熊井久雄 会員(1939年12月14日生まれ,76歳)
熊井久雄会員は1962年3月東京教育大学理学部地学科地質学鉱物学専攻を卒業,同年4月に農林省農地局に任官し,熊本農地事務局(現九州農政局)に農林技官を皮切りに東海農政局,1971年3月まで関東農政局に勤務し同年4月に信州大学理学部地質学科に助手として出向された.信州大学では1980年5月講師,1982年1月助教授に昇任,1988年10月に大阪市立大学理学部地学科(後に大学院理学研究科生物地学専攻に変更)教授に転任,2003年3月に同大学院を定年退職,名誉教授に任ぜられた. 日本地質学会においては,各種役員として活躍し1990年4月〜2000年3月まで評議員,1990年4月〜1994年3月,2000年4月〜2002年3月まで関西支部長(後に近畿支部長)を歴任した.第四紀専門部会を立ち上げ発足時の部会長を引き受け,地質年代に関する専門委員会にも参画し,共立出版2001年刊の日本地質学会訳編「国際層序ガイド」出版に参画し2章を翻訳執筆した.NPO日本地質汚染審査機構の理事として,地質汚染実態解析や地質条件解析などの経験を生かして若手の環境教育にも貢献している. 国際貢献では2000年10月から国際第四紀連合(INQUA)の層序委員会委員を担当し,同時にアジア・太平洋地域小委員会の委員長に任じられた.後者は1997年に日本で開催された国際会議で名称をアジア第四紀連合に変更され,4年おきに開催される国のリーダーを会長にすることになっている.2007年からは国際地質科学連合(IUGS)第四紀分科会更新世中部境界線専門調査委員会の委員にもなっている. 熊井久雄会員は地質学の普及・教育に関する多くの仕事を分担しているが,主要なものとして国際協力機構(JICA)の海外派遣専門家として,インドネシアにて1974年〜1977年,1987年〜1991年まで,インドネシア地質調査所所員に対して毎年3ヶ月間の地質調査法の指導を行なった.これに関連して,パジャジャラン大学から多くの留学生を大阪市大に招き現地調査を含む地質学を教授し多くの博士号を授与した. このような長年にわたる地質学の研究,普及及び教育への顕著な貢献に鑑み,熊井久雄会員を日本地質学会名誉会員に推薦する.