日本地質学会は,熊本市中央区の熊本大学黒髪キャンパスにおいて,第132年学術大会(2025年熊本大会)を9月14日(日)から16日(火)に開催します.また,巡検(見学旅行)を12日(金)〜13日(土)と17日(水)〜18日(木)に催行します.熊本大学での開催は1992年以来33年ぶりになります.33年前に開催された際には,私は一講演者として参加しましたが,当時の熊本大学の地学関係の皆さんが精力的に動き,とても活気溢れる大会であったことを記憶しております.その後,熊本大学は2016年の熊本地震,2020年からのコロナ禍を経験しましたが,ようやくかつてのように賑やかで活発な学究活動を展開できるようになりました.
現在,熊本大学の地質学会関係者は少ないため,今回の大会ではなるべく無理のない実施内容にするようにしております.そのため,トピックセッションの充実など,広く会員の皆様にご協力をお願いする次第です.LOCとしましてはできる限りのことを行い,参加者の皆様が満足のいく充実した大会にしたいと考えております.また巡検は,LOC以外の方々にもご協力いただき9コースを準備しております.層序,化石,変成岩,深成岩,火山,震災遺構,博物館,ジオパークといったいろいろ魅力的な巡検コースを提供できるものと思います.また熊本城近くの熊本城ホールでは,例年通りに地質情報展が開催されます.同ホールでは,近年,熊本をはじめ周辺地域で新たに発見されている恐竜に焦点をあて,子供から大人まで楽しめる市民講演会も企画しております.
宿泊施設はある程度の数はありますが,学術大会は連休にかかりますし,海外からの旅行者の方々や半導体関連企業の熊本進出に伴う出張者の増加などで,宿が取りにくい場合もございます.ある程度早めに宿の予約をされると良いかと思います.
会場となる熊本大学黒髪キャンパスは,熊本市街中心部の通町筋から北東約2.5kmに位置しており,徒歩では35分程度で着きます.黒髪キャンパスは旧第五高等中学校(北キャンパス)と旧熊本高等工業学校(南キャンパス)の敷地からなり,主な会場となる北キャンパスには,緑豊かな構内に国指定重要文化財「五高記念館」・「化学実験場」やかつて教鞭を執った夏目漱石とラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の碑や銅像がございます.会場は正門(国指定重要文化財「赤門」)を入って,これらの歴史的文化財の中を300mほど入ったところになります.また表彰式会場である工学部百周年記念館のある南キャンパスにも,レンガ造りの国指定重要文化財「工学部研究資料館(機械実験工場)」や登録有形文化財「本部(旧熊本高等工業学校本館)」があります.さらに両キャンパスは「黒髪町遺跡」として知られ,縄文時代早期から奈良・平安時代の土器などが出土しています.会期中の合間を縫って構内を散策されるのもお勧めです.
熊本大学黒髪キャンパスへは,熊本駅(25分,運賃350円),桜町バスターミナル(15分,運賃250円)ならびに通町筋(10分,運賃220円)から,熊本大学前に停まる路線バスが1時間に4〜8便程度運行されています.宿泊施設は桜町バスターミナルから通町筋までの中心商業地区に多数あり,熊本駅や水前寺公園周辺にもございます.
熊本城を中心に発展を遂げてきた熊本は,歴史と現代が融合した街になります.また東には阿蘇の山々が,西には有明海から天草諸島が広がり,豊かな自然と海の幸・山の幸に恵まれています.大会と共に,熊本を堪能していただければと思います.大会実行委員会一同,多くの皆様のご参加を心からお待ちしております.