地質フォト:南アフリカのSwaziland系(32億〜35億年前)

Swaziland System (3.2〜3.5Ga-old) in South Africa

 

写真:諏訪兼位 Kanenori Suwa

写真1

 

 


写真2

 

解説:
写真1: Barberton山地のOnverwacht層群中位のKomati層(34億年前).この写真では,6つのflow unit がみられる.ひとつのflow unitは10~20m厚さである.Flow unitの下位はkomatiiteで,弱い変成作用をうけ,角閃石などの変成鉱物を生じているため,ごつごつとした岩肌を呈する.中位はkomatiitic basaltで,スムーズな表面をもち,芝生のような見掛けを呈する.上位は縞状鉄鉱層でグリュネル角閃石(grunerite)珪岩が存在する.(1992年1月18日撮影).

写真2: Barberton 山地のOnverwacht層群中・上位のKromberg層(33億年前).見事なpillow lavaがみられる.(1992年1月20日撮影).

  始生代早期・中期のSwaziland系は,Barberton山地(Kaapvaal剛塊東部)にもっともよく露出している.Barberton山地は,19世紀半ば頃から金の産出で知られ,古くから地質調査も行われていた.ここのgreenstone帯は,長さ100kmを超え,Swaziland系(層厚22km)の火山岩や堆積岩からできている.低温の変成作用をうけた火山性岩石は緑色を呈するので,greenstone帯とよばれる.
Swaziland系は下部のOnverwacht層群(33億〜35億年前),中部のFig Tree層群(32億年前),上部のMoodies層群(32億年前)の3つに分けられる.   Onverwacht層群(層厚15.2km)は,下位より上位へ,Sandspruit層,Theespruit層,Komati層,Hooggenoeg層,Kromberg層,Swartkoppie層の6層よりなる.下位には超塩基溶岩のコマチ岩(komatiite)が多く,中位には塩基性溶岩が,上位には中性・酸性の溶岩とチャートが多い.
Fig Tree層群(層厚2.1km)は主に,チャート,グレイワッケ,頁岩からなり,縞状鉄鉱層をわずかに含む.Moodies層群(層厚4.3km)は主に,礫岩,粗粒砂岩,珪岩,頁岩からなり,縞状鉄鉱層をわずかに含む.  これらをとりかこんで,26.9億〜35.1億年前の時代を異にするいくつかの花こう岩体が分布する.