[Pictorial Articles]
福島県塙町の棚倉破砕帯西縁断層に認められる中新世の右横ずれ運動
淡路動太,杉本良太,新井宏嘉,小林健太,高木秀雄
特集号:Thematic section: Paleoclimates in Asia during the Cretaceous: Their variations, causes, and biotic and environmental responses (IGCP Project 507) Part 1
Guest Editors : Yong Il Lee and Helmut Weissert
白亜紀におけるアジア古気候:多様性,原因および生物と環境の反応(IGCP project 507),その1
序文
Yong Il Lee and Helmut Weissert
IGCP507は,2006年から5カ年計画で白亜紀アジアの古気候とその変動要因を知るための情報収集を目的とし,様々な時間スケールで気候変化と相互に反応する物理的・生命科学的システムの理解を到達点と考えている.具体的には,南アジアおよび東アジアの詳細な調査を行い,陸域および海域の堆積物について様々なプロキシーデータの解析を通じて古気候学的な情報を抽出してきた.そして古気候の空間的な多様性と経時的変化について明らかにし,さらに構造運動,相対的海水準の変動,火成活動および軌道要素などを考慮した上で,どのような強制力要因が古気候を支配するのか,の解釈を目指している. 本号と次号の特集では,それぞれ韓国ソウルとモンゴル国ウランバートルで行われた第二回,第三回国際シンポジウムの科学成果を集約した.本号には層序,堆積,堆積岩地球化学,古環境および堆積年代と火成活動に関連する砕屑性ジルコンの放射年代に関する6本の論文が掲載されている.
北海道北部中川地域の蝦夷層群函淵層(上部白亜系カンパニアン階)に見られる浅海成第3−4オーダー堆積サイクル
安藤寿男,田村芳隆,高松大祐
北海道中軸部に分布する蝦夷層群は,白亜系(アプチアン期〜マストリヒシアン期)と一部暁新統を含む古アジア大陸東縁の前弧盆堆積物である.北海道北部中川地域では蝦夷層群最上部の函淵層の西縁相がよく露出しており,24の堆積相と6の堆積組相が認定でき,主にストーム卓越型の外浜〜陸棚砂質堆積物からなり,一部はエスチュアリー,河川で堆積した.堆積相や堆積組相の層厚・累重様式・側方変化から6の堆積シーケンスと3つのシーケンスセットが認められる.函淵層は大型化石(イノセラムスやアンモナイト)層序からカンパニアン階と位置付けられ,第3〜4オーダーの相対海水準変動による陸域システムの東方への前進と西方への後退を繰り返しながら形成された.
Key Words : Campanian,Cretaceous, depositional sequence, Hokkaido, sequence stratigraphy, shallow-marine sediments, Yezo forearc basin, Yezo Group
古塩分指標:ジュラ−白亜系手取層群中の堆積性硫黄と有機炭素
長谷川卓,日比野剛,堀 峻滋
全硫黄(TS)と全有機炭素(TOC)の含有量比を用いて,ジュラ−白亜系手取層群の古環境を復元した.一般にTOC/TS比は現在の海や汽水の堆積物を,淡水性堆積物から区別するために用いられる.まず示相化石により海,汽水または淡水の古環境が推定されている手取層群試料について分析した結果,海成ないし汽水成堆積物と淡水成堆積物は明瞭に区別できた.この手法を古環境未知の手取層群に応用した結果,福井県大野市和泉の石徹白亜層群上部層の中部に,一時的な海水ないし汽水環境の発達を示す地層が見つかった.富山県立山町の手取層群最上部に同様な環境の発達が示唆されたが,同層群堆積末期の古地理を考える上で重要である.この手法は東アジアのジュラ−白亜系の広域対比を行う上で一定の役割を果たすかもしれない.
