各コースの詳細と魅力・見どころの紹介
★注意点★
*取り消し料は,申込締め切り後〜出発3日前までは50%,2日前以降は全額となります.
*参加費用には旅行傷害保険(500円)が含まれています.
*集合地点まで,および解散地点からの交通費は各自の負担となります.
*参加費用はあくまで概算の金額です.大きな過不足が生じた場合,巡検終了時に調整します.
*各班の巡検案内書は,印刷したものを巡検当日に配布します.
*集合・解散の場所・時刻等に変更が生じた場合,大会期間中は掲示板に案内されます.
*参加者人数が少ない場合や,安全確保に問題があると考えられる場合は,コース内容の一部変更やコースの取りやめ(中止)等の措置をとることがあります.
A班 山陰海岸におけるジオパーク活動−大地と暮らしのかかわり− |
(9月18日(火)・19日(水),1泊2日コース)
定員:20名 概算費用:25,000円(1・2日目の昼食込み)
地形図
神鍋・豊岡・城崎・香住・余部・浜坂・鳥取北部
案内者
先山 徹(兵庫県立人と自然の博物館,兵庫県立大学)・松原典孝(兵庫県立コウノトリの郷公園,山陰海岸ジオパーク推進協議会,兵庫県立大学)・三田村宗樹(大阪市立大学)
魅力
山陰海岸ジオパークは,日本海形成と人々の暮らしをテーマにしたジオパークです.ここでは,大地の性質によって生じた豊かな自然・風土と多様な暮らしが成り立っています.地層や岩石だけでなく,地域特有の生き物や人々の暮らしなど,大地に関わる全てのものを地域資源ととらえ,それを活用して地域づくり活動を推進しています.本巡検ではそれら大地と人々の暮らしとの関わりを,実際に現地で活動をしているガイドや住民を通して紹介したいと考えています.
見どころ
・神鍋高原における地質特性を利活用した人々の暮らし
・豊岡盆地の形成とコウノトリの野生復帰活動
・世界的な価値「玄武洞」におけるガイドの取り組み
・香美町における民間発ガイド養成およびジオツーリズム
・昭和24年に創業した遊覧船によるジオサイトツアー
・地域資源を活用した山陰海岸ジオパークにおけるビジネスモデル事業
・日本三大砂丘の一つ,鳥取砂丘と砂丘地での農業開発
巡検コース
9月18日 8:00 大阪府立大学→豊岡市神鍋→豊岡市十戸→豊岡市祥雲寺→豊岡市赤石→香美町(泊)
9月19日 香美町今子→香美町香住→新温泉町三尾→新温泉町浜坂→鳥取市鳥取砂丘→17:00 鳥取空港(解散)→20:00 JR大阪駅(解散)
(左)玄武洞で行われた玄武洞まつり(兵庫県豊岡市) | (右)今子浦の千畳敷とかえる島(兵庫県香美町) |
備考 大阪府立大学白鷺門周辺集合.中型バス使用.
B班 兵庫県南東部,川西−猪名川地域の超丹波帯と丹波帯 |
(9月14日(金),1日コース)
定員:20名 概算費用:6,000円
地形図
広根・妙見山
案内者
菅森義晃(大阪市立自然史博物館,大阪市立大学)・小泉奈緒子(大阪市立大学)・竹村静夫(兵庫教育大学)
魅力
北摂地域の超丹波帯は,かつてジュラ紀の前弧海盆堆積物と考えられていましたが,最近の研究によってペルム紀の付加複合体であると解釈されています.このことから三畳紀―ジュラ紀付加複合体(丹波帯など)の構造的上位に,ペルム紀付加複合体(超丹波帯)が衝上しているという地質学的特徴がいっそう明瞭になってきました.この巡検では,北摂地域西部にあたる兵庫県南東部の川西―猪名川地域に分布する超丹波帯および丹波帯の岩相を見学します.
見どころ
・超丹波帯猪名川コンプレックスの岩相(砂岩泥岩互層,破断砂岩泥岩層)
・超丹波帯国崎コンプレックスの岩相(砂岩泥岩互層,玄武岩)
・猪名川コンプレックスと国崎コンプレックスとの境界
・保存良好のペルム紀放散虫化石を含む砕屑岩
・丹波帯箕面コンプレックスの岩相(混在岩)
巡検コース
9:30 JR新大阪駅→箕面市止々呂美→川西市知明湖(一庫ダム)→猪名川町伏見台・内馬場→川西市東畦野→川西市多田→17:00 JR新大阪駅(解散)
(左)猪名川コンプレックス中の含放散虫珪質泥岩.本露頭からは年代決定に有効な放散虫化石は得られていない.同様の岩相は超丹波帯の味間層や高槻層にも認められ,これらからはペルム紀新世の放散虫化石が産出している. | (右)猪名川コンプレックスの砂岩泥岩互層.本コンプレックスの特徴的な岩相の1つである.この露頭では砂岩層の単層の厚さ25 cm前後のものが卓越する. |
備考 JR新大阪駅1F正面口集合.小型バス使用.昼食は各自でご用意下さい(途中コンビニに立ち寄り可能).
