心的な南欧人と大差ない(語弊のな
いよう言うと,筆者は幼少期をフランスで過ごしており愛着がある).ドイツで
特に感じるのは“個”である.他人にあまり干渉しないし,日本人から見るとド
ライな人間関係である.どの職業の人に聞いても同僚とあまり飲みには行かない
ようである.研究所でも月に1回のコロキウムの後はビールパーティーがあるが,
皆早々に散っていく.多国籍なパーティーで12時を過ぎて残っているのは日本人
だけということもあった.

仕事以外の生活面は充実している.まず労働時間が短い.夏は夜11頃まで明るい
ので,皆仕事を早く切り上げる.逆に冬は4時には日没なので暗くなる前に帰る.
出勤時間は8~9時が多いだろうか.筆者の労働契約も週37.8時間というものである.
IFM-GEOMARのような高々400人規模の研究所にも保育所がある.子育てや家族との
時間を取るなら圧倒的に良い環境である.教育に関しては日本の方がいい気もす
るが,日本は落ちる一方であろう.ドイツはゆとり教育の失敗に気付いて転換し
たが,ピーク世代が今30歳前後だそうだ.日本はこれからである.
最も異なるのは科学者の位置付けや待遇であろう.こちらでは博士はエリートで
あり高給取りであり,博士課程の学生はその卵である.学生時代から将来を嘱望
され,投資され,ポスドクになれば一人前の研究者と見なされる.日本では時と
してポスドクは学生の延長のような半人前扱いを受ける.学生も往々にして管理
された状態である.しかし一方でドイツでは,先に述べたとおりプロジェクトの
予算申請は子細に書かれているので,学生に与えられるテーマはやるべき事が決
まっており,ほとんどマシンとなればいいのである.日本の学生の方が自由な研
究ができているかも知れない.にもかかわらず個としての尊厳が守られているド
イツの学生をみるにつけ文化の違いだと感じるところである.

ドイツで最もがっかりしたことは給料が45%も天引きされることだ.フィンランド
の友人でさえ驚いていたのだが,独身は搾り取られることを覚悟しなくてはなら
ない.旅行などもグループ割引が異常なまでに利くので,友達も家族もいないと
極めて金のかかる国である.

よく日本とドイツどちらがいいかと問われるが,メリットデメリットは常に交錯
して一概に言えない.日本は街が清潔で,研究設備は整っていて,天引きも少な
く,何事もきっちりしていてトラブルが少なく,同僚と飲みに行けて,食事がお
いしい.かたやドイツは街並みが美しく,空間に余裕があり,人件費を惜しまず,
余暇が多く,物価が安い.

未知を既知とすることで人類が成長してきたのであるから,異文化を知ることは
一科学者を多少なりとも成長させていると信じつつ.
(氷点間際のキールにて 北村有迅)
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【4】日本全国天然記念物めぐり(京都府編)
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(1)稗田野の菫青石仮晶(1922年指定),亀岡市稗田野町桜天神(桜天満宮)境内
(2)郷村断層(1929年指定),京丹後市網野町,樋口断層,小池断層(郷小学校),
生野内断層
(3)東山洪積世植物遺体包含層(1943年指定),京都市東山区今熊野南日吉町
正法寺境内
(4)琴引浜(2007年指定),京丹後市網野町琴引浜

(大阪市立大学 奥平敬元)
詳しくに読む。https://www.geosociety.jp/faq/content0047.html
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【5】ホットな地球惑星科学連合の最近について
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日本地球惑星科学連合は発足して2年半が経過しました。いま連合では、これま
でのように春に関連学協会が合同で大会を開くという活動と、学術会議対応で関
連学協会の統一的窓口となるというところから更に発展して、地球惑星、地球環
境などに関わる共通した課題に取り組むコミュニティーとして前進しようとして
おります。それに当たっての基本的方向として、学協会の発展と連合の発展を車
の両輪として進めるということが連合の将来構想委員会中間答申で打ち出されま
した。更に引き続き検討が進行しています。
http://www.jpgu.org/publication/mailnews/071112/masterplan1023.html

また、社会に関わる連合の活動の1つとして、地学教育に関わる様々な課題に関
しては目覚ましい活動が展開されております。文字通りの統一されたコミュニ
ティーとして、相次ぐ文部科学省、中央教育審議会への申し入れと会談など、重
要な社会的影響力を発揮して来ております。
www.jpgu.org/education/index.html

地質学会会員はそこで主導的役割りを果たしております。 日本地質学会はこの
連合において、日本気象学会に次ぐ規模であり、連合登録者数においては最大の
日本地震学会と並ぶ最大の規模となっております。連合への登録は誰でも無料と
なっておりますので、関心をお持ちの方はウエブ上で簡単にできます
http://www.jpgu.org/meeting/entry.html
いますぐ登録し、めまぐるしく動いているホットな地球科学関連情報が手元に配
信される環境を構築しましょう。
(会長 木村 学)
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【6】「ジオパーク」最近の動き
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日本地質学会ジオパーク設立推進委員会 渡辺真人(産総研)

確実に浸透しているジオパークの活動

日本地質学会ジオパーク設立推進委員会は2005年に設立され、以来日本におけ
るジオパーク活動を推進してきています(ジオパークの詳細に関しては日本地質
学会のwebsiteをご覧下さい)。5月に当委員会が中心となって地球惑星科学連合
大会でジオパークに関するユニオンセッションを開催し、それをきっかけに6月に
ジオパーク推進の動きが朝日新聞科学面に報道されました。それ以来、各地から
問い合わせ、地域でのシンポジウムなどでの講演依頼が当委員会あてに多数来る
ようになり、地方紙などにジオパークに関する記事が何度も掲載されました。た
とえば、8月には、当委員会岩松氏の雲仙岳災害記念館での講演が地元で大きく報
道されましたし、地質学会札幌大会の前後には、壮瞥町での有珠・洞爺湖ジオパー
ク構想に関するフォーラムでの当委員会委員長の佃氏の講演、地質学会市民講演
会、アポイ岳をジオパークにという様似町の動きなど、ジオパークの話題が何度
も北海道新聞をはじめとする地元紙の紙面を飾りました。ジオパークの知名度は
最近半年ほどの間に飛躍的に上がってきており、多くの地域でジオパークによる
地域振興計画が始まりました。

地域はジオパーク連携協議会設立へ ー国内体制の確立へ向けてー

これらの各地での盛り上がりを受けて、10月4日に、世界ジオパークネットワー
ク(GGN)参加を目指す12地域の代表(主に自治体関係者)がNPO法人地質情報整
備・活用機構(GUPI)に集まり、ジオパーク連絡協議会を設立することで合意し
ました。現在も設立に向けて参加資格や規約、活動内容に関して話し合いが続い
ており、12月26日に連絡協議会が設立される予定です。10月4日の会議に参加した
地域は、白滝黒曜石遺跡、アポイ岳、有珠・洞爺湖地域、五浦海岸周辺、箱根・
小田原地域、糸魚川、山陰海岸、四国(四国運輸局予算で地域選定を含めた調査
中)、霧島、島原半島、天草市御所浦、計12地域です。さらに、石見銀山(大田
市)、南アルプス(伊那市、大鹿村など)にもジオパーク設立に向けた動きがあ
ります。
ジオパーク設立推進委員会としては、今後関連学会・関連省庁の人をメンバー
とする日本ジオパーク委員会を設立し、GGN申請候補の選定と国内版のジオパーク
の認定を行いたいと考えています。また上記の連絡協議会をベースとして、国内
版ジオパークが加盟する日本ジオパークネットワークを設立し、日本のジオパー
ク活動の支援と広報活動などを行いたいと考えています。ジオパークを認定する
日本ジオパーク委員会と、実際の活動を支援する日本ジオパークネットワークの
両輪でジオパークを振興する体制を作ることを当委員会は目指しています。

アジア・太平洋地域ジオパークネットワーク設立への動き

先月11月13-15日に、マレーシア・ランカウイ島でアジア・太平洋地域ジオパー
ク会議が開催されました。日本からは渡辺と、糸魚川フォッサマグナミュージア
ムの竹之内耕氏が参加し発表しました。日本では博物館などを中心として地球科
学の教育・普及活動の実績があること、それをベースにジオパークの活動が進ん
でいることがユネスコジオパーク委員に好感を持って受け止められ、申請に向け
て良い足がかりとなったと思います。会議中、アジア太平洋ジオパークネットワー
ク(APGN)の設立が提案されました。日本としてアジア・太平洋地域のジオパー
ク活動が高いレベルで盛り上がっていくよう、APGNに協力していく必要がありま
す。そのためにも、上に述べたような日本の国内体制を早急に整備し、日本第一
号のGGN加盟申請をできるだけ早く実現したいと思います。

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【7】第6回地球システム・地球進化ニューイヤースクールのご案内
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テーマ 「新しい切り口から地球を探る」

開催日: 2008年1月5日(土)〜6日(日)
開催場所: 国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・代々木)
参加費: 3000円(懇親会費込み)
申込期間: 2007年11月5日(月)〜12月7日(金)
スクールホームページ(申込・詳細情報はこちらから)
http://quartz.ess.sci.osaka-u.ac.jp/~earth21/school/2007/index.html

新しいアプローチやアイデアを武器に新しい研究領域を切り開いてこられた研究
者の方々による講演です。研究に取り組むにあたり、どのような問題意識を持ち、
どのような着眼点、アイデア、アプローチでその問題に取り組んでこられたか、
について簡単なレビューを踏まえてお話していただきます。この他にもさまざま
なイベントを企画しています!

講演者:
- 小川勇二郎先生 筑波大学
- 高井 研   先生  海洋研究開発機構
- 谷 篤史   先生  大阪大学
- 平田 岳史 先生  東京工業大学
- 平野 直人 先生  東京大学
- 安田一郎 先生 東京大学
- 横山 祐典 先生  東京大学
Ex. レクチャー講演者:
科学に携わる様々な職種の方々による講演です。
- 高山 英男 博士 NHK新潟放送局
- 干場 真弓 博士 日本科学未来館
- 向吉 秀樹 博士 (株)マリンワークジャパン

主催:21世紀の地球科学を考える会
http://quartz.ess.sci.osaka-u.ac.jp/~earth21/
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【8】討論会「日本海沿岸褶曲・断層帯の形成・成長と地震活動」報告
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11月25日に,新潟大学において表記の討論会が構造地質部会主催・新潟大学後援
で開催された.また,それに先立ち,24日に小林健太・大坪 誠・栗田裕司氏の
案内で新潟県中越沖地震を起こした断層との関係が注目されている鳥越断層の地
形と露頭〜中央油帯と海岸付近で新潟のNeogeneの標準層序(魚沼・灰爪・西山・
椎谷・寺泊の各層)の見学を実施した.プレ巡検の模様は河本和朗氏により記載
されるので,ここでは討論会の記録を記す・・・・・。
(構造地質部会長 高木秀雄)

さらに読む。https://www.geosociety.jp/science/content0012.html
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geo-Flashは、月2回(第1・3火曜日)配信予定です。原稿は配信前週金曜日
までに事務局(geo-flash@geosociety.jp)へお送りください。
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