Key Words : brackish, Cretaceous, freshwater, organic carbon, paleoenvironment, pyrite, sulfur, Tetori Group
白亜紀中期にタイは砂漠だった:タイ北東部コラート盆地に露出する風成堆積物(Phu Thok層)から見る亜熱帯高圧帯の低緯度シフト
長谷川精,Suvapak Imsamut,Punya Charusiri,多田隆治,堀内 悠,久田健一郎
現在のアジア地域の気候および大気循環システムは,チベット高原の存在に強く影響を受けている.チベット高原隆起後の現在の大気循環システムとは異なり,隆起前における大気循環システムがどのようであったかを示す直接的な地質証拠は示されていなかった.一般に,砂漠地帯の分布は亜熱帯高圧帯の分布を反映し,砂漠(風成)堆積物中には卓越地表風系の古風向が記録されるため,過去の亜熱帯高圧帯の軸部の位置が復元可能である.タイ北東部コラート盆地北部には,白亜紀の風成堆積物であるPhu Thok層が広く露出している.本研究ではPhu Thok層に対して堆積学的検討を行い,白亜紀を通したアジア低緯度域における亜熱帯高圧帯の緯度分布変動の復元を試みた.Phu Thok層に記録される古風向パターンの時空変動を解析した結果,白亜紀においてコラート盆地は主に北東貿易風帯に属していたこと,更に,同層が堆積した初期には同盆地よりも北に位置していた亜熱帯高圧帯の軸部が,同層主部が堆積した時期には同盆地最北部にまで南下し,その後同層が堆積末期には再び北上した可能性が示された.またPhu Thok層の古地磁気極性変動パターンは,同層下部の2つの正-逆磁極期と同層上部の長い正磁極期からなることを示し,標準古地磁気層序(GTS2004)のChron M1n~C34nと対比される可能性が示唆された.この結果はPhu Thok層の堆積年代が,中国南部の四川盆地に見られる砂漠堆積物(Jiaguan層)の堆積年代と同様に,白亜紀中期(約126 Maから約99~93 Ma)である事を示唆する.これらの結果と古風向パターンから,白亜紀中期にはアジア大陸低緯度域において砂漠環境が拡がっていたこと,そして亜熱帯高圧帯の軸部が現在よりも低緯度側にシフトしていたことが示唆された.
Key Words : Cretaceous, desert, magnetostratigraphy, paleo-wind, subtropical high-pressure belt, Thailand
モンゴル南部Tugrikiin Shireeにおける上部白亜系Djadokhta層から産出する生痕化石Entradichnus meniscusの定向配列およびその古生態学的意義
清家弘治,長谷川精,Niiden Ichinnorov
モンゴル南部Tugrikiin Shireeに分布する上部白亜系Djadokhta層砂丘堆積物からは,恐竜類の体化石だけでなく,無脊椎動物によって形成された生痕化石が豊富に産出する.本論文ではDjadokhta層から産出する生痕化石 Entradichnus meniscusを記載し,その古生態学的意義を報告する.E. meniscusとは細長く,分岐や裏打ちがなく,メニスカス構造を有する円筒状の生痕化石である.この生痕化石は砂丘前置面の層理に沿って産出し,直線的もしくは緩やかに蛇行した形態を示す.この生痕化石の伸長方向を測定したところ,ほぼすべてのE. meniscusは砂丘前置面の最大傾斜方向に定向配列していることが判明した.このことは,E. meniscus形成者が砂丘前置面の下をその最大傾斜方向(下向き)に掘り進んでいたことを示している.なお,同様な産状は北米のジュラ系砂漠堆積物におけるE. meniscusにおいても知られている.このことから,このような定向配列は,乾燥した砂丘環境におけるE. meniscusに普遍的な特徴である可能性がある.また,この下向きにのみ掘り進む行動は,乾燥環境での砂丘地形に対する応答様式であると解釈できる.
