2007年10月25日に韓国地質学会学術大会で締結された日韓地質学会学術交流協定調印を記念し,日本地質学会第115年学術大会(秋田2008)に招待された韓国地質学会会長の Lee, Hyun Koo (李 鉉具) 忠南大学教授の講演が9月20日の各賞授与式で行われた.石渡 明 国際交流担当理事の経緯説明の後,高木秀雄日韓交流小委員会委員長からLee会長の紹介がなされた.Lee会長は最初に英語で挨拶をされ,その後韓国地質学会の歴史や活動について画像を用いながら日本語で紹介された(写真1).ちなみにLee 会長は,延世大学卒業後,3年間の兵役を経て早稲田大学理工学研究科に進学され,故今井直也教授のもとで鉱床学分野の学位を取得されている.また,日本地質学会新潟大会では,韓国巡検の案内者としても活躍いただいた.Lee会長の話で印象深かったのは,韓国地質学会と日本地質学会の決定的な違いでもあるその財政基盤である.すでに法人格をもつ韓国地質学会では会費や学会登録費による収入はわずかに全体の3割程度であるとのこと.また,地質学の底上げのために様々なアウトリーチ活動や学生への賞の授与も進んで実施されている.公益法人を目指している日本地質学会にとっても,参考になる話であった.講演の後,宮下純夫会長からの挨拶があり,日韓交流協定調印の記念の楯が,Lee会長に授与された(写真2).
写真1 | 写真2 |
今回の年会ではIODP関係の日韓シンポジウムが日本地球掘削科学コンソーシアム (J-DESC) で企画され,韓国のIODP Project Managerで日韓地質学会学術交流協定調印でも活躍されたLee, Young Joo 博士(KIGAM)さらには日本地質学会Island Arc 賞を受賞されて来日したOh, Chang Whan 忠北大学教授や,日本地質学会会員で単独でポスター発表に来られたChang, Tae Woo 慶北大学教授も含め,日韓交流の絶好の場となった.そこで,Lee, Young Joo 博士の学会直前の発案で,今後の日韓地質学会の交流について21日夕方に大会本部で1時間ほどの会合がもたれた (写真3).
参加者は 写真前方左から石渡 明 氏, Lee, Hyun Koo 会長,宮下純夫 会長,Chang, Tae Woo氏,高木,後方左から江川浩輔氏,Lee Youn Soo氏 (KIGAM),Lee, Young Joo氏,Oh, Chang Whan氏,久田健一郎氏である.撮影者は今回の日韓シンポの取りまとめ役である琉球大の松本 剛氏.
以下,Lee, Young Joo 氏, 石渡理事と高木でまとめた会合のメモを記す.
Collaboration items and conditions between GSK & JGS
1. Exchange invitation of Presidents of two societies →already started
2. IODP symposiums (JKOD, KCC) →already started
3. Exchange fieldtrip program (for experts & student) →on request
4. Exchange of academic information: 1-2 times/yr after annual session
5. Make (English) sessions open to each society: possibility in the
2009 meetings:
・GSK annual meeting in Cheju Island in late October
・JGS annual meeting at Okayama Science University in early September
6. Specialized group (SG) collaborations
1) Structural geology SG: started from 1998 to 2001, →to be continued
2) Seismological SG: another more specialized society exists in Japan
3) Nuclear related geological SG: some government related institutions are in
Japan, but collaboration is possible
: Geological disposal, radioactive waste: →JAEA related in Japan
: Active (Quaternary) faults →another society exists, but possible
4) Petroleum SG: another society exists, but possible →to be discussed further
なお,2009年10月下旬に済州島で開催される韓国地質学会年会では,英語のセッションがと巡検が企画される予定であり,日本海の形成過程に関する日韓合同シンポジウムを,IODP関係者だけではなく,テクトニクス,堆積学,岩石学などの研究者も含めて行ってはどうか,と高木から申し入れた.
参考)韓国の地方都市,郡部の地名については,たとえば次のサイトがある.
http://www.korea-go.to/name/cityindex.html 韓国の主な国立大学は9つの道とソウル特別市におかれており,いくつかの大学の名称はこれらの地名が省略されて使用されている.たとえばLee, Hyun Koo会長の所属する忠南大学は,忠清南道の道都で研究学園都市でもある大田広域市にあり,Lee, Young Joo氏の所属する韓国地質資源研究院(KIGAM)からも近い.Chang Tae Woo氏の所属する慶北大学は慶尚北道の道都,大邱広域市に存在する.