一般社団法人日本地質学会行動規範

 

2011年9月8日 一般社団法人日本地質学会理事会 制定

2021年4月3日 一般社団法人日本地質学会理事会 改訂

 

本会倫理綱領を踏まえて,学会員の基本的な姿勢と責任について,学会員及び社会に明示するため,一定の規範が必要であるとの認識のもとに,必要最小限の行動規範を以下に示す.

Ⅰ.会員としての基本姿勢
(会員の責務)
1.会員は,自らが生み出す地質学及び関連科学(以下,「地質学等」という.)の専門知識,技術,及びその利活用に対し責任を有する.また,地質学等の研究,教育,調査,普及並びに啓蒙等の活動(以下,「活動」という.)を通じて,自らの専門知識,技術及び経験を活かして,社会の発展と人類の福祉及び社会の安心・安全に貢献する責任を有する.
(会員の姿勢)
2.会員は,常に謙虚かつ誠実に判断及び行動し,自らの専門知識,能力及び技術の研鑽に努め,その結果,得られた地質学等の成果が与える社会的影響を自覚し,客観的事実を明らかにするよう努力すると同時に,研究成果と技術上の知見を公表するなどして,広く社会に還元するよう努める.
(他者との関係)
3.会員は,先人・他者の成果を適切に批判あるいは正当に評価すると共に,自らの研究に対する批判に謙虚に耳を傾け,誠実な態度で意見を交え,他者と互いの能力の向上に努力する.
(他分野との連携)
4.会員は,自らの専門領域のみならず,他分野の学術団体や社会の様々なコミュニティ,さらには国際的な交流を進めることを通して学術の向上を図る.
(次世代への責務)
5.会員は,積極的に次世代に地質学等における学術と技術の継承と発展及び人材育成に努めると共に,活動の成果物,特に重要な露頭や標本等の科学的遺産の保全に努める.また,これらを達成するために社会の理解と協力が得られるよう努める.

Ⅱ.公正な会員活動
(活動の姿勢)
6.会員は,活動の立案,計画,申請,実施及び報告等の過程において,公正であることを重視し,誠実に行動する.
(透明性)
7.会員は,研究及び調査データの記録保存や厳正な取扱いを徹底し,ねつ造,改ざん及び盗用等の不正行為をなさず,また加担しない.共同して活動を実施する者あるいは協力者の不正行為についても,その防止に努めなければならない.
(正当性の担保)
8.会員は,自らの成果と技術上の知見の正確さ及び正当性が,科学的に広く吟味及び検証されるよう努力する.
(説明責任)
9.会員は,自らの活動に関して説明を求められた場合には,その目的,方法及び成果等について明快に説明する責任がある.特に非専門家に対しては,相手の立場に立ち,分かりやすく説明する責任を有する.
(法令の遵守)
10.会員は,活動の実施及び経費の使用等にあたっては,法令や関係規則を遵守する.
(差別の排除)
11.会員は,活動において人種,ジェンダー,年齢,地位,所属,思想,信条及び宗教等によって個人を差別せず,個人の自由と人格を尊重する.
(他者への配慮)
12.会員は,活動の実施にあたって,協力者及び参加者の人格と人権を尊重し,福利に配慮する.
(環境への配慮)
13.会員は,地球環境の保全と改善に努めると共に,調査及び研究の実施にあたり,環境への影響を最小限にするよう配慮する.

Ⅲ.社会との関わり
(社会への情報提供)
14.会員は,専門知識を活かして地質災害,地球環境及び地質資源等の地質学等の関係する情報の提供,または科学的な助言を行う場合には,その影響の重大さと責任を自覚し,公益性及び中立性の観点から,客観的かつ科学的な根拠に基づき,事実を社会に周知する.
(便宜供与の排除)
15.会員は,他機関や組織と連携して事業を実施する際には,誠実に行動し,不適切な便宜供与を受けてはならない.
(利益相反)
16.会員は,自らの研究,調査,審査,評価,判断及び科学的助言等において,自らを含む特定の個人,権威,組織,あるいは異なる組織間の利益の衝突に十分に注意を払い,公共性に配慮しつつ適切に対応する.

 

以上