ロンドン地質学会会長  来日


 ロンドン地質学会会長のリチャード・フォーティ氏がダーウィン展開催を記念して、来日された。忙しい日程の中、3月19日、木村学地質学会会長と小一時間ほど、親しく懇談できた。

 ダーウィン展は、2008年が日英外交関係樹立150周年にあたり、駐日英国大使館とブリティッシュ・カウンシルの展開する「UK-Japan 2008」の一環である。もちろん、2009年のダーウィン生誕200周年、『種の起原』刊行150周年記念の先駆けでもある。ダーウィン展はアメリカを出発して、世界各地を移動して2009年にイギリスに到着することになっている。リチャード・フォーティ氏はロンドン自然史博物館の三葉虫研究者であるが、その著書『生命40億年全史』や『三葉虫の謎』は世界的なベストセラーであり、1907年に世界で最初に創立されたロンドン地質学会200周年の記念事業を代表した会長でもある。

 懇談は東京大学大学院理学系地球惑星学教室で行われた(写真上)。ロンドン地質学会は大学と石油会社等の研究者からなる学会で、長い歴史がプラスにもマイナスにもなっているとまず紹介された。ロンドン中心街に土地使用料無料で学会を構えてきたが、最近有料になったこと、バースにある出版部は世界中に出版物を発信していることなどの特殊性があることも強調された。ロンドン地質学会のかかえる現在の問題として、石油会社から若い地質学者を多く要請されているが、その野外での調査の訓練があまりうまくいっていないこと、放射性廃棄物の地下処理の問題、アーカイブスの充実等、日本の地質学会がかかえている問題と共通な問題を抱えていることを確認した。ロンドン地質学会はフランス、アメリカの地質学会と協同してこれらの問題にあたっていると、述べられたので、問題は世界共通であり、日英の地質学会の協同もさらに進めて行くべきであることを確認して懇談は終わった。

 なお、佃副会長は、3月18日、国立科学博物館(上野)レストランで開催されたサイエンスカフェに出席し(写真中)、サイエンスインタプリター養成の新しい試み(写真下)を、フォーティ氏とともに体験した。写真3では、三葉虫の脱皮の様子をフォーティ氏は背広を脱ぎながら一生懸命説明している。     

(理事 矢島道子)