Key Words : desert environment, ichnology, paleoecology, trace fossil
韓国慶尚堆積盆南東部の白亜系非海成堆積物に見られる軟質堆積物の変形構造:その産状と起源
Hee-Cheol Kang, In Sung Paik, Ho Il Lee, Jung Eun Lee and Jong-Hwa Chun
韓半島南東部の海岸線地域に沿って露出する慶尚堆積盆の白亜系 Seongpori 層と Dadaepo 層には,堆積時もしくは直後に生じた軟質堆積物の多様な変形構造が 0.5〜2 km にわたって発達している.これらのほとんどは湖成層と互層する河川平野相に含まれる.本研究では,異なる種類の軟質堆積物変形構造の特性を,その構造を有する堆積物の堆積学的特徴に基づいて,通常の堆積構造,変形の時期と機構,そして誘因機構とを比較しながら解釈する.軟質堆積物の変形構造は以下の4群に区分できる:(i) 荷重構造(荷重痕,球状−柱状構造),(ii) 貫入構造(皿状−柱状構造,砕屑性岩脈・岩床),(iii) 延性攪乱構造(渦巻き褶曲,スランプ構造),(iv) 脆性変形構造(堆積同時性断層,転位角礫).これらの構造をもたらす最も可能性の高い誘因機構は地震衝撃である.この解釈は次の野外観察事実に基づいている:(i) 白亜紀に何度かにわたって再活動した活発な断層帯にある研究地域の構造的位置づけ;(ii) 変形構造が単一の層準に限られること; (iii)変形層準に多様な軟質変形構造が広域に出現し側方に連続すること;(iv) 重力性地滑りもしくはスランプを示す堆積斜面がないこと;(v) 実験的に形成された構造との類似性.したがって,研究地域の軟質堆積物変形構造は,予測マグニチュード5以上の地震に伴う衝撃によって生じたと解釈される.そして,前期〜後期白亜紀の2層の発達や進化の間の,活発なテクトニクス・堆積過程の断続的な記録を表している.
Key Words : active tectonic processes, fluvial plain facies, Gyeongsang Basin, seismic shocks, seismites, soft-sediment deformation structures
韓国南西部,白亜系Sindong層群の砕屑性ジルコン年代学:堆積年代と前期白亜紀火成活動に対する解釈
Yong Il Lee, Taejin Choi, Hyoun Soo Lim, 折橋裕二
Gyeongsang(慶尚)盆地は韓国南東部に位置する白亜系最大の非海成堆積盆である.Sindong(新洞)層群は同堆積盆の最下部を構成し,下位からNakdong(洛東)層,Hasandong(霞山洞)層およびJinju(晋州)層に区分される.Sindong層群の堆積年代はValanginianからAlbianの範囲とされてきた.本研究ではレーザーアブレーションICP質量分析装置を用いて,Sindong層群から抽出した砕屑性ジルコンのU-Pb年代測定を新たに試みた.Sindong層群は白亜系マグマ起源の砕屑性ジルコン(138-106Ma)を顕著な量含み,この年代幅はSindong層群の堆積前,もしくは堆積時に起こった火成活動の期間を示している.前述した3層それぞれの最も若い砕屑性ジルコンの年代は層序に相関して若くなり,Nakdong層では118Maを,Hasandong層では109Maを,Jinju層では106Maを示した.したがって,Sindong層群の堆積年代はAptian後期からAlbian後期の範囲であることを示唆し,この結果は以前考えられていた堆積年代よりもかなり若いことになる.また,Sindong層群に砕屑性ジルコンを供給した下部白亜系の火成活動場は時間の経過とともに位置を変え,初期ステージの間では給源が中部から北部で起こり,中期〜後期ステージの間では中部から南部に移行したことが明らかとなった.本研究は,東アジア大陸縁の前期白亜紀火成活動の期間が,これまで知られているものよりもさらに小さかった(2000万年程度)ことを示唆する最初の報告である.