C班 和泉山脈西端部:和泉層群と中央構造線 |
(9月18日(火),1日コース)
定員:15名 概算費用:6,000円
地形図
淡輪・加太
案内者
宮田隆夫(神戸大学)・安 鉉善(神戸大学)・猪川千晶(神戸大学)
魅力
中央構造線に沿って白亜系和泉層群が分布しています.この地層は白亜紀に中央構造線のプルアパート堆積盆に形成されたと考えています.和泉山脈西端部(和歌山市北部〜大阪府岬町地域)において,和泉層群のタービダイト相と酸性凝灰岩,背斜構造,層内褶曲(スランプ褶曲),小断層,砂岩単層のデュープレクス構造,コダイアマモなどを観察します.また中央構造線の幅広い破砕帯や中央構造線から分岐する横ずれ断層を観察します.
見どころ
・中央構造線の破砕帯と変位地形
・和泉層群の背斜構造
・横ずれ断層,砂岩単層のデュープレクス構造,酸性凝灰岩,堆積構造
・和泉層群のスランプ褶曲,小断層,コダイアマモ
・和泉層群と大阪層群の不整合
巡検コース
8:00 大阪府立大→和歌山市有功→和歌山大学入口北方→加太城ケ崎→大阪府岬町豊国崎→南海みさき公園駅→18:00 大阪府立大(解散)
(左)和歌山市加太城ヶ崎に露出する中央構造線の横ずれ断層.写真の左が東.北東−南西方向の断層は左横ずれ変位を示しています. | (右)大阪府岬町豊国崎西方海岸,和泉層群のスランプ褶曲.スケール:百円硬貨. |
備考 大阪府立大学白鷺門周辺集合.マイクロバス使用.昼食は各自でご用意下さい.
D班 中新世の室生火砕流堆積物 |
(9月18日(火),1日コース)
定員:20名 概算費用:6,000円(昼食込み)
地形図
大和大野・柳生・奈良
案内者
佐藤隆春(大阪市立自然史博物館)・中条武司(大阪市立自然史博物館)・和田穣隆(奈良教育大学)・鈴木桂子(神戸大学)
魅力
中新世中期(14.4 Ma)の短期間に噴出した大規模火砕流堆積物を見学します.三重・奈良県さらに大阪府まで,東西60 km以上に分布する室生火砕流堆積物,石仏凝灰岩層などです.これらは紀伊半島中〜南部に形成された陥没カルデラ群から数10 km以上流走し,層厚400 m以上の溶結凝灰岩を形成しました.縁辺相である石仏凝灰岩層では一部溶結した火砕流堆積物とその再堆積層が見られます.強溶結した凝灰岩を構成する異質岩片や火山豆石の有無,本質レンズの岩質の変化などから巨大噴火の姿に迫ることができます.
見どころ
・屏風岩で巨大噴火開始期の火砕流堆積物
・火山豆石の産状
・流紋岩質基質と輝石デイサイト質本質レンズ
・火砕流の堆積域での再堆積作用
巡検コース
8:30 近鉄大阪線榛原駅→曽爾村屏風岩→宇陀市室生区島ヶ谷→奈良市中ノ川→17:00 近鉄奈良線・JR大和路線奈良駅(解散)
(左)曽爾村屏風岩:室生火砕流堆積物がつくる柱状節理 | (右)奈良市中ノ川:再堆積性火砕堆積岩の層相 |
備考 近鉄榛原駅前集合.マイクロバス使用.
E班 古琵琶湖層群における新・旧鮮新−更新統の境界 |
(9月18日(火),1日コース)
定員:16名 概算費用:5,000円
地形図
水口・三雲・野州・草津
案内者
里口保文(滋賀県立琵琶湖博物館)・山川千代美(滋賀県立琵琶湖博物館)・高橋啓一(滋賀県立琵琶湖博物館)
魅力
2009年に国際的に定義が認められた第四紀のはじまり,つまり鮮新−更新世境界はそれ以前のものよりも古くなりました.鮮新世から更新世への移り変わりは各地域でどのような変化として表れているのでしょうか.この巡検では,鮮新−更新統の新・旧定義における境界層準付近が野外で確認できる陸水成層の古琵琶湖層群を例にとり,陸域における地層にとっての鮮新−更新統境界の観察を行います.
見どころ
・淡水の厚い湖堆積物が露頭で観察できる.
・新・旧定義における鮮新−更新統境界層準の両方を露頭でみる.
・鮮新−更新統境界層準付近の植物化石が採集できる(予定)
・鮮新−更新統境界層分付近の動物足跡化石が見られるかもしれない(当日の露頭状況による)
・現琵琶湖湖畔の地下約800 m地下をボーリングコアで観察ができる.
巡検コース
8:00 JR東海道本線草津駅→甲賀市甲賀町小佐治→湖南市吉永→湖南市石部緑台→琵琶湖博物館→18:00 JR東海道本線草津駅(解散)
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(左)鮮新−更新統境界のやや下位にある小佐治火山灰層の露頭(Stop 1).均質な厚い淡水成泥層の上部に挟在する. | (右)五軒茶屋火山灰層(Eb-Fukudaテフラ)の降灰ユニットA1中に見られる火山豆石(Stop 3).この火山灰層は,旧定義による鮮新−更新統境界付近にある. |
備考 JR草津駅前集合.レンタカー使用.昼食は各自でご用意下さい.
F班 領家帯青山高原地域の変成岩および花崗岩類 |
(9月14日(金),1日コース)
定員:15名 概算費用:6,500円
地形図
伊勢路・佐田・平松・初瀬
案内者
河上哲生(京都大学)・西岡芳晴(産業技術総合研究所)
魅力
本地域は,ミグマタイト帯における電気石分解と,それに伴う全岩ホウ素の枯渇プロセスの研究の中心になった地域の1つです.近年,新期領家花崗岩による接触変成作用が本地域一帯で起きたこと,変成岩のジルコン中にメルト包有物が保存されていること等がわかってきました.本地域に分布する部分溶融を経た変成岩類のほか,接触変成の熱源となった新期領家花崗岩と広域変成の熱源となった可能性の高い古期領家花崗岩の貫入関係がわかる露頭を観察します.また,初瀬深成複合岩体の同時性岩脈を観察します.
見どころ
・紅柱石を含む砂泥質片岩
・メタテキサイト
・ダイアテキサイト
・阿保花崗岩・城立トーナル岩の貫入関係がわかる露頭
・含電気石ペグマタイト脈の遠景
・初瀬深成複合岩体の同時性岩脈
巡検コース
8:20 南海高野線・JR阪和線三国ケ丘駅北口→三重県伊賀市広瀬→三重県伊賀市川北→三重県伊賀市・馬野川→三重県伊賀市・奥院川→三重県伊賀市柏尾→奈良県桜井市初瀬→19:00 南海高野線・JR阪和線三国ケ丘駅北口(解散)
(左)青山高原地域のミグマタイトの露頭写真 | (右)初瀬深成複合岩体中の同時性岩脈の露頭写真 |
備考 南海高野線・J R阪和線三国ケ丘駅北口集合.レンタカー使用.昼食は各自でご用意下さい.
G班 紀伊半島西部の秩父帯・黒瀬川帯 |
(9月18日(火)・19日(水),1泊2日コース)
定員:20名 概算費用:13,000円(2日目の昼食込)
地形図
湯浅・紀伊由良
案内者
八尾 昭(大阪市立大学)
魅力
紀伊半島西部の主に海岸沿いの好露頭を訪れ,秩父帯(含御荷鉾帯)のジュラ紀−白亜紀古世付加体の実態,および黒瀬川帯を構成する先ジュラ紀の諸岩類や地層を見学します.この巡検を通して,“放散虫革命”で何がわかったのか,日本列島の基盤地質構造発達史がどのように書き換わったのかなど,その過程を辿ります.
見どころ
・御荷鉾帯(秩父北帯)のジュラ紀中世—新世珪質岩類
・秩父北帯のジュラ紀古世−中世メランジュと含まれる礫岩
・黒瀬川帯の先ジュラ紀の諸岩類・地層とそれを不整合で覆う下部白亜系
・秩父南帯のジュラ紀中世−白亜紀古世メランジュと後期古生代石灰岩岩体
巡検コース
9月18日 10:00 JR紀勢線箕島駅→有田郡有田町糸野・下六川間→有田市高田海岸→有田郡湯浅町浮石→有田郡湯浅町栖原あやめの浜(泊)
9月19日 有田郡広川町名南風鼻・ばべ鼻→日高郡由良町白崎・立厳→日高郡由良町神谷→16:00 JR紀勢線紀伊由良駅(解散)
(左)黒瀬川帯名南風鼻レンズ状部の三滝花崗岩類(440 Ma前後)と捕獲されたシルル紀石灰岩岩体 | (右)秩父南帯のジュラ紀中世—新世メランジュ(右)中に含まれる後期古生代の白崎石灰岩岩体(左)と立厳石灰岩岩体(中央) |
備考 J R紀勢線箕島駅前集合.小型バス使用.1日目の昼食は各自でご用意下さい.
H班 紀州白亜系四万十帯美山層のメランジュ変形構造と温度圧力履歴 |
(9月18日(火),1日コース)
定員:10名 概算費用:5,500円
地形図
川原河
案内者
橋本善孝(高知大学)
魅力
紀州白亜系四万十帯美山層は緑色岩やチャートといった海洋物質を多く含む構造性メランジュからなっており,沈み込みから底付け付加にいたる沈み込みプレート境界に沿った変形および物性変化を追うことができます.また,鉱物脈の発達様式も変形・物性変化に伴って変化しており,さらにそれらの温度圧力も推定されています.沈み込みに伴う変形・物性変化および脱水・流体移動経路の変化を露頭の産状と温度圧力条件とともに議論して行きたいと思います.
見どころ
・構造性メランジュの変形組織
・海洋物質と陸源物質の接触関係
・海洋物質の収斂および連続性
・鉱物脈の産状と変形との関係 ・変形組織のスケール変化と物性変化との関係
巡検コース
8:00 南海高野線白鷺駅前→和歌山県日高郡中津村三十井川沿い→16:30 JR和歌山駅(解散)
(左)緑色岩の露頭の連続性を道路沿いに追うことができる. | (右)初生的な構造性メランジュ組織をシャープに切断する小断層. |
備考 南海高野線白鷺駅前集合.レンタカー使用.昼食は各自でご用意下さい.
I班 GISをつかってみよう |
(9月18日(火),1日コース)
定員:20名 概算費用:800円
地形図
なし
案内者
升本眞二(大阪市立大学)・根本達也(大阪市立大学)
魅力
GIS(地理情報システム)は時空間情報を取扱う地球科学の分野において非常に有効なシステムです.基盤データの無償公開,ハードウェアの高度化,およびフリーオープンソースソフトウェア(FOSS)の普及などにより身近なものとなってきました.GISを利用するための基礎的な概念や機能について解説し,Windows上で動作するFOSSのGISを用いて基本的な操作方法,および簡単な地形解析等の実習を行います.
内容
・GISの機能と特徴,データの形式と入手方法,基本的な処理,インストール方法
・GISの基本的な使い方(実習1)
・GISによる地形解析(断面図,等高線図,傾斜量図等)(実習2)
・GISによる3次元可視化(実習3)
スケジュール
10:00→16:00 大阪市立大学基礎教育実験棟(007室)
(左)DEMから作成した地形の陰影図(shaded relief map) | (右)地形の3次元可視化(大阪平野) |
備考 大阪市立大学基礎教育実験棟前集合.費用はテキスト代です.昼食は各自でご用意下さい.実習用のパソコンはこちらで用意します.
J班 大阪の津波碑と地盤沈下対策 |
(9月17日(月),半日コース)
定員:20名 概算費用:150円
地形図
大阪西南部
案内者
三田村宗樹(大阪市立大学)
魅力
大阪平野は厚い第四紀層の広がる低平地であることから,これまで地下水過剰揚水に伴う地盤沈下,地震災害,津波災害を被ってきました.また,デルタに発達したアジア特有の都市の特徴でもある「渡し」が現存してもいます.大阪西部の町歩きから見える地盤沈下の痕跡や津波災害や街の状況をたどります.低平地の 都市域での防災教育に向けた街の再認識を行う意味での街の教材活用について現地で議論できればと考えております.
見どころ
・防潮堤と街の構造
・大地震両川口津浪記(安政南海地震の津波の碑)
・防潮水門と「渡し」(落合上渡,甚平衛渡)
・昭和山(地下鉄残土による盛土の山,大阪市内で2番目に標高の高い「山」)
・地盤沈下対策の地盤かさ上げ
巡検コース
13:00 JR難波駅(ポンテ広場)→道頓堀川に沿う防潮堤→大地震両川口津波碑→南海汐見橋駅(南海電鉄高野線乗車)→木津川駅→木津川防潮水門→落合上渡し→千島公園昭和山→甚兵衛渡し→16:00 JR弁天町駅(解散)
(左)大地震両川口津浪記(大阪市浪速区大正橋東詰) | (右)落合上渡と木津川防潮水門 |
備考 J R難波駅本ポンテ広場前集合.費用は保険代です(当日徴収させて頂きます).公共交通機関で移動しますので、運賃は各自でご用意下さい.