前杢英明
Hideaki Maemoku
広島大学大学院教育学研究科
Graduate School of Education, Hiroshima
University, Higashi-hiroshima 739-8524, Japan.
概 要
高知から室戸岬にかけての土佐湾北東部の海岸に沿って,標高数百m以下に海成段丘がよく発達している.特に室戸岬に近い半島南部では,段丘面の幅が広くなり,発達高度がより高いことから,切り立った海食崖と平坦な段丘面のコントラストが印象的であり,海成段丘地形の模式地として地理や地学の教科書等に頻繁に取り上げられてきた.本コースの見どころは,室戸沖で発生する地震性地殻変動と海成段丘形成史とのかかわりについて,これまでの研究成果をふまえて,傾動隆起などを実際に観察できることにある.さらに,ここ数千年間の地震隆起様式について,地形・地質学的証拠と測地・地球物理学的な見解に相違点があることを,現地を見ながら確認できる.
Key Words
海成段丘,室戸半島,地震性地殻変動,第四紀,完新世,暖温帯石灰岩
marine terrace, Muroto Peninsula, coseismic crustal movement, Quaternary,
Holocene, warm-temperate limestone
地形図
1: 25,000 「安芸」「奈半利」「羽根」「室戸岬」
見学コース
8:30 高知大(朝倉)出発→はりまや橋→大山岬→行当岬→室戸岬→18:00 高知大(朝倉)解散
見学地点
Stop 1 安芸市大山岬(隆起ベンチ・海食洞,隆起付着カキ).
Stop 2 室戸市国立室戸少年自然の家(H面・M面の模式地,露頭).
Stop 3 室戸市室戸岬展望台(東海岸・西海岸の非対称地形).
Stop 4 室戸市室戸岬(完新世隆起地形,完新世暖温帯石灰岩).
1.はじめに
西南日本外帯は,フィリピン海プレートがユーラシアacプレートの下に沈み込む南海トラフに面しており,南海トラフ付近では,水平圧縮応力による低角逆断層型と推定される巨大地震が(米倉,1976),歴史時代において数多く発生してきたことが,古文書などによって知られている(沢村,1967;宇佐美,1996).
外帯で南海トラフ側に突出した御前崎,潮岬,室戸岬,足摺岬などには,標高数百メートル以下に数段の海成段丘が発達しており,我が国における海成段丘地形の模式地の一つとして知られている.海成段丘とは,緩く海側に傾斜する浅海底面が氷河性海水準変動と地殻変動によって離水した(干上がった)台地状の地形である.このことから,海成段丘の存在は,少なくとも第四紀後半における当該地域の継続的隆起傾向を示唆している.隆起をもたらした地殻変動の様式はそれぞれの地域で異なるが,南海トラフに近接する地域に関しては,巨大地震のたびに陸地が数十cmから数m隆起しており,このような地殻変動が累積することによって,海成段丘が発達したと考えられている(吉川ほか,1964;米倉,1968).海成段丘の形成史には,ここ数十万年間の平均的な地殻変動速度が反映されているので,海成段丘は第四紀後半の地殻変動様式を復元するのにきわめて有効な研究対象であるといえる.
一方,数十万年間の平均的な地殻変動とダイナミックな氷河性海水準変動によって形成された海成段丘に対して,後氷期海進以降の海水準安定期に,エピソディックな地震隆起などによって、海岸線付近で形成された波食面やビーチが離水した,いわばミニ海成段丘も,保存され観察できることがある.室戸岬周辺には,このようにして形成されたと考えられる2〜3段のミニ海成段丘が発達しており,さらにそれらに付随した海岸隆起の生物・地質学的証拠が多数残されている.
2.地形概説
(1)室戸岬およびその周辺の更新世海成段丘南海トラフ沿う地域の中で,室戸岬付近は第四紀後期における隆起速度が最も速く, 最終間氷期極相期(MIS-5e)の旧汀線高度は最高200m付近にまで達する(吉川ほか,1964など).室戸半島における第四紀地殻変動研究は1900年代前半にまで遡る.今村(1930)は歴史記録により,地震時の急性的地殻変動は,室戸岬側が隆起し高知側が沈降する様式であったと述べ,水準測量結果(1895−1929)から明らかにされた地震間の慢性的地殻変動とは変動の向きが異なることを指摘した.三野(1931)は2段の海成段丘面を認定し,同時期に形成された段丘面が北に向かって高度が下がる傾動隆起を認めた.Watanabe(1931)は3群の海成段丘面を認定し,各段丘面はさらに小さな段丘面に細分されることから,地震性地殻変動によって生じた多生的海成段丘面であると述べた.今村(1937)は上下2段の段丘の旧汀線高度から北傾斜の傾動隆起を推定し,地震時の変動と調和することを示唆した.
このような先駆的な研究のさなか,1946年12月26日に南海道地震が発生し,四国沿岸は大きな地震災害を受けた.この地震後に国土地理院によって行われた水準測量から,地震間には岬部がゆっくり沈み逆に高知平野側が隆起,地震時には室戸岬側が急激に隆起し高知平野側が沈降するといった,シーソーのような地盤運動の様式(今村,1930;沢村,1951a,b;1953;1954)が測地学的にも確認された.その後,海成段丘旧汀線高度と地震前後の水準測量による地盤変動の関係について議論されるようになる.渡辺(1948)も段丘高度の北下がりの傾動を認め,地震性地殻変動の累積によって傾動隆起したものとした.
第1図.室戸半島の更新世段丘分類図(吉川ほか,1964を一部改変),位置はルートマップ参照. |
第2図.室戸半島に分布する更新世段丘の旧汀線高度(下)と水準点変位量(上)の投影図(吉川ほか,1964) |
第3図.室戸半島の地殻変動と海面変化の推移,および両者を複合した結果(吉川ほか,1964). 太い実線:地盤の海抜高度の変化.細い実線:海面変化(Fairbridge,1961による). 細い破線:地殻変動の積算量. |
第4図.西南日本外帯の地震性地殻変動区(破線で示されるヒンジラインより南側)と最終間氷期最盛期の海成段丘高度(太田,1968を一部改変). |
吉川ほか(1964)はさらに詳細な段丘地形・堆積物の記載を行い,室戸半島に分布する更新世海成段丘を5段に分類した(第1図).段丘堆積物の層厚や地形的な連続性から,M1面段丘をMonastirian期(最終間氷期極相期,MIS-5e),H2面段丘をTyrrhenian期(MIS-7)の段丘に対比した.南海道地震時の変動量分布が,M1面,H2面海成段丘の旧汀線高度の分布傾向に調和することから,南海道地震タイプの変動様式が段丘形成期,すなわち第四紀後期の十数万年前以降現在まで継続していると述べた(第2図).段丘面の高度は地殻変動と氷河性海水準変動量との組み合わせによって説明でき,最終間氷期極相期の年代を9万年前とすると(Fairbridge,1961),室戸岬は平均2 mm/yrで隆起してきたことになり,これは水準測量結果から推定された平均隆起速度に一致するとした(第3図).なお,現在は最終間氷期極相期の年代は約12.5万年前とする考えが一般的であり,この年代から計算すると段丘隆起速度は1.4 mm/yr程度となる.
吉川(1968)は,傾動運動の軸として室戸半島基部を通るほぼ東西方向の境界線(ヒンジライン)を推定し,これより海溝側を地震性地殻変動区とした(第4図).太田(1968)は段丘の高度分布は地震性地殻変動と調和するが,接峰面図から読み取った山地の高度分布とは一致しないとした.
これに対し,須鎗ほか(1971),阿子島・須鎗(1972)および阿子島ほか(1973)は,段丘礫の赤色風化殻の厚さを指標にして室戸半島の海成段丘の対比を行った.その結果,ほぼ水平に隆起した旧汀線分布を復元し,同地域が第四紀後期にはほぼ均等(水平)に隆起してきたという結果を得ている.これは,前述の吉川ほか(1964)に代表される傾動隆起説を否定し,室戸半島は第四紀後期には南海地震時の変動様式とは異なった様式で隆起してきたことを示したものであるが,その後は水平隆起説(須鎗・阿子島説)を支持する他の研究成果は発表されていない.一方、南海トラフの広域的な地質構造や海底地形の発達を説明するには,傾動隆起を考えざるをえないとした
研究が近年多数発表されている(杉山,1989a,b,1991など).例えば岡村(1990)は,南海トラフに沿う海域の音波探査から海底の地質構造を明らかにし,西南日本外帯は第四紀後期に東西圧縮による南北に軸を持つ波状構造と,フィリピン海プレートの北西進による島弧方向の構造をつくる運動が同時に進行していると述べた。その結果,室戸半島の段丘変形は,南下りの島弧方向の変動と南北に軸を持つ背斜構造が合わさって成長している結果だとした(第5図).最近は,海底地震探査によりさらに詳細な南海トラフ沿いの地下構造が解明されつつある(Kodaira et al, 2000;朴ほか,2001など).これらの成果と第四紀の陸域の地殻変動との整合性が検証されるべきであろう.
第5図.海底地質構造から求められた室戸半島の第四紀地殻変動モデル(岡村,1990). |
(2)室戸岬およびその周辺の完新世海成段丘室戸半島は,南海トラフに沿う地域の中で第四紀後期の隆起速度が最も速く,完新世の隆起地形・現象の保存が比較的よい地域である.室戸地域の完新世海成段丘および離水波食地形について調査したTakahashi(1974)は室戸岬付近の隆起波食棚を3段に区分し,吉川ほか(1964)による2 mm/yrの隆起速度とFairbridge(1961)の海面変動曲線を用いて形成の時代論を展開した.また金谷(1978)は室戸半島の完新世海成段丘をL1-L3面の3段に分類し,それぞれM1面(最終間氷期最盛期の段丘面)高度に調和した北への傾動隆起が見られることを指摘した.また,金谷(1978)は,L1面を約6000年前の縄文海進に対応すると仮定して,L1面の平均傾動速度を求め,傾動速度を一定とみなしてL2面を3500年前,L3面を1400年前の離水と推定した.地殻変動速度については,完新世において若干隆起速度が速くなるものの,第四紀後半から傾動隆起が継続しているという結果を得ている.
これに対して,完新世海成段丘や離水波食地形の分布や,潮間帯に棲む環虫類の石灰質遺骸の分布と14C年代に基づき,完新世においても均等かつ不等速に隆起してきたとする研究も見受けられる(須鎗・阿子島,1975;甲藤・阿子島,1980;阿子島・甲藤,1984).
前杢(1988)は,室戸半島の完新世段丘や離水波食地形を調査した結果,段丘面区分については金谷(1978)の分類と概ね一致しているが,南海地震の隆起様式の積み重ねで説明した従来の地殻変動論とは違う見解を述べた.
前杢(1988)は,室戸岬付近のヤッコカンザシ棲管の分布高度と14C年代,および海成段丘を含む隆起波食地形の分布高度から,完新世後半における陸地を不動とした時の海面の相対的高度変化を推定した(第6図).これによると,数百年〜千数百年間の海面高度が相対的に安定する時期と,急激に海面が低下する時期が,完新世に数回繰り返された変化が読み取れる.このように急激な海水準の相対的低下は,大地震に伴う陸地の急激な隆起に起因していると推定できる.最近では,一つの化石群体において複数のポイントから年代試料を採取し,少量の試料で測定が可能なAMSによる14C年代測定を行うことによって,さらに詳細な化石群体の成長過程や地殻変動史が明らかにされつつある(前杢,1999a, b,2001;前杢ほか,2005;第7図).
第6図.隆起海岸地形と付着生物化石による室戸岬の最近6,000年間の相対的海水準変化(前杢,1988).破線上のローマ数字は海水準の安定期を,( )内の数字はその高度を表す.横棒のついた○印はヤッコカンザシの採取高度と年代値を,上矢印の先端は試料を採取した化石群体の上限高度をそれぞれ示す. |
第7図.コアリングとAMS14C年代から提示さた室戸岬の最近数千年間の相対的海水準変化からみた予察的隆起モデル(前杢,2001).横棒のついた●印はヤッコカンザシの採取高度と年代値を示す. |
室戸岬の隆起は,1946年に発生した南海地震のような,プレート境界付近で発生する大地震に伴う地震隆起の単純な累積に起因するという考え方がこれまで一般的であった.これに対して,室戸岬の隆起海岸形成に直接影響を与えている地震は,プレート境界から枝分かれしたより陸地に近い断層の活動によるものではないかとする仮説(島崎,1980;米倉,1979など)が提示された.杉山(1992)は,島弧方向(外縁隆起帯)と南北方向の背斜構造を逆L字型の一連の構造単元と考え,半島海岸の隆起は南北隆起帯の東縁断層が低角右横ずれ断層とともに活動するときに起こるとし,それはプレート間地震の間隔より数倍〜1桁長い間隔で発生すると述べた.
ヤッコカンザシ棲管や隆起波食地形の分布高度から明らかにされた室戸岬の最近数千年間の地殻変動様式および歴史記録から,南海トラフに沿って発生する大地震にはプレート境界付近で発生する地震(境界タイプ)と,プレート境界から枝分かれした(朴ほか,2001),より陸地に近い活断層の活動を伴った地震(内部タイプ)があり,内部タイプの地震が数百年〜千数百年の間隔で発生することが海成段丘などを形成した主たる要因になっていると推定される.また,境界タイプの地震は100年から200年の間隔で発生するが,1回の地震に伴う隆起量が比較的小さいため,地震後数年間の急速な逆戻りや(Okada and Nagata, 1953)地震間の定常的な南下がりの逆向き傾動運動によって,地形学的証拠は残りにくいと考えられる.
3.見学地点
Stop 1 安芸市大山岬(隆起ベンチ・海食洞,隆起付着カキ)
第8図.Stop 1(大山岬)付近の地形図,1:25,000地形図「安芸」を使用. |
第9図.Stop 1 付近で見られる典型的離水ベンチとノッチ. |
[地形図]1/2.5万「安芸」
[解説]安芸市南部に位置する大山岬では(第8図),底部の標高が7m前後の海食洞,標高4〜5m前後のベンチ・ノッチが発達している(第9図).また,大山岬や下山の岩礁には標高5〜7mにカキ,ボーリングシェル,ヤッコカンザシ,サンゴの群体が付着しており,上限部のカキの14C年代は1290±60(HR-323)〜1515±60 yrBP(HR-215)(いずれも暦年未補正)という値を示した(前杢,1988).隆起ベンチ高度とカキの年代値からは,完新世の平均隆起速度は室戸岬付近と同じくらいになり,大山岬付近のみに限ってみると,一般的な傾動傾向から外れている.この原因は不明である.
Stop 2 室戸市国立室戸少年自然の家(H面・M面の模式地,露頭)
[地形図]1/2.5万「羽根」「室戸岬」
[解説]更新世の海成段丘は,安芸市からさらに南下し,安田,田野,奈半利町に入ってくると段丘面の幅がしだいに広くなり,分布高度が増加する.羽根岬面の模式地である羽根岬(室戸市)以南ではM1面高度が標高100m以上になる.羽根岬から行当岬の間が,更新世海成段丘(H面〜M面)がもっともよく発達する区間であり(第1図),行当岬東方にある室戸市国立室戸少年自然の家の展望所から,この間の海成段丘地形を一望する(第10,11,12図).また,この区間は,室戸半島でもっとも傾動隆起が著しい区間であり,行当岬でM1面高度が標高200m近くに達する(第2図).
第10図.Stop 2(国立室戸少年自然の家)から展望できる吉良川付近の地形図,1:25,000地形図「羽根岬」「室戸岬」を使用. |
第11図.吉良川付近のステレオ空中写真,SI-68-5Y(C14-2.3)を使用. |
第12図.吉良川付近の斜め空中写真(前杢英明撮影). |
Stop 3 室戸市室戸岬展望台(東海岸・西海岸の非対称地形)
[地形図]1/2.5万「室戸岬」
[解説]室戸半島の大部分は,標高200〜1000mの山地からなる.その分水界は半島の東側に遍在しているため,主な河川は土佐湾に流入しており,それらの河口付近,例えば,北部では安芸川,中部では奈半利川,南部では室津川の河口付近に小規模な沖積平野が発達する.東海岸においては,沖積平野は,海部,宍喰付近に分布する程度で,甲浦以南では小規模な河川しかなく,海食崖が直接海に接しているところが多い.海成段丘の発達も,半島の西側に集中しており,東海岸にはほとんど認められない.室戸半島東岸では大陸棚がきわめて狭く,大陸斜面が陸上から前弧海盆に直接落下している。これは半島東部には外縁隆起帯から続く低角逆断層があるため(粟田・杉山,1989)といわれている。室戸岬を1000年〜2000年の周期で隆起させるプレート内部の活断層は,この断層である可能性が高い.活断層研究会(1991)にも,室戸半島東海岸沖から室戸海脚東縁部に延びる海底活断層が記載されている.室戸岬展望台からは半島の両岸が一望でき,東西の非対称的な地形を確認できる(第13,14図).
第13図.室戸岬先端から見た対照的な東西の海岸地形(前杢英明撮影). |
第14図.室戸岬付近のステレオ空中写真,SI-68-5Y(C15-2.3)を使用. |
Stop 4 室戸市室戸岬(完新世隆起地形,完新世暖温帯石灰岩)
第15図.室戸岬付近の完新世海成段丘分類図. |
第16図.Stop 4 付近で見られる典型的な完新世隆起暖温帯石灰岩. |
[地形図]1/2.5万「室戸岬」
[解説]室戸岬付近には完新世海成段丘地形が,比較的よく保存されている(第15図).L1面の高度は11m内外である.L1面は,M段丘に至る比高150m前後の急斜面(海食崖)の下部に張り付くように分布しており,内縁部は崖錐に覆われていて汀線アングルの地形は埋没しているところが多い.L2面は比較的連続性がよく,幅100m以下で旧汀線高度は前後8mである.L2面の海側は防波堤・道路擁壁などによって現在の磯や浜と隔てられている.室戸岬の岩礁には,L2面に対比される高度にベンチ(波食棚)などの波食地形が分布する.室戸岬付近のL1面やL2面も基本的にベンチ地形と考えられる.前杢(1988)は,段丘面の離水年代を知るために,段丘地形そのものからではなく,岩礁部において段丘に対比される高度に分布する生物化石を利用して,それを間接的に推定した.
室戸岬沿岸には,潮間帯の岩場に密集して付着するさまざまな生物が分布している(第16図).これらのうち,環虫類のヤッコカンザシ(Pomatoleios kraussii)は,直径数ミリ,長さ数センチの細長い石灰質の棲管を形成する.潮間帯中部の岩場ではそれらが密集して群体を形成し(今島,1979;三浦・梶原,1983;茅根ほか,1987),厚みが数十センチに達することがある.室戸岬の隆起に伴って,このような生物の棲管も岩礁に固着したまま隆起して石灰岩化し,現在では岩陰などに位置して侵食から免れた群体が,標高約9m付近まで分布している.室戸岬の岩礁遊歩道に沿って,隆起ベンチやノッチの地形,および完新世隆起暖温帯石灰岩が数多く分布している.これらを高度帯,年代別に整理しながら見学する.
本稿は「岩井雅夫・村田明広・吉村康隆,2006,見学旅行案内書,地質学雑誌,112,補講,170pp」がオリジナルです。
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