Key Words : Cretaceous, depositional age, Gyeongsang Basin, magmatism, U–Pb zircon age
[Review Articles]
1999年チチ地震の断層運動に伴う伝播特性のレビューと新解釈
Kwangmin Jin and Young-Seog Kim
1999年,台湾中西部においてチチ地震(MW=7.6)が発生した.Chelungpu断層を再活性化し,その結果として延長100 kmの地表地震断層を引き起こした.断層の走向は北-南から北北東-南南西であるが,断層の南部分の北端は時計方向に回転して東-西方向を向き,より短い北北西方向の断層にジャンプする.最大垂直変位量は, Shihkang-Shangchi断層帯のShihkang地域において認められ,8-10 mである.Shihkang-Shangchi断層帯は,断層と破断が最も集中する二つの断層セグメント間を結ぶ破砕帯として,複雑な断層パターンを示す.チチ地震断層の最近の幾何学的,運動学的,地球物理学的研究に基づいた我々の新しい解釈では,Shihkang-Shangchi断層帯は単純に終端をもつ断層帯ではなく,おそらく’over step zone’ないしは’transfer zone’であることを示唆する.地表地震断層沿いのすべり解析は,断層が3つの断層セグメントからなり,すべり量が,すべり方向と断層の走向がなす交差角に部分的に依存することを示している.われわれの数値モデルは,クーロン応力変化が主に地表地震断層の終端部や屈曲部に集中することを,また,スリップパターンは,断層が北東に伝播していることを示している.これらのことは,断層が及んでいないShangchiセグメントに沿った将来の地震活動の高い可能性を示唆している.したがって,今後の地震災害研究においては,Shangchiセグメントの地震発生の可能性の評価,地震活動の間隔,地震災害を減じる方策に焦点を当てるべきである.
Key Words : Chelungpu Fault, Chi-Chi earthquake, fault damage zone, linkage zone, Shangchi segment, Shihkang–Shangchi Fault Zone, surface ruptures.
[Research Articles]
イラン,マクラン火成岩類の地球化学的データのテクトニックな意味
Jamshid Shahabpour
現在のオマーン湾がその名残であるネオテチス海が閉じたことによって形成されたマクランは,地球上で最も大規模な付加体のひとつである.マクラン島弧系の構造的発達を,スラブの傾斜配列の空間的な多様性をもつ北傾斜の沈み込み帯を考慮して明らかにした.ジュラ紀中期から暁新世初期の急角度のスラブの傾斜配列により,中生代のマグマ弧と弧内の展張場においてできた盆地Proto-Jaz Murian凹地が発達した.これらは外弧のオフィオライトメランジュの発達とZagros orogenic beltに属するSanandaj-Sirjan zoneのMakran地域への延長であるBajgan-Durkan continental sliverの発達を伴った.暁新世後期から鮮新世初期にかけて中程度から緩い角度のスラブ傾斜配列になり,その時生じたProto-Jaz Murian 展張盆からJaz Murian圧縮盆への転換は,South Jaz Murian断層に沿ったJaz Murian凹地の南部の上昇とJaz Murian 圧縮盆背後の古第三紀〜新第三紀マグマ弧の成長を伴った.第四紀の浅いスラブの傾斜は,Yazd-Tabas-Lut 微小大陸塊の南部に広くわたって,内陸部に第三のマグマ弧の形成を引き起こした.Makran 島弧系は,Zagros 島弧系が過去に経験したように,将来,同様のテクトニックイベントを経験する可能性がある.しかしながら,現在のオマーン湾と同様の将来の残存した盆地は,東方で存続し続けるであろう.
Key Words : island-arc, Makran, metallogeny, tectonic inversion
タヒチ島沖IODP Hole 310-M0005Dで掘削された更新世炭酸塩に記録された海水準変動
井龍康文,高橋靖成, 藤田和彦,Gilbert Camoin,Guy Cabioch,松田博貴,佐藤時幸,杉原 薫,Jody M. Websterand,Hildegard Westphal
統合国際深海掘削計画(IODP)第310次航海で採取されたコア試料の検討により,タヒチ島周辺の化石礁は後氷期シーケンスと更新世シーケンスよりなることが明らかとなった.更新世シーケンスは主にサンゴ礁堆積物よりなり,火山砕屑物を伴う.タヒチ島南岸のマラア沖で掘削されたHole 310-M0005Dでは,更新世シーケンスが層厚70 m(海底面下33.22〜101.93 m;現海面下92.85〜161.56 m)にも渡って掘削されたため,同シーケンスが最もよく観察できる.同孔の更新世シーケンスは,岩相変化,堆積学的特徴,古生物学的特徴(含有化石)により11の堆積ユニット(上位から下位に向かって,サブユニット1〜11)に区分される.無節サンゴモ,造礁サンゴ,大型有孔虫から古水深変化を復元した結果,更新世シーケンスの堆積時に2回の海水準上昇があったことが明らかとなった.これらのうち,2回目の海水準上昇には,一時的な海水準の低下が介在したことが示唆される.2回目の海水準上昇はターミネーションII(TII,酸素同位体ステージ6〜5eに対応する融氷イベント)に対比される可能性が高いため,想定される一時的な海水準低下はTII時にあったとされる‘sealevel reversal’に相当すると思われる.南太平洋の熱帯域では,更新世サンゴ礁に関するデータは限られているため,本研究は,更新世海水準変動,サンゴ礁生態系の進化,第四紀気候変動に対するサンゴ礁の応答を明らかにするために重要な情報を提供する.
Key Words : DP Hunter, Hole M0005D, IODP Expedition 310 ‘Tahiti Sea Level’, Pleistocene, sealevel change, Tahiti
中国東部・蘇魯地域のTaohang産・超高圧エクロジャイトにおける冷却を伴う上昇とそのテクトニクスにおける意義
中村大輔・平島崇男
中国東部・蘇魯地域における藍晶石エクロジャイト中に含まれるザクロ石のコアの組成とオンファス輝石コアの組成に温度圧力計を適用した結果,約700℃, 3.4GPaの温度圧力条件が得られた.一方,ザクロ石のリムとそれに隣接するオンファス輝石のリムの組成に対して温度計を適用した所,1.5GPaで566±54℃の温度が得られ,本試料が減圧時に明瞭な冷却を伴っていることが解った.これまでの推定では,蘇魯地域の超高圧変成岩は等温減圧を示しており,大きな岩体の中心部に位置していた為,周囲からの熱の影響を受けなかったと解釈されている.一方,今回得られた履歴は,本研究地域の岩石が超高圧変成岩体の縁に位置しており,周囲からの冷却を受けた結果と考えられる.
Key Words : eclogite, garnet-clinopyroxene thermometer, partial equilibrium, Sulu region, ultrahigh-pressure
ゴジラメガムリオンのターミネーション部における下部地殻の角閃岩化作用
針金由美子,道林克禎,小原泰彦
フィリピン海パレスベラ海盆のゴジラメガムリオンにおいてKR03-1-D10地点から採取された変形したハンレイ岩と角閃岩を用いて,古拡大軸近傍の下部地殻に生じた著しい角閃岩作用を明らかにした.この地点はデタッチメント断層の終了点であるターミネーション部である.ハンレイ岩は斜長石,単斜輝石と角閃石のポーフィロクラストと細粒基質部からなり,非対称組織の発達したマイロナイトで特徴づけられる.斜長石はNaに富む組成を示し,角閃石は単斜輝石のMg#とほぼ同じ組成を示す.角閃岩は斜長石と角閃石のポーフィロクラストと細粒基質部からなるポーフィロクラスト状組織で特徴づけられ,斜長石はハンレイ岩よりも低い組成を示すが,角閃石はハンレイ岩と同じ組成を示す.以上の結果から,角閃岩はハンレイ岩に生じた一連の熱水活動を伴う変成反応により形成されたことが示唆される.ハンレイ岩と角閃岩に地質温度計を適用させて温度を推定した結果は,高温(650-840℃)であった.従ってターミネーション部において,ゴジラメガムリオンの発達に関連した角閃岩化作用が古拡大軸近傍の下部地殻で生じた可能性が示唆される.
Key Words : amphibolite, amphibolitization, gabbroic rock, Godzilla Megamullion, Parece Vela Basin, retrograde metamorphism.