小さなEarth Scientistのつどい〜第11回小,中,高校生徒「地学研究」発表会〜
(2013仙台)

 

 会場風景
 表彰式の様子


  仙台大会2日目に,小さなEarth Scientistのつどい〜第11回小,中,高校生徒「地学研究」発表会〜がおこなわれた.年会における発表会は10年前の静岡大会からおこなわれており,今回の開催で11回目を迎えることとなった.この発表会の目的は,地学普及の一環として学校における地学研究を紹介することで地学教育の奨励と振興を図ることと,地学を研究する児童・生徒と研究者の交流が進み,地球科学普及の一助となることである.
  今回の発表会もポスターセッション会場の一画を本企画の会場として利用させて頂いたので,多くの会員の方にご参加頂けたものと思われる.今回は,特に発表のレベルが上がった印象を受けた.残念なことは,高等学校で地学が多く開講されている宮城県での開催であったため,多くの参加校があるかと期待したが,東北大学の先生方にご尽力いただいたものの,参加校はなかった.その理由は,県内の公立高校は2学期制を導入しており,期末試験前の部活動の禁止期間と重なったことである.それでも,宮城県内の私立高校1校を含め,9校,1団体から16件の発表があった.なお1団体とは,新潟大学理学部が事業主体となっている「未来の科学者を育成する新潟プログラム」であり,そこに参加する中学生2人がそれぞれの研究を発表した.
  昨年の報告記事でも紹介したが,前回より優秀賞選考の審査基準と審査員が変更となった.審査基準は「研究の動機が明確であり,問題点をはっきりととらえているか」,「観察・実験から導かれたデータを基に,結論が導かれているか」,「わかりやすいポスターとしてまとめられているか」の3つの観点である.一方で,発表(説明内容)については,加点していない.これまで,生徒が参加して説明を行う学校に優秀賞が授与されることがほとんどであったが,学校行事等で説明する生徒が参加できなくても,研究そのものがすばらしく,ポスターの説明がしっかりなされていれば,高い評価がなされる仕組みとなっている.また,審査員も理事の方々にお願いしており,今回は名簿後半の理事の方々にお願いした.
  全ての発表を審査した結果,下に示す3件の発表に対して優秀賞が授与されている.また,研究の進展を期待する発表やフィールドに根ざして研究している学校への奨励賞については,下の3件に授与された.
  最後となったが,審査にあたっていただいた理事各位,行事委員会委員,会場校である東北大学と東北支部の関係各位,さらに今回の発表会参加者(生徒と引率の先生方)に謝意を表したい.

【優秀賞】
1.遠州灘鮫島海岸のガーネットサンドの堆積過程と海岸微地形との関係(静岡県立磐田南高等学校 地学部地質班)
2.大森浜の海岸浸食と砂の堆積−イカ看板は埋まり続けるのか−(遺愛女子中学高等学校 地学部)
3.八戸市牛ケ沢(IV)遺跡から産出した縄文土器の胎土分析(青森県立八戸北高等学校 SSH地学班)

【奨励賞】
1.甲府盆地東部の扇状地とその集水域の地質(山梨県立日川高等学校)
2 . 福井県産ジュラ紀アンモナイトPseudoneuqueniceras yokoyamaiの肋の比較(新潟市立中野小屋中学校,未来の科学者を育成する新潟プログラム)
3.佐渡島沢根層から産出する珪藻化石の分類(新潟第一中学校,未来の科学者を育成する新潟プログラム)

【発表会参加校】
明成高等学校(宮城県),青森県立八戸北高等学校,遺愛女子中学高等学校(北海道),群馬県立太田女子高等学校,横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校,早稲田大学高等学院,山梨県立日川高等学校,静岡県立磐田南高等学校,兵庫県立加古川東高等学校,未来の科学者を育成する新潟プログラム(新潟市立中野小屋中学校,新潟第一中学校)

 

(地学教育委員会 三次徳二)