日時:2008年9月22日(月)午前9時〜12時
会場:一般教育1号館302
林 愛明(静岡大)
2008年5月12日チベット高原と四川盆地の境界部でMw7.9の大地震が発生し,中国の中部から西部にかけた 広い地域に大規模な被害をもたらした.地震直後の現地調査により,四川大地震は3本の既存の活断層からなる龍門山断層帯の東側の2本が動いて起きたことが明らかされた.この2本の地表地震断 層の総延長は285キロメートルに達しています.龍門山断層帯沿いに,総延長285kmの地表地震断層が出現し,わずかの横ずれ変位を伴い,最大5m以 上の上下方向の変位が生じました.四川大地震に伴って出現した地表地震断層の長さと断層変位量は,ともに内陸逆断層タイプ地震として最大規模のものである.また,地表地震断層沿いに,過去にも大地震を起こしたことを示す「活断層地形」が現地調査でも確認された.本講演では,これまでの現地調査結果をご報告する.
佐藤比呂志・加藤直子(東京大)・阿部 進 (地科研)・越谷 信(岩手大)・石山達也・今泉俊文
(東北大)
震源域北部での反射法地震探査や既存の地学的資料を元に,震源域の地質構造と震源断層との関連について説明する.また,震源域の中央部での未解決の諸問題と,実施している反射法地震探査の概要について紹介する.
越谷 信(岩手大)・石山達也・今泉俊文・大槻憲 四郎・中村教博・丸島直史(東北大)・杉戸信
彦 (名大)・堤 浩之(京大)・廣内大助(信州大)・佐藤比呂志(東大)
2008年岩手・宮城内陸地震(Mj 7.2)の震源域である岩手県一関市周辺地域において,地震断層による可能性のある地表変位が主として段丘面や沖積低地面や道路などの人工構造物に認められた.これらの地表変状の形状や分布について報告する.
大槻憲四郎・鹿島雄介・南須原美恵(東北大)
地下水変動観測網の一部である震央距離35kmと60kmの深層ボアホールにおいて,顕著なcoseismicな地下水位と水温の変動が観測された.しかし,明瞭なpreseismicな変動は観測されなかった.他方,震源域にある温泉群では,3地域にのみ地震の前に水温・湯の色・湧水量に明瞭な変化が認められた.このことは,preseismicな地殻変形が著しく局所化して,これらの“ツボ”に着目した地震予知法の開発を進めるべきであることを示唆する.
大場司・山元正継・近藤梓・鈴木真悟・林信太郎(秋田大)
秋田大学土砂災害調査班は,地震直後から秋田県,宮城県,岩手県内の土砂災害の調査を行ってきた.本報告では,調査を行った土砂災害の状況を報告するとともに,その地質・地形学的背景について述べる.さらに,土砂災害が多く発生した地域の地質・地形の特徴および,その地域地質の従来研究の諸問題についても考察する.
金折裕司(山口大)・○福塚康三郎(八千代エンジニヤリング)・佐藤忠信(神戸学院大)・中井
卓巳(アーステック東洋)・飯島康夫(八千代エンジニヤリング)・福塚健次郎(アーステック
東洋)
主な地盤災害(特に斜面災害)の発生箇所において,新旧の地形情報を用いて地盤災害と地形との関連性を検討した結果,いずれも過去に斜面崩壊ないし地すべりが発生したことを示す地形であることが明らかとなった.地盤災害のリスク評価に際して 新旧の地形情報を関連付けることの重要性を報告する.
川辺孝幸(山形大)
2008年岩手・宮城内陸地震で発生した被害について,調査をおこなった結果過去に発生した古い地すべりが今回の地震の強震動によって再活動したものであることが明らかになった宮城県栗原市荒砥沢ダム上流域の地すべりを中心に,秋田県や山形県での被害についても報告する.
天野一男・藤縄明彦・本田尚正・松原典孝(茨城大)
荒砥沢ダム上流部および冷沢流域で発生した大規模地滑りについて,現地調査の結果をもとに地滑りのメカニズムを地質学的観点から考察する.
一般発表
「応用地質学一般」のサブセッションとして7編(口頭4編,ポスター発表3編)
口頭発表:9月22日(月)午後2時30分〜3時30分
ポスター発表:9月22日(月)午後1時〜2時