岩井雅夫1 近藤康生1
菊池直樹1 尾田太良2
Masao Iwai 1, Yasuo Kondo 1,
Naoki Kikuchi 1, and Motoyoshi Oda2
1.高知大学理学部自然環境科学科
Department of Natural Environmental Science, Faculty of Science, Kochi University,
Kochi 780-8520, Japan
2.東北大学大学院理学研究科地圏環境科学科
Faculty of Science, Tohoku University,
Aoba-ku, Sendai 980-8578, Japan
Corresponding author: M. Iwai
概 要
唐の浜層群は数少ない西南日本に点在する鮮新統のひとつで,当時の黒潮やテクトニクスを探る上で貴重な浅海域の情報をもたらす.甲藤ほか(1953)は泥岩主体の登層,礫岩主体の奈半利層(=六本松層),含貝化石砂岩層主体の穴内層を総称し唐の浜層群を定義した.しかし分布域が広範で露頭が点在することからその層序関係や年代論に関しては種々見解が飛び交い混沌としてきた.1990年前後になり登層と穴内層は一部同時異相の関係にあり,それらを不整合に覆う海成段丘堆積物が六本松層であると理解されるようになったが,公表されたデータが断片的で年代論に関してはなお見解に相違がみられた.2005年末〜2006年初頭に相次いで陸上掘削がなされ,年代論に決着をつけ黒潮の様相を高時間精度で明らかにしようという取り組みが始まった.本見学コースでは登層模式地,六本松層模式地,穴内層の堆積シーケンスと岩段丘堆積物・海食地形を案内,論争にいざなう.
Key Words
登層,穴内層,六本松層,高知県,堆積サイクル,軌道要素年代
Nobori Formation, Ananai Formation, Ropponmatsu Formation, Kochi Prefecture, sedimentary cycle, astronomical time scale.
地形図
1: 25,000 「羽根」「安芸」(「奈半利」「土佐土居」)
見学コース
8:30 高知大(朝倉)集合→11:00 登→12:00 羽根岬(昼食)→13:30 奈半利(六本松層模式地)→15:00 唐の浜(駅北方の穴内層)→16:30 伊尾木洞(穴内層海食洞)→18:00 高知大(朝倉)解散見学地点
Stop 1 登層模式地(浮遊性微化石・耳石産地).
Stop 2 六本松層模式地(挟亜炭層).
Stop 3 唐の浜駅北方の穴内層(堆積サイクルと段丘礫).
Stop 4 伊尾木洞(穴内層浅海相,海食洞,シダ植物群落).
1.はじめに
第1図.唐の浜層群分布図.日本の地質「四国地方」編集委員会(1991)より |
高知県東南部の土佐湾沿岸には,多種多様な軟体動物化石・微化石等を含む鮮新世の唐の浜層群(甲藤ほか,1953)が点在している(第1図). 唐の浜層群は四国で唯一の海成正常堆積物からなる鮮新統で,静岡の掛川層群や九州の宮崎層群,沖縄の島尻層群などとともに,4万年ないし2 万年サイクルが卓越する当時(Tiedemann et al., 1994;Shackleton et al., 1995ほか)の黒潮やテクトニクスを探る上で重要な情報源となり得る.
これまでの研究により,鮮新統唐の浜層群は(1)浮遊性有孔虫(甲藤ほか,1953;Takayanagi, 1953;Takayanagi and Saito, 1962;Uchio, 1967;Kurihara,1968),放散虫(中世古・菅野,1973;Sugiyama et al.,1992),石灰質ナンノプランクトン(Nishida, 1971,1979;Takayama, 1969, 1980;甲藤ほか,1980;甲藤,1990),珪藻(Koizumi and Ujiie, 1976)の浮遊性微化石主要4タクサがそろって産出すること,(2)氷期−間氷期サイクルに相当すると考えられる堆積サイクルの存在が知られていること(近藤,2005;近藤ほか,1997, 2006)から,軌道要素年代(岡田,1998)を確立する上で好条件をそろえた地質体である.
本稿ではまず層序と年代に関する議論に絞って研究史を振り返り問題点を整理する.次に現在進行中の陸上掘削の概要(岩井ほか,2006)をかいつまんで紹介する.浅海域の堆積物で軌道要素年代層序を確立することにより,我々は化石層序の高精度化をはかるとともに,黒潮の消長やアジアモンスーンに関連した沿岸水の発達史をひもとく作業を開始した(岩井ほか,2006;Kondo etal., 2006;近藤ほか,2006).今回の見学旅行が,古くて新しい層序問題の議論から進化古生態学・古海洋生物学論議に発展することも期待したい.
2.研究史
第2図.研究者別層序対照表(岩井原図). |
古くから土佐湾沿岸には大型化石を含む比較的新しい時代の堆積物が存在することが知られていた(Yokoyama, 1926, 1929;Suzuki, 1930).戦後甲藤ほか(1953)は泥岩主体の登層,礫岩主体の奈半利層,含貝化石砂岩層主体の穴内層を識別,それらを総称し唐の浜層群と呼んだ.そののち基盤の奈半利川層と紛らわしいとの理由で,奈半利層を六本松層と改称した(甲藤ほか,1960).Uchio(1967)はその改称を不要としたが,一般に六本松層が広く用いられてきた(Kurihara, 1968;日本の地質「四国地方」編集委員会編,1991;甲藤・増田,1993).しかし分布域が広範で露頭が点在することからその層序関係や年代論に関しては種々見解が飛び交い混乱してきた(研究者別層序対照表参照;第2図).甲藤ほか(1953)は,登層の上位に奈半利層(=六本松層)が不整合で重なり,奈半利層を一部不整合で穴内層が覆うと考えた.ところが甲藤・尾崎(1955)では唐の浜層群から登層を除外し,甲藤ほか(1960)ではさらに六本松層をはずして,穴内層と足摺地域の越層を対比,総称として唐の浜層群を用いた.Takayanagi and Saito(1962)が浮遊性有孔虫化石から登層が中新統であることを示唆したこと,ならびに六本松層と他の地層との岩相上の差違や“不整合”の評価が揺れ動いたことによると思われる.
第3図.Kurihara(1968)による唐の浜層群地質図.4桁の数字は第1表の有孔虫分析試料採取地点を示す. |
第4図.Kurihara(1968)による唐の浜層群岩相対比図.1.泥岩,2.泥質砂岩,3.細粒砂岩,4.中粒砂岩,5.粗粒砂岩,6.砂岩−礫岩互層,7.礫岩,8.亜炭層,9.石灰質物質,10.軟体動物化石,11.生痕化石,A.穴内,B.新浜,C.高台寺,D.沢ノ平,E.久保田,F.伊尾木,G.唐の浜,H.城,I.大野,J.高田,K.野友,L.郷,M.六本松,N.羽根. 第1表.Kurihara (1968)による底棲有孔虫化石産出リストに,底棲有孔虫の産出頻度小計ならびに長谷川ほか(1989)にもとづく指標種の古水深を加えた. |
軟体動物化石群を比較したTsuchi(1961)は穴内層と登層の化石群の共通性から,それほど大きな年代ギャップはなく一連の堆積体であると考えた.底生・浮遊性有孔虫化石を再検討したUchio(1967)も,登層を中新28 岩井雅夫・近藤康生・菊池直樹・尾田太良Supplement, Sept. 2006統とするTakayanagi and Saito(1962)の解釈に異議をとなえTsuchi(1961)を支持,さらに穴内層と奈半利層(六本松層)は整合的であるとの考えを示した.またUchio(1967)は底生有孔虫群集の違いは堆積場の違いによるもので,穴内層は内部−中部陸棚,登層は外部陸棚ないし内部陸棚斜面で堆積したと主張した.いずれも重要な指摘であったが,基礎となる観察データの提示は不十分であった.Kurihara(1968)は主たる唐の浜層群分布域の地質図(第3図)・柱状図(第4図)とともに底生有孔虫の産出リスト(第1表)を提示し,Uchio(1967)とほぼ同じ結論を導いている.Kurihara (1968)は登層から(1)“シルト岩部層群集”(登層主部に分布)および(2)“砂岩部層群集”(登層下部),穴内層から(3)千福相(穴内層東部域)および(4)伊尾木相(穴内層西部)を識別し,現世群集と比較して(1)を上部陸棚斜面,(2)と(3)を中部陸棚,(4)を上部陸棚の堆積環境を示唆するものと解釈した(第1表).登層下部と穴内層東部の群集に共通性が認められることなどから唐の浜層群に年代のギャップをともなうような不整合はないとの考えを示した.
第1表 |
有孔虫・貝化石による年代論争に引きずられ,層序に関する見解が混迷する中,1970年代になると有孔虫以外の浮遊性微化石で年代を決定しようとする動きが活発となる(甲藤ほか,1980参照).石灰質ナンノ化石ではNishida(1971, 1979),Takayama(1969, 1980)が詳細な検討を行っているほか,甲藤ほか(1980)や甲藤(1990)などで予察的な記述・図示が認められる.また珪質微化石は,珪藻化石についてKoizumi and Ujiie(1976)が,放散虫化石について中世古・菅野(1973)およびSugiyama et al.( 1992) が報告している.Matubara(2004)は唐の浜層群産化石標本のカタログを作成した際,微化石層序データも整理し,登層の堆積年代を前期鮮新世の後期から後期鮮新世初期(4.20−3.21 or 3.12Ma),穴内層の堆積年代は後期鮮新世後期(2.78 or 2.73−1.97Ma)とした.しかし甲藤ら(甲藤,1990;甲藤・増田,1993)は登層と穴内層を同時異相とみなし,登層の最上部がむしろ穴内層より新しい年代を示すことを図示している(根拠となった石灰質ナンノプランクトン化石のデータは未公表;岡村眞,私信).甲藤ほか(1980)はこうした唐の浜層群の年代・層序の問題を解決すべく,羽根産業採石場内標高19.36mの地点で65.8mの陸上掘削を行い,連続した柱状試料を得た.しかし予察結果(甲藤ほか,1980)公表以降,この柱状試料の解析結果は公表されていない.
第5図.唐の浜付近の穴内層に認められる堆積サイクル(近藤,2005を一部改変). |
満塩・安田(1989)は登層と穴内層は一部同時異相の関係にあり,それらを不整合に覆う海岸段丘堆積物(従来の六本松層)を芸西層群和食層に対比した.加賀美ほか(1992)は六本松層模式地周辺を再調査し,従来の六本松層模式地と同じ地域を模式地とした奈半利層を再定義した.また満塩・安田(1989)の指摘を支持し,奈半利層を芸西層群安芸層に対比し下部更新統と考えた.安田(1999)は,穴内層と登層が同時異相であること,南海トラフで継続的な付加作用が進む中,海成層−非海成層−成層と重なることは矛盾があることから,六本松層の存在を認めながらも「礫層は登層・穴内層の上位に位置し,第四紀礫層に覆われる」との見解を示している.甲藤(1990)も登層と穴内層の一部は同時異相であるとの考えには同調したが,六本松層の年代については花粉化石を根拠に更新世ではなく鮮新世との考えを譲らず,六本松層は従来どおり穴内層・登層とともに唐の浜層群としてあつかった(甲藤・増田,1993).Matsubara(2004)は公表された微化石データを最新の地質年代尺度(Berggren et al., 1995;Yanagisawaand Akiba, 1998)に照らしあわせて再評価した.その結果登層を前期鮮新世後期から後期鮮新世初期(4.2−3.21 or 3.12 Ma),穴内層を後期鮮新世(2.78 or 2.73−1.97 Ma)に形成された堆積物とみなし,両者の間に横たわる約40万年の間に奈半利層(=六本松層)が形成されたと考えた.Matsubara(2004)はUchio(1967)や甲藤(1990)が示した同時異相の考えを否定している.その後近藤ら(近藤ほか,1997;近藤,2005)は別な観点(シーケンス層序学)から穴内層の層序を見直し,氷期−間氷期サイクルに呼応すると考えられる堆積サイクルの存在を見いだした(第5図).近藤らは数メートルオーダーの堆積サイクルが4万年サイクルないし2万年サイクルの海水準変動に対応すると考え,そのことを確かめるとともに,唐の浜層群形成時の堆積場を復元,化石生物の古生態研究を推進しようと陸上掘削を計画した.2005年末〜2006年初頭に穴内層・登層の掘削が実現し,年代論に決着をつけ黒潮圏の様相を高時間精度で明らかにしようという取り組みが始まった(岩井ほか,2006;Kondo et al., 2006;近藤ほか,2006).
3.地層各説
第6図.登層の泥岩と,挟在する貝化石含有砂岩薄層. |
登層
[命名]甲藤ほか(1953)
[模式地]高知県室戸市羽根町登
[分布]長く登周辺に限定的とされてきた(甲藤ほか,1953, 1980)が,室戸市向江付近(甲藤・増田,1993)や行当岬付近元川流域(満塩ほか,1990)にも分布することが知られるようになってきた.
[岩相]塊状泥岩を主体とし,貝化石や緑色角礫を含む砂岩薄層が挟在する(第6図).甲藤ほか(1980)は羽根産業採石場内標高19.36mの地点で65.8mの陸上掘削を行い,連続した柱状試料を得た.主体は灰白色シルト岩ないし砂質シルト岩で白色凝灰岩薄層や緑色・白色の角礫状軽石や貝化石,褐鉄鉱ノジュールなどを挟有,30m以深では砂がちとなり,56m以深では砂岩の角礫が基底礫(65m付近)まで続くとされている.30〜40mには小規模な断層の存在も記載されている.
緑色粒子は緑泥石を主体とし,スメクタイト,イライトなどの粘土鉱物を含む(高知大学・東正治教授,私信)が,コンデンスセクションにしばしば見つかる海緑石(Kitamura, 1998)は確認されていない.[産出浮遊性微化石ならびに年代]主要浮遊性微化石4タクサの浮遊性有孔虫化石( 甲藤ほか, 1 9 5 3 ;Takayanagi, 1953;Takayanagi and Saito, 1962;Uchio,1967),石灰質ナンノ化石(Takayama, 1969, 1980;Nishida, 1971, 1979;甲藤ほか, 1980;甲藤, 1990),珪藻化石(Koizumi and Ujiie, 1976),放散虫化石(中世古・菅野,1973;Sugiyama et al., 1992)がそろって産する.Matsubara (2004)は既存の微化石データを整理し,Cande and Kent (1995)の古地磁気年代を採用した古地磁気— 微化石複合層序( Berggren et al., 1995;Yanagisawa and Akiba, 1998)に対比, 4.20−3.21 or3.12Maとした.しかし穴内層と同時異相と考える甲藤ら(甲藤,1990;甲藤・増田,1993;安田,1999)は石灰質ナンノプランクトン化石帯NN14−19に対比し,最上部は鮮新世−更新世境界付近に届くことを図示している.
甲藤ほか(1980)によれば,登層の平均堆積速度は5〜10cm/k.y.と見積られている.
[その他化石ならびに堆積環境]底生有孔虫化石(甲藤ほか,1953;Uchio, 1967;Kurihara, 1968;甲藤,1990),花粉化石(甲藤ほか,1953),軟体動物化石や耳石化石( 満塩ほか, 1990; Majima and Murata, 1992;Matsubara, 2004;三本・中尾,2004など),珊瑚(甲藤・尾崎,1955),甲殻類(三本,2001),鮫の歯や脊椎(上野ほか,1975;田中・三本,1991;三本,2002)等が報告されている.陸棚縁辺から陸棚斜面上部の海盆で堆積したと解釈されている(甲藤ほか,1953;Uchio,1967;Kurihara, 1968;第1表).
第7図.穴内層とそれを不整合で覆う海岸段丘堆積物. |
穴内層
[命名]甲藤ほか(1953)
[模式地]高知県安芸市穴内
[分布]穴内・新浜・江川・伊尾木・唐の浜および安田付近に分布.
[岩相]主体は石灰質シルト岩〜中粒砂岩で,下部には円礫層が認められる.中・上部では,砂質シルトあるいはシルト質砂を基軸とし,細粒化と粗粒化を繰り返し,一つの堆積サイクルを形成している(第5,7図).堆積サイクルを形成する堆積相としては,粒度・堆積構造・含有大型化石から以下の堆積相I〜IVが認識される;
堆積相 I :化石密集層を含む細粒砂相貝類を中心とした大型化石の密集層(厚さは最大で10 cm )を挟む細粒砂層である.化石密集層は上に凸のレンズ状形態を呈し,低角の斜交層理砂岩に覆われることがある.暴風時堆積物のハンモック状堆積物であると見なされる.
堆積相 II:貧化石砂質シルト相堆積物の粒度は均質で,化石に乏しい,淘汰がよいシルト岩からなる.暴風時の堆積作用により懸濁状態となった堆積物のうち比較的粗粒のものが堆積したもので,下部外浜から内側陸棚への漸移部にあたると考えられる.
堆積相 III:砂質シルト相化石を豊富に含み,生物攪拌の著しい不均質な砂質シルトで,ほとんどが生息時の姿勢を保った状態で見つかるClementia vatheleti(フスマガイ)と,大型で殻の薄い腹足類Stellaria exutus(キヌガサガイ) がめだつ.暴風時の堆積作用の影響が比較的少ない安定した海底環境を表しており,ベントスの深度分帯では上部浅海帯,堆積学的には内側陸棚に相当する.
堆積相 IV:泥岩相やや砂混じりの不均質な泥岩で,Glycymeris rotunda(ベニグリ)が優占する.Paphiaschnelliana, Clementia vatheletiなどが混じり,KeenaeasamaringaeやVenus foveolataなど,下部浅海帯に分布する貝類が含まれる.暴風時の堆積作用の影響が砂質シルト相の場合よりさらに少ない外側陸棚の堆積物であると考えられる.
含まれる貝化石群はすべて暖水種で,寒水種は全く出現しないが,穴内層上部に見られる堆積サイクルは大桑
第8図.穴内層掘削コア試料(ANA)模式柱状図(近藤原図). |
唐の浜.層中部の海進海退サイクル(Kitamura et al., 1994)とよく似た特徴を示す.
唐の浜駅北方農免道路沿いの陸上セクションでは10の海進−海退サイクルが認定されている(近藤,2005;第5図).唐の浜駅北方の丘陵で掘削されたコア試料では,総計17の堆積サイクルが認定され(Kondo et al., 2006;第8図),岩相対比により,コアの堆積サイクル13は,近藤(2005)のサイクル6に対比される.
[産出浮遊性微化石ならびに年代]石灰質ナンノ化石(Nishida, 1971, 1979; 甲藤,1990;甲藤・増田,1993)および花粉化石( 中村, 1 9 5 2 ) の報告がある.Matsubara(2004)は,浮遊性微化石の既存公表資料をBerggren et al.,(1995)の地質時間尺度によみかえて2.78 or 2.73−1.97Maとし,登層より40万年程度以上新しい堆積物とした.甲藤ら(甲藤,1990;甲藤・増田,1993)の石灰質ナンノ化石登層とは同時異層であるとしている.
[ その他化石ならびに堆積環境] 軟体動物化石(Yokoyama, 1926, 1929;Nomura, 1937;満塩ほか,1990;柴田・氏原,1990;近藤,1999;Tomida and Kitao, 2002;三本・中尾,2004;Matsubara, 2004など),耳石(門部・近藤,2005)貝形虫化石(Ishizaki, 1979, 1983;Ishizaki andTanimura, 1985),花粉(中村,1952)などが報告されている.Ishizaki(1983)はCallistocythereananaiensis, C. kattoi, Cytherella japonicaなど7種を新種記載している.
甲藤ほか(1953)およびKurihara(1968)は底生有孔虫化石群集から,穴内層分布域西部(伊尾木)で浅く,東部(千福)ではやや深くなる一般的傾向を示した.Ishizaki and Tanimura(1985)は,貝形虫化石群集のQモード主成分分析を行い,4つのバリマックス群集(公海陸棚群集,黒潮系群集,湾口群集および沿岸流系群集)を認定した.粒度分析の結果と比較し,貝形虫の群集変化は堆積学的要因とは独立し,古海洋環境を反映したものと見なせることも示した. Ishizaki andTanimura(1985)は,主成分因子の時空間変動の様相から,穴内地域が最も開放的陸棚の影響化にあり,西部の穴内や伊尾木は湾口部の堆積場にあったことを明らかにしている.六本松層[命名]甲藤(1960).甲藤ほか(1953)で記載された際には奈半利層と命名され,不整合で登層をおおい,穴内層には覆われる関係と見なされた.その後奈半利川層との混乱を嫌い甲藤ほか(1960)は六本松層と改称した.Uchio(1967)はその改称を不要と考えたが,その後使われ続けている(甲藤・増田,1993ほか).加賀美ほか(1992)は層序再検討に際し,奈半利層を再定義し使用している.
第9図.六本松層の礫岩,泥岩と挟亜炭層.安芸市六本松. |
[模式地]高知県安芸郡奈半利町六本松.
[分布]奈半利町六本松・車瀬・加茂,田野町大野台,および室戸市羽根.
[岩相]礫岩を主体とし,一部成層した泥岩・亜炭・砂岩が挟在する(第9図).礫種としては室戸層群起源と思われる砂岩,泥岩,チャート等からなる.
[産出化石ならびに年代・堆積環境]木片や花粉化石のAlnus, Taxodiaceae (Metasequoia+Sequoia), Gramineae,Fagus, Ulmus, Liquidamberなどが報告されている(Nakamura, 1951;甲藤ほか,1953).海成堆積物であることを示唆する化石は見つかっておらず,陸水性堆積物とされている.満塩・安田(1989)は羽根岬周辺の層序調査結果と周辺地域との岩相対比を元に,下部更新統であると考えた.加賀美ほか(1992)は模式地周辺の六本松層を調査し,同じく下部更新統とみなし,六本松層をもとの奈半利層に改めて改称・再定義した.しかし甲藤・増田(1993)では,花粉化石を根拠に鮮新統であるとの考えを崩していない.Matsubara(2004)は,登層・穴内層の産出微化石は年代ギャップがあると考え(同時異相との考えを否定),そのギャップすなわち後期鮮新世前期が六本松層の形成年代とみなしている.
第10図.登層掘削コア試料(NOB)模式柱状図(近藤原図). |
4.陸上掘削
甲藤ほか(1980)によって採取された登層掘削柱状試料は,その後高知大学理学部や佐川地質館(初代館長:甲藤次郎)などを転々とし,最後は甲藤高知大学名誉教授私設の倉庫に保管されていた(岡村眞・松岡裕美,私信)とされるが,甲藤先生ご逝去後倉庫を確認した第二著者近藤はその所在を確認していない.現在は所在不明の状態である.そこで平成17年度高知大学学長裁量経費「200万年前の土佐湾:海洋生物相と気候変動の復元」(代表:近藤康生)ならびに科学研究費基盤研究A(一般)「高品質の層序データ提供と若手育成のための浮遊生微化石統合データバンクの構築」(代表:尾田太良)の資金援助をうけ,2005年末から2006年初頭にかけて相次いで穴内層・登層の陸上掘削を実施した(岩井ほか,2006;近藤ほか,2006).
穴内層掘削コア(ANA)は掘進長70mで回収率は96.0%,登層掘削コア(NOB)は掘進長63.3mで回収率は99.3%であった.いずれも完全に基盤を確認することはできなかったものの,穴内層・登層のおおむね全層準を連続した柱状試料として回収することができた(第8,10図).セクション長1mのコア試料は,種々計測や試料分割の前にまず地球深部探査船「ちきゅう」船上で残留磁気測定が行われた.暫定的ながら古地磁気層序があきらかになり,さらに穴内層コア試料では地磁気逆転時の磁気変動の詳細が明らかになった(小玉ほか,2006;Kodama et al., 2006).しかし石灰質ナンノ化石の予察分析(亀尾浩司,私信)とは一致した結論を得るには至っておらず今後の精査が待たれる.これまでに,帯磁率やCT画像等,海洋コアセンターの大型機器を利用したデータが取得され,各種微化石や酸素同位体の分析が進行中である.詳細は別途報告することにし,ここでは岩相の記載概要(観察者:近藤)の記述にとどめる.
穴内層掘削コア(第8図)
唐の浜層群穴内層の最下部を除く大部分をカバーしており,陸上では露出不良のため不明であった同層下部の層序が明らかとなった.唐の浜における層序は,下位より,石灰質砂岩(最下部:掘削層準よりも下位),砂質貝殻密集層と化石散在層(あるいは貧化石層)の互層(下部:層厚20m),厚層細礫泥質貝殻層と化石散在層の互層(中部: 層厚7.5m),細礫貝殻層と貝殻散在層の互層(上部:層厚17.5m),貝殻散在層と無化石層の互層(最上部: 層厚18.3m)である.以上が穴内層に相当し,礫質の段丘堆積物に覆われる.少なくとの17の堆積サイクルが認定でき,それらの一部は従来の露頭観察で認定されていた海進海退サイクル(気候変動に伴うミランコビッチサイクルと推定される)に対比することができた.
登層掘削コア(第10図)
表層60cmは採土作業過程で埋め戻した人為改変堆積物であるが,以下〜63mまで連続した試料が得られた.最上部(0.6〜13.3m)の泥岩には緑色粒子は目立たず,長谷・近藤(1999)が,海綿骨針を集めて殻をつくる膠着質有孔虫と解釈したMakiyamaが密集または散在する.13.3〜28.8mのコア上部では,おなじく泥岩層を主体とするが,緑色粒子と貝殻の密集層が繰り返し出現する.Makiyamaは密集または散在.岩相変化に周期性が認められる.掘削コア中部(28.8〜41.9m)では,緑色粒子・貝殻は,コア上部のように密集せず,広い層準に散在する.Makiyamaは密集または散在するが,24〜28mの間は産出が欠落する.コア下部(41.9〜60.1m)ではやや粒子が粗くなり,化石は乏しく,緑色粒子はみあたらない.この区間の最上部では,炭質物薄層やタービダイトを挟み,下位に漸移する.Makiyamaは区間中下部では見あたらない.コア試料の流動化のため,一部岩相・層序が不明.最下部の60.1〜63.3mには細粒砂岩の角礫岩が認められる.
層序関係の明瞭な連続した柱状試料を,穴内層・登層のほぼ全層準をカバーするように採取することをめざした掘削は,いずれも基盤にこそ達しなかったものの,ほぼ全層準をカバーする連続試料の採取に成功し,軌道要素年代学確立に必要な,古地磁気層序・同位体層序・微化石層序の分析試料を供した.
Geologic Time Scale (GTS) 2004(Gradstein et al.,2004)の中でLourence et al.(2004)は古地磁気層序の再評価を行うとともに,微化石層序の基準面と酸素同位体ステージ(MIS)等軌道要素変動に起因した反応特性を示す物理化学情報とを対応づけ,新生代の高精度層序= 軌道要素年代尺度( Astronomically TunedNeogene Time Scale;ATNTS)の確立を提言している.高精度層序の確立により,これまで等時性が維持されていると考えられてきた化石層序学的基準面においても地域差の存在が明らかにされてきており,進化生態学的評価検討が可能な時間精度で議論できる環境が整備されつつある.
穴内層・登層より得られたコア試料は,従来の混乱要因を明らかにして高精度微化石層序を確立することに最適であり,それにより黒潮圏の古海洋学的・進化古生態学的研究を推進することが期待される.
第11図.見学地点位置図.A .登層模式地(Stop 1).星印付近で柱状試料NOBを採取.B.六本松層模式地(Stop 2).C.唐の浜駅周辺(Stop 3).○は穴内層柱状試料(ANA)掘削地点.D.伊尾木洞(海食洞とシダ群落;Stop 4). |
5.見学地点
Stop 1 登層模式地(浮遊性微化石・耳石産地)
[地形図]1/2.5万 「羽根」
[位置]室戸市羽根町羽根産業採石場(第11図A)
[解説] 2.5万分の1地形図に示された鳥居印付近にわずかに露頭が残るほか,周辺に露頭が点在(実在する社の位置は北に40m程ずれているので注意).
浮遊性有孔虫化石Globorotalia tosaensisの模式地(Takayanagi and Saito, 1962)として知られるが,底生有孔虫化石ではSpiroloculina akiensis,Trifarina shikokuensis, Quadrimorphina akiensis(Kurihara, 1968)が,石灰質ナンノ化石ではReticulofenestra japonica (Nishida) emend.N i s h i d a が, 放散虫化石では,Pseudodictyophimus hexaptesimus, Bathropyramis(?) pyrgina, Eucyrtidium leneが(Sugiyama et al.,1992)この地で記載されている.残念ながらKurihara(1968)やNishida(1979)等で試料採取された河川床の露頭は護岸工事等で消滅してしまっている.
採石場あとや途中の進入路では雨水に洗い出された耳石化石(径数mm程度)を拾うことができるが,山頂付近の平坦地は採土の埋め戻しが行われている(羽根産業社,私信)ので注意.
Stop 2 六本松層(奈半利層)模式地
[地形図]1/2.5万 「羽根」
[位置]六本松にある旧貯木場付近,国道55号の北側(第11図B).
[解説]国道の北側ゴルフ練習場入り口付近を最上部に,作業道沿いに下位層準を観察.100mほど入ると亜炭層が少なくとも3層準で認められる露頭に至る.地層はおよそ海岸線に向かって緩く傾斜.この付近で穴内層や登層との関係は不詳.
Stop 3 唐の浜駅北方の穴内層(堆積サイクルと段丘礫)[地形図]1/2.5万 「安芸」
[位置]第三セクター土佐くろしお鉄道の唐の浜駅から北方約200m(第11図C),農免道路沿いに連続露出.一部はすでに壁面保護されている.
[解説]Stop 3周辺における地層の走向はN30゜W,傾斜は南西に10゜程度.農道入り口近くの露頭はこれまで認定されている最上位層準にあたり,貝殻が多数散らばっているが,そのほとんどはベニグリ(Glycymerisrotunda)と呼ばれる二枚貝である.ベニグリは,本州,四国,九州,東シナ海の水深30〜300mに分布している(黒田ほか,1971).
第12図.伊尾木洞(Stop 4). |
Stop 4 伊尾木洞
[地形図]1/2.5万 「安芸」
[位置]土佐くろしお鉄道伊尾木駅から東北東約7分.国道55号からやや北(第11図D).海食洞窟への入口付近には子供の塑像と標識がある.
[解説]Stop 3で見られる穴内層にくらべ粗粒で,チャネルを充填する礫岩薄層もみられる.層理面の走向はおおむね海岸線にそっており,海岸に向かってゆるく傾斜する.洞穴(第12図)を抜けると,穴内層がつくる渓谷壁面にはぎっしりとシダが生い茂る.国の天然記念物として指定されているシダ植物群落(大正15年10月20日指定)で,暖地性シダ類7種が共生繁殖するとされている.沢の奥に突き進むと礫岩が卓越するようになり,四万十帯の砂岩泥岩互層と断層で接する露頭が見られる.
謝 辞
千葉大学亀尾浩司博士ならびに徳島大学村田明広博士には原稿の校閲をしていただいた.登層模式地における調査・巡検は(株)羽根産業の好意により実現した.感謝する次第である.
文 献
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本稿は「岩井雅夫・村田明広・吉村康隆,2006,見学旅行案内書,地質学雑誌,112,補講,170pp」がオリジナルです